子どもを包括的にケアするための情報共有の在り方を提言!~令和4年第1回定例会一般質問~

令和4年第1回定例会において一般質問いたしましたので、ご報告いたします。

1. 財政運営の考え方について
基準となる一般財源規模の687億円は令和2年度の9月に示された額で当初は令和3年度の一般財源歳入が92億円減少し財政調整基金は令和5年に、義務教育施設整備基金は令和8年に枯渇するという見通しの中で設定されたものです。その後、令和2年度の新規拡充事業の執行統制をしたこと学校を始めとする施設更新のスケジュールを後ろ倒しにしたこと、歳入見通しが回復したこと、地方創生臨時交付金が入ってきたことなどもあり財政調整基金については枯渇するどころか令和2年度並みの水準を維持しています。財政調整基金の年度間調整分は財政が危機的な状況に繰り入れることを想定し年間50億を3年分とし150億円みているわけですが残高は変化がありませんでした。こちらの方針については今後別の機会で伺ってまいりたいと思います。

結果的にみれば令和3年度の一般財源歳入は2年度を上回り過去最高額となりました。令和4年度の一般財源歳入はそれをも上回る見込みです。歳入見通しについては過去に何度か質問しましたのでまた別の機会を伺います。基準となる一般財源規模687億円と設定されたのは92億円の歳入減を想定してのことで、現状や今後の見通しから大きく乖離しています。他の議員も指摘されているように基準となる一般財源規模に代わる財政運営の考え方が必要です。公債費負担比率10%以内におさえたうえで景気に左右されず着実に施設更新していくために将来かかる費用を計画的に積立なくてはなりません。そういった問題意識から基金の積立計画において課題と感じる点についていくつか質問してまいります。

構造改革の基本指標では財政調整基金施設改修分、義務教育施設整備基金、社会福祉施設整備基金への積み立て目標を減価償却費の25%としています。減価償却費は累計額でみるべきという提案は以前しましたが、令和4年度以降の基金積み立て計画に構造改革の考え方は反映されていているのか?具体的にどのように計算しているのかお答えください。

【区長】令和4年度以降においていは財政調整基金の施設改修分、義務教育施設整備基金および社会福祉施設整備基金へ、基金充当の対象となる施設の減価償却費相当額25%を積み立てる計画を立てており、既存施設のみならず今後整備予定の施設についても現在想定されている整備費により減価償却費を算出し積立計画に反映している。また基金残高についても減価償却費累計額の25%を保てるよう積立額を調整し基金計画を立てている。

基金積立目標額が減価償却費25%で残りを起債75%で充当する方針が適切なのか疑問があります。例えば新庁舎、5番目のすこやか福祉センター、教育センター分室の(保健所)建て替えなど新規の区有施設の建設費用が加味されません。また物価上昇や施設の機能拡充などが影響して学校の建設費は以前約30億だったのが現在は52億に膨らんでおり減価償却費25%で積み立てても実際にかかる更新費用が上回ります。減価償却累計額25%に新規施設と物価上昇の影響額を足して積立目標に反映する、または減価償却費累計額25%以上を積み立てていく必要があると考えます、見解を伺います?

【区長】減価償却費相当額の25%を毎年積み立てしていくという考え方は耐用年数経過後、起債を75%充当すれば建設当日と同じ経費での施設更新が可能な財源確保ができているという考え方によるものである。しかしながらこの考え方に物価上昇等が考慮されていないのはご指摘のとおりである。物価上昇等を考慮した基金の積立計画については今後の施設整備計画や歳入状況などを踏まえながら、考え方を整理していきたい。

道路・公園整備基金は道路占用料から毎年8億円積み立て主に道路補修の税源にあてています。まちづくり基金は都市計画事業の過年度分として入ってくる財産費を積み立てており、いずれも歳入ベースの積み立て計画となっています。公園については今後、公園再整備計画が完成後に順次を改修していく予定です、まちづくりについては中野駅周辺・西武線周辺のまちづくり等の財源が必要になります。現状の基金積み立て計画をみると道路公園整備基金については5年間の積立平均は17.4億円ですが令和7年度は48億円。まちづくり基金は5年間の積立平均は34.4億円で令和7年度は47億円になっています。両方の基金とも令和7年度の積立て額の負担が大きい計画になっています。

道路・公園整備基金・まちづくり基金についても積立の新たな基準を設けるか積立額を平準化していく必要があると考えます、見解を伺います。

【区長】これまで道路・公園整備基金には道路占用料の一部をまちづくり基金には特別区交付金の財産費相当額の一部を積み立ててきたところである。今後、公園再整備計画にもとづく公園整備や道路舗装改良補修、中野駅周辺まちづくりや西部新宿線沿線まちづくりなど事業の進展にともない、基金活用が増加していくことが想定されることから歳入状況や他の基金とのバランス、基金活用事業の進捗も踏まえながら道路・公園整備基金及びまちづくり基金の適切な積立計画について検討していきたい。

持続可能な財政運営を行うためには経常経費を抑えていく取り組みが必要になります。財政フレームで示された一般事業費は経常経費に該当するわけですが令和4年から令和8年まで221億円と据え置きになっております。一方で令和3年に示された財政フレームでは211億で据え置きになっておりました。1年前に示された額から10億円増額されています。

新規事業が増えれば経常経費が増えるわけですが、抑制していくためにどのような取り組みを行っていくのか?見解を伺います。

【区長】PDCAサイクルを回していく中で行政評価や決算分析におる事業の効果検証を行い新規事業と既存事業の見直しを一体的に行うビルド&スクラップを徹底して経常経費の抑制に努めていきたい。

2.「食の支援」の現状と展望について
コロナ禍で困窮されている中野区民の方々に食料や物品を寄付したいというご相談を受けております。中には大量の食糧を寄付したいという申し出もありましたが区の供給体制が追い付いていないので一部お断りすることになりました。今後はこういったミスマッチを無くしていく必要があると考えます。中野区はこの数年の傾向としてどのくらいの食糧寄付があってどのような目的で寄付されているのか把握されていますか?

【区長】区への食糧寄付の代表的なものとしては、例えば米では令和元年度は0だったものが2年度は66㎏、3年度は1月25日現在で約293㎏の寄付があった。またレトルトおよびインスタント食品では令和元年度48個だったものが、2年度には385個、3年度には1,370個といずれも増加傾向にある。寄付目的で多いものとしては広く未利用食品の有効活用(フードドライブ)、子どもの貧困対策、自宅療養中の新型コロナウイルス感染症への支援、社会福祉事業、地域交流事業等が挙げられる。

環境部のフードドライブの取り組みについては事業開始から3年目で取り組みが浸透してきたこともあり毎年寄付の量が増えております。それ以外にも子ども食堂・フードパントリーなどの取り組みは浸透してきており、区内でも実施団体や実施回数は年々増えてきております。さらにこういった取り組みを応援いただくためにも寄付いただいている状況を広くお伝えして、知っていただくことも重要です。お金の寄付については財政課が窓口になっていますが、食料寄付の場合は窓口が目的ごとにことなるため区民の方で寄付をしたいが窓口がわからないという声をいただくことがあります。
所管によっては食料寄付をお断りしているケースや部署をたらい回しにするケースがあると伺っています。専用ページがあればそちらをご案内することでミスマッチを防ぐことができます。HPなどで目的別に食料寄付などを受け付けられる専用ページを作成してはどうでしょうか?見解を伺います。

【区長】現在、区のホームページでは寄付ごとに各所管課がそれぞれページを作成しているが寄付の種別や項目が一覧できるページを作成していない。区における各寄付の受付先が一覧できるインデックス的なまとめページを作成してまいりたい。

区内の子ども食堂の数も増加傾向にありますが、食料寄付よりも必要経費を寄付してもらえる方が嬉しいという声もあります。そういった現状から子ども食堂の運営費を補助する制度があるわけですが将来的にはガバメントクラウドファンディングで補助金の原資を募ったり、子どもの事業のために基金を創設するという展望があってよいとおもいます。そういった土壌を醸成していくために区に寄付していただいた食料品・物品・お金が一覧でみられるページを作成してはどうか?

【区長】感染症が長期化する中、ご厚意でさまざまな方や企業の皆様から区へ寄付いただいており大変ありがたく、また心強く感じているところである。寄付いただいた方への感謝とともに「つながる、はじまる、なかの」を掲げる区政をお示しする意味でも寄付の受付先のまとめページと合わせて、区へ寄付いただいた内容が一覧できるページを作成してまいりたい。

3. 子どもを包括的に支援するための各種データ共有・連携について
「令和元年に中野区が実施した子どもと子育て家庭の実態調査を読むと一般層と比較して困窮層は学習理解度、学習環境、虫歯の状況など支援が必要な傾向にあり、子どもたちを取り巻く問題が多様化・複雑化していることがわかります。子供の貧困や虐待をはじめとした困難を抱えたこども・家庭については実態が見えにくいと言われています。自分が支援対象であることに気づいていない人、潜在的に支援を必要とする人を含め、必要な支援を十分に行き渡らせるために組織間の連携や子どもの成長に合わせた継続した支援が必要です。厚生委員会で中野区地域包括ケア総合アクションプラン(案)が示されましたが、これに対して区民の方々から医療・介護のみならず、福祉・保健・子育て等の横のつながりがさらに増えることを期待しているという意見が寄せられています。
令和3年12月にこども家庭庁の創設を含む「こども政策の新たな推進体制に関する基本方針」が閣議決定されました。その中で「虐待、貧困、不登校、高校中退、非行といった様々な困難を抱えるこどもや若者、家庭に対し、制度や組織による縦割りの壁や年齢の壁を克服した切れ目ない包括的なアウトリーチ型・伴走型の」支援体制が示されています。この動きと連動してデジタル庁では子どもを包括的に支援するために必要なデータを連携しプッシュ型でサポートできる体制の検討を始めております。これにより「住基、税、保険、福祉、健康、子育て、」などの部門間の情報共有と「児童相談所、学校、保育所、医療機関、NPO」が保有する組織を超えた横の情報共有を想定しています。また「妊娠、未就学、小学校・中学校・高校、大学」など学齢期を跨いだ縦の連携による切れ目の無い支援も可能になります。例えば相談先がわからない、SOSが発信できない、社会との関わりをもとめていない親等、潜在的に支援が必要な子どもや家庭に情報を届け、支援につながることが期待できます。

こういった情報共有の体制を中心となって推進する司令塔が必要です。中野区では高齢者、子どもと子育て家庭、障害者など支援が必要な全ての人を対象とした地域包括ケアを掲げておりますが、子どもを包括的に支援する各種データ連携・共有はどの部署が推進していくとお考えでしょうか?

【地域包括ケア担当部長】複雑で複合的な生活課題のある子どもや子育て世帯への支援には関係者間の連携のための情報共有は必須であると考えているところであり、現在は主に支援検討会議等において相談の履歴の有無や家族構成、利用しているサービス等を情報共有している。支援に必要な情報は子ども本人だけでなく世帯や所得に関する情報なども含まれることもあるが現在では複数の部においてそれぞれのシステムにおいて管理しているところであり、地域包括ケア体制のためのシステム活用については今後推進部署も含めて検討が必要である。

社会福祉法の改正に伴い支援会議の構成員であれば区は学校や保育所との情報共有は可能になります。中野区としても令和4年度から地域共生社会の実現を目指した重層的支援体制の準備がはじまります。情報の取り扱い方法などセキュリティや社会通念の観点から共有する情報、共有しない情報を見極めなくてはなりません。
現状では子どもを包括的にケアをするうえで組織横断的に共有できている情報、反対に共有できていない情報はどのようなものと認識されていますか?

【地域包括ケア担当部長】個人情報は中野区個人情報保護条例により各所管において目的に応じて取得するものとされており、他の所管と共有することは目的外利用として法令の定めがある場合などを除き原則、禁止されている。ただし、他の事業で個人情報を活用することが効果的な場合は個人情報保護審議会に諮り目的外利用は適当である旨の答申を得て共有することが可能となる。これまでの事例をもとに共有すべき情報については精査が必要であると考えている。

デジタル庁は2月4日に実証事業自治体の公募をスタートしております。応募は間に合わないにしても近い内には大枠の改正案やロードマップが示されることになります。自治体情報システムの標準化にしてもそうですが、基礎自治体は人口規模によって事務事業の実態が異なるため、中野区としてもボトムアップで検討していく必要があります。

中野区は子育て先進区を掲げておりますので、支援が必要な子どもを取り残さないよう関係者間でデータを共有しながら対応できる体制を整備する必要があると考えますが、見解はいかがでしょうか?

【地域包括ケア担当部長】中野区が令和4年度から始める重層的支援体制整備事業では支援検討会議等における個人情報の共有についても考え方が示されているところである。具体的な支援のための取り組みを行うなかでシステム活用によるデータ連携や共有についても視野にいれながら体制整備の在り方を検討してまいりたい。

以上
これですべての質問を終了いたします、ご清聴ありがとうございました。

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