【ご報告】令和元年第三回定例会におきまして、一般質問をさせていただきました。

令和元年第3回定例会におきまして、一般質問をさせていただきました。

質問内容は以下の通りになります。
あくまでも私のメモですので、より正確なものは議会議事録の公開をお待ちくださいませ

(1)インプット・アウトプット/アウトカムの視座に立った政策サイクルについて伺います。
中野区は総務省からの変化の要請、そして、各種経費の増加に対応した新しい行政経営の姿が求められています。

総務省は地方自治体のあり方について大きな変革を求めており、平成30年3月に「自治体戦略2040構想」及び第32次地方制度調査会において、極端な少子化社会における地方自治体のあり方について従来の半分の自治体職員で機能する仕組みが必要と示しています。

次に、中野区では、公共施設の建替えに関する投資的経費と経常支出の増加に対応した行政経営が必要とされています。中野区の令和元年の一般会計予算規模は1,572億7,200万円で過去最高額となっております。区立学校再編整備計画や体育館の整備による投資的経費がかさみ、待機児童対策や介護福祉支援などこのような社会保障経費は、今後も経常的な支出となります。少子高齢化社会の進展に伴って、ますます増加の傾向にあることから、業務改善を進めて経費の圧縮を図っていくことが必要です。

事務事業の一つ一つ、それぞれの施策を検討し、よりより経営の骨子を示すのが行政評価です。昨今の7月に実施された総務委員会において、中野区の行政評価を事務事業への評価検討を中心とした者にシフトするという報告がされています。このことは、時代のニーズに沿った形の事務事業形成という意味では的確なものといえます。しかし、現在のあり方については二つの課題があると思います。

現状では、依然と部門シート、分野シートが残っており、施策の進行を管理するだけのツールになっています。仮に、先ほどの行政経営の変化に対応するならば予算等の適正化を促進するツールとして確立すべきと考えます。

施策シートには指標、実績、目標を記載する項目がありますが、主な事業には事業実績のみ示されています。これでは、事務事業それぞれの適正化に向けた判定ができません。事務事業ごとに目標とコスト管理を行うべきです。現状は、施策レベルで各事業の成果を踏まえた「今後の施策の方向性」を「拡充」、「維持」、「改善・見直し」、「縮小」、「廃止」、「その他」の 6区分で評価したうえで、評価理由を記述するとなっておりますが、判定基準が定量化されていない、かつ、その理由が不明確という状態です。事務事業単位で評価をして今後の方向性を決めるべきと考えます。

また、区長はかねてよりエビデンスベースの区政とおっしゃっております。エビデンスに基づく政策立案(EBPM)の根幹は、(1)政策目的及び獲得すべき効果を明確化させ(2)その目的達成のために、実施した政策手段は妥当なものであったか、社会実験及び各種証拠に基づいて因果関係を検証する取り組みです。

エビデンスに基づく政策サイクルを機能させるためには、事務事業に投入された予算、人、モノなどのインプットと、単年度に提供された行政サービスなどのアウトプットと、その結果、3年から5年後に生じた変化としてのアウトカムを明確化するべきです。現状の行政評価では成果のアウトプットと効果のアウトカムが混在しております。正しく事業を評価するためには因果関係を整理した上で事業の成果と効果を設定しなくてはなりません。

そこで質問です。
現状の行政評価シートを見る限りは組織評価から事業評価にシフトしていないと認識しております。そのため基本構想、基本計画の作成に合わせて政策・施策・事務事業の体系を整理し、成果と効果の見直しを行い、抜本的に行政評価を事務事業評価中心へシフトする必要があると考えます。区長の見解をお伺いいたします。

【酒井区長】今年度から行政評価は、効率的かつ効果的な運営を目指し、部が主体的に事業の課題を浮き彫りにでき、改善に繋げて行けるよう、施策シートにおける主な事業の成果を中心に評価を行なった。

今後の行政評価に向けては、今年度の行政評価制度の見直しも踏まえて、さらに事業評価へのシフトを進め、評価結果が事業の改善により繋がるようにするとともにそれらをわかりやすく示すよう、工夫していきたい。また、基本計画の改定に合わせて政策の体系化を行い、体系化された事業について、効果を測定する指標を設定するなど、事業評価の実効性をさらに向上するよう、改善していく。

 
なお、行政評価とエビデンス ベースド ポリシーメイキングについては総括質疑の場で詳しく触れたいと思います。

(2)マイナポータルを活用したワンストップサービスについて伺います。
平成30年に閣議決定された「世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」において、「デジタル社会では、スマートフォン等により、国民は役所に出向かず、行政サービスに関する手続を手のひらで完結することを期待している。国・地方公共団体と民間事業者が一体となって、子育て、引越しから介護、死亡・相続等までの代表的なライフイベントに伴う手続をデジタルで完結させることを目指している」と述べています。

内閣府が運営する「ぴったりサービス」と連携することで、地方自治体においても子育て、介護、被災者支援などワンストップサービスの電子申請が可能になります。介護、死亡・相続、障がい者関係のワンストップサービスについても将来的に電子申請に対応し、手続きに必要な添付書類も撤廃またはオンライン化されていく見通しです。

一方で、中野区の電子手続きの利用状況が60%に対して、マイナンバーカードが必要な電子手続きの利用状況は5%と低迷しています。その理由として、マイナンバーカードと認証端末の普及率が低いことや、電子手続きの認知率が低いなどが考えられます。

今年の9月からiPhoneによる認証が可能になり、令和3年3月からマイナンバーカードに「保険証機能」が付与される見込みであり、環境は段階的に向上していく見通しです。現在の中野区は、ぴったりサービスに対応した手続きが5つしかありませんので、区民がマイナンバーカードを取得するインセンティブを高めるためにも電子申請に対応したワンストップサービスを増やす必要があります。

そこで質問です。
子育て、引越しから介護、死亡・相続等のライフイベントの際は私生活の変化に伴い、多忙を極めることもあって窓口での手続は大きな負担になっております。中野区としても世界最先端デジタル国家を見据えてマイナンバーカードの普及率向上と電子申請に対応したワンストップサービスの導入を推進していくべきと考えます。中野区の見解をお伺い致します。

【酒井区長】 マイナンバーカードの取得促進については、現在もシルバーパスの更新に合わせて申請相談会を実施するなど、普及率向上に向けた取り組みを行なっているところであり、引き続き他自治体の先進事例なども参考にしながら、更に工夫していきたい。

マイナポータルの活用など、電子申請に対応したワンストップサービスについても、国・都の動向などを注視しつつ、出来るところから順次取り組み、区民の利便性向上に努めて参りたい。

(3)児童生徒の不審者・防犯対策について伺います。
京都アニメーション、川崎市小学校の事件など、最近は「悪意を持ち、危害を加えること」を目的にした殺傷事案など極めて計画的な犯行が起きています。これまでの不審者は突発的な「魔が差した」ものでしたが、今や、テロリストと同様の「明確な悪意を持って、計画的な犯行を引き起こさんとする」存在になっています。こうした情勢を踏まえれば、ハード面での防犯対策はもちろんのこと、そもそもの防犯に対するマニュアルや考え方を改めるべきと考えます。

ほとんどの学校は、門に鍵がかかっていても壁を簡単に乗り越えることができます。中野区内の小中学校に確認したところ不審者が壁を乗り越えることを前提とはしていません。明確な意図を持って侵入しようと思えば、門や壁を乗り越えることは簡単です。こうしたタイプの侵入を想定し、その際の対応を考える必要があるのではないでしょうか。

既存のマニュアルでは、実際に悪意のある侵入者が入ってきた場合に、児童生徒がどのように逃げ、隠れるかが明確に書かれてない場合があります。他の自治体の訓練では、不審者の位置が確認されていない段階で児童生徒を講堂や体育館に避難誘導している例も見られます。こういった誘導は児童生徒と不審者が遭遇する危険があり、リスクを高めるような誤った訓練だと専門家も指摘しております。校内に悪意を持った不審者が入ってきた時の対応について教職員だけでなく児童生徒にも徹底させる訓練が重要であると考えます。

例えば米国では、「スクールセキュリティ」の名の下に、危機管理の専門家が入り、①強固な守り、②不審者の早期発見、③時間稼ぎ、④緊急対応、が準備されています。具体的には不審者に対してスマートフォンなどを一斉に投げつけるなど、抵抗する訓練をしています。

そこで質問です
ここまで述べた課題について海外の危機管理の知見を持つ専門家などを活用し、教員や児童に向けた訓練・マニュアル・啓発資料を導入する必要があると考えます。教育委員会の見解をお伺いいたします。

【入野教育長】 学校における不審者・防犯対策については、国内外で様々な知見があり、先進的な事例は参考にすべきであると考える。教育委員会としては、今後も管理職や安全担当の教員を対象とした研修に専門研究者を招き、各校の訓練内容や防犯マニュアルを見直すなどの取り組みを行なっていきたい。

学校現場に限らず区内の各地域が安全・安心と言われるようにしていくことで犯罪防止につながると考えます。中野区は本年度の組織改正において、危機管理課を設置し、危機管理担当部長を専任配置するとともに、警察出身の危機管理監も配置しておりますが、今後、不審者対策の先進事例を作り、中野モデルを東京、そして全国へと広げるべきと考えます。

全庁的に危機管理を統括する立場として、中野区が安全・安心な街となるために、どのように取り組んでいくのか区長の見解をお伺いします。

【酒井区長】 本年度の組織改正において、危機管理、防災、生活、安全について、平常時から緊急時においてもしっかりと対応できるよう、一体的な組織として危機管理体制の強化を図ったところである。

また、犯罪防止の観点から、警察等との関係機関からは、いち早く情報を取集するとともに、平常時から緊急時も含めて、十分に連携して、犯罪防止の取り組みを進めているところであり、今後も、中野の街が安全・安心な街と言われるように取り組みを進めていく。

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