児童生徒のインターネット環境を担保せよ!令和3年第4回定例会一般質問

令和3年第4回定例会での一般質問と答弁内容をご報告いたします。

はじめに「教育ICT環境の整備について」 
中野区では令和3年4月に教育の情報化推進計画が作成されました。これに基づいて区の教育ICT環境は整備されていきます。

第三回定例会で補正予算が成立したことで12月から中野区の小中学校にはルーターが一時的に配備され令和4年度からは教室で10Gigaの大容量通信が可能になります。これまでは通信容量100Mbpsのため容量を圧迫しないように学校内では端末を使う時間帯を分散し、動画などの視聴を控えていたという認識をしています。教室に大容量の通信環境が整備されたことで教員と児童生徒が双方向でやり取りをしながら授業が行われていくものと思います。学校や教員によってインターネットを活用した授業の質にばらつきが生じないように研修や情報共有を徹底していただきますようお願いいたします。

教育の情報化推進計画ではすべての児童・生徒に、学習ツールの一つとしてICTの利用を定着させることが必要と記載されています。現状では学校には通信環境は整備されましたが中野区のすべての児童生徒の家庭にインターネット環境が整っているとは言えない状況です。学校で児童生徒に出される宿題などはインターネットに接続しないものになっているのか、現状と今後の展望について中野区の見解を伺います。

【教育長】一人一台端末を活用した全員一律の宿題ではスライド資料を作成したり授業の振り返りをしたりするなど、インターネットに接続しなくても行うことができる課題を出している。一方調べ学習を行ったり、グーグルクラスルームの動画を視聴したりする課題はインターネットに接続する必要がある。区では家庭の通信環境整備のための「オンライン学習通信費」を就学援助費の費目に入れている。今後は通信環境が整っていない等の理由でインターネットに接続する宿題ができない児童生徒へは高速大容量化される環境を利用して下校前に必要な情報をダウンロードさせるなどのサポートを行う予定である。また、地域の図書館等においても通信環境が整い小・中学生の学習ができる居場所が増えてきている。

家庭にインターネット環境が整っていないのであれば、区有施設にて児童生徒がインターネットに接続できる環境を担保しなくてはなりません。現状では中学校区に配置される新たな機能を備えた児童館にインターネット環境を整備する方針が示されています。

・インターネットに接続した宿題などが出されている場合、または今後予定している場合は児童が使用する学童、キッズプラザなどの施設にインターネット環境の整備すべきと考えます、区の見解を伺います?

【区長】学童クラブやキッズ・プラザではタブレットを活用した学習に対応できるよう、インターネット環境を整備する予定である。

中学生は小学生に比べて宿題が出されることは少ないと認識していますが、中学生は学童、キッズプラザは利用しません。中学生に対してはインターネット環境をどのように担保する考えなのか?区の見解を伺います。

【区長】中高生も利用できる新たな機能を備えた児童館では、インターネット環境の整備や学習スペースの設置などを考えている。また産業振興センター後施設を活用した中高生施設においてもインターネット環境を整備する予定である。

自治体によってインターネット環境は様々です。児童生徒のICTリテラシーとインターネット環境の傾向について他自治体との比較を定期的に行なって検証することを要望いたします。

中野区には施設再整備の影響に伴い区有施設の未利用スペースが多々存在しており、有効活用の必要性は他の委員からも指摘されております。ちょうど本日から教育センターは教育センター分室として使用が開始されましたが、地下1階から2階は用途が決まっておりますが3階については現在使用方針が決まっていません。私の周りからは不登校児童支援など無料で支援をしたいという声がありました。

その他にも学習支援の用途で区民または団体に教育センター分室などを開放することはできるのでしょうか?開放できるのであれば広く区民に周知する必要があると考えます、見解を伺います。

【教育長】教育センター分室の3階は現在貸し出しを行なっていない。就学相談を新しい教育センターの相談室と合わせて使用している現状もあり、使用方針について検討しているところである。1階と地下にある研修室は地域のサークル活動や町会の会議など、今までも区民や団体に一般貸し出しを行なってきている。今後、利用のご希望があれば相談いただければと考えている。

次にその他 子ども食堂などの食の支援について 
区民または区内事業者の方からコロナ禍で困窮されている中野区民の方々に食料や物品を寄付したいというご相談をここ1年で何件も受けました。私に相談が来るということは区の窓口がわかりにくいのだと思います。寄付の理由は「困っている人達に食べて欲しい、または廃棄することになるので有効に活用して欲しい」など様々です。最近も大量の食料を中野区に寄付したいという大変ありがたいお声がありました。しかし供給体制が追いつかずお申出いただいた全部の食料を寄付いただくことは難しいという話になりました。中野区では社会福祉協議会、子ども教育政策担当、環境課、ゴミゼロ推進担当課など対象や目的が異なりますが複数の所管に窓口があります。区民の方から寄付をしたいと申し出があっても供給先がないという理由でお断りしているケースもあると聞きました。

SDGSの文脈的にも困窮世帯の支援やフードロスの取り組みは今後、更に重要性が高まるテーマだと思います。自治体によって民間団体と連携して困窮世帯に対して直接食料を配給する体制を作っているところもあるようです。中野区においてもこういった体制が将来的に必要なのではないかと感じていますが、食料の寄付が一定量安定的にあることが前提になると思います。まずは中野区に寄付されている食料の推移について質問をしようと思ったのですが、把握している部署がありませんでした。今回初めて質問する相手がいないという経験をしました。統括して所管する部署がないので、今回は踏み込んだ提案はできませんが第1回定例会で提案していきたいと思います。

中野区で全庁的に寄付されている食料物品量の推移を調査することを要望いたします。調査結果を踏まえて必要と判断した場合は食料物品寄付を統括調整する窓口の設置を今後提案していきたいと思います。

社会福祉協議会では今年度、区内の5箇所でフードパントリーの取り組みを計画しておりすでに3箇所は完了しています。食料品など必要経費の寄付を募ったところ、目標60万円に対して130万円集まったとのことです。それ以外にも地域の方々からも困窮世帯の支援に使って欲しいと食材の寄付もいただいたようです。

環境部には家庭の余った食料を寄付するフードドライブの取り組みがあります。令和2年度分と令和3年度の11月時点の段階と比較すると寄付人数、個数、総量いずれも3年度が上回っております。総量だけご紹介しますが令和2年度が329キロ、令和3年度が586キロと約250キロ増加しています。中でもお米の寄付が増えているようです。コロナ禍で困っている方々に貢献したいという一時的なものなのか、事業が浸透してきた成果なのか増加要因の分析は不十分ですが、世の中に浸透してきているということは言えそうです。

食料配給に対する需要が供給を上回っている場合はクラウドファンディングの食料版のように積極的に寄付を受け付けていく取り組みや、ガバメントクラウドファンディングの寄付メニューに加えることなども考えられます。また、供給体制がネックで寄付をお断りしているケースがあるのでロスなく困窮世帯に直接配給する支援連携体制が将来的には必要と思っています。また直近の課題としては子ども食堂やフードパントリーを主催する団体との連携強化があげられます。

現在、子ども教育政策課では子ども食堂を通して困窮世帯に対する食の支援を行なっています。子育て世帯に対する食料寄付の活用状況と今後の展望について見解をお伺いします。

【区長】令和3年度において、生活に困窮する子育て世帯等への配布を希望し、お米やジュース、レトルト食品などの食料品の寄付があり、区はこれらを区内の子ども食堂を通じて子育て世帯等に配布してきたろころである。今後、食のセーフティーネットを強化していくことは重要であり、子ども食堂の活動を行う団体など地域団体との連携をさらに強化し、生活に困窮する子育て世帯等への食の支援を充実させていく必要があると認識している。

これに限らず様々な地域課題を行政や地域団体が単体で解決することは困難なため区がコーディーネーターとして公益活動団体との連携を促す、またはサポートしてくれる人財を発掘してマッチングしていく必要があると考えます、区の見解を伺います。

【区長】地域の課題は多様化複雑化している。こうした状況で地域課題を解決するには、区や関係機関のほか、関係する地域の人材や団体が情報を共有し、連携して取り組むことが欠かせない。区として、地域課題を解決する取り組みを支援する機能を強化するため、現在、区や関係機関等の職員の地域コーディネーターとしてのスキルアップを図る取り組みついて検討を進めている。

最後に自治体情報システム標準化について 
国が自治体DX推進計画に定めた自治体情報システム標準化に対応する業務は中野区の場合は15業務で補完システムを含めると約20システムが対象と認識しております。そのうち6システムは情報システム課が所管するNキャスに含まれており、その他が戸籍住民課、税務課、保険医療課、保育園・幼稚園課、学校教育課、子育て支援課、介護高齢者支援課、福祉推進課、生活援護課、保険企画課、保険予防課、選挙管理委員会事務局など12カ所の部署にシステムが分散されています。標準化に対応するシステムは先行グループ、第1グループ、第2グループなど3つに時期が分かれていますが、いずれも令和7年中に標準化を完了しなければなりません。

標準化・共通化については専門家でも見解が分かれおります。基幹系システムなのできちんと対応しないとガバメントクラウドに移行したシステムと周辺業務システムの連携がうまくいかず、証明書が発行されない、最悪のケースだと間違った情報の証明書を発行してしまうなど事故が多発する状況になるだろうと言われています。国の標準化の仕様書も万全ではなく、自治体ごとに状況も異なるため中野区としても早期に対応し国に要望しながら進めていく必要性があります。

先行グループや第1グループに関しては仕様書や手順書がすでに公開されていますので、早期に各所管に対して現状と標準化後の差分を抽出してあらかじめどの程度、時間がかかるかを把握させる必要があります。

また標準化についてはベンダーがシステムを標準化して、自治体側は該当事務を標準化するという分担になりますのでベンダー側との調整も必要です。ベンダーにシステムの標準化への検討状況など調査させてスケジュール通りに進行できるように調整することも必要です。これらのマネジメントを今回新たに設置された住民情報システム課長に期待したいところです。

・住民情報システム課長が新たに設置されました。担当課長が担う役割について区の見解を伺います。

【区長】区として自治体DXを推進していくにあたり、自治体情報システムの標準化・共通化については国から示された標準仕様に基づき対象業務の見直し等を行い、令和7年度までに標準システムへの移行を完了する必要がある。「住民情報システム担当課長」は現行の住民情報システムの管理運営等を行うとともに、この標準システムの移行について全庁横断的な調整を行いながら着実に推進していくことを目的として設置したものである。

・自治体DXを推進していくための組織体制の構築は急務です、中でも自治体情報システム標準化については重点課題として位置付ける必要があります。

今後、自治体DXを推進していく組織体制を構築する必要があると考えます、中野区の見解を伺います。

【区長】自治体情報システムの標準化の他、区役所新庁舎への移転に向けて様々なDXの取り組みを短期間で着実に推進していくため、令和4年4月1日に総務部DX推進室を設置する予定である。これに合わせて企画部から総務部に情報システム課を移管し、新区役所整備かとともに。DX推進室の所掌とする予定である。全庁的な取り組みや組織横断的な取り組みについてもDX推進室が中心となって推進していく。

・国は令和7年度中にガバメントクラウドへの移行を示しています。中野区のNキャスはハードウェアによるオンプレミスです。新区役所移転後にこれら対象システムをガバメントクラウドへ移行する方針なのか?区の見解を伺います。

【区長】現在、国において複数の自治体を対象とした「ガバメントクラウド先行事業」が開始されたところである。この先行事業では「(仮称)ガバメントクラウド」への移行による効果や移行後の課題等を検証することとされている。そのようなことから「(仮称)ガバメントクラウド」を活用するかどうかについてはその検証結果等も踏まえて検討したい。

以上で私の全ての質問を終了いたします。ご静聴ありがとうございました。

トップへ戻る