企業主導型保育園の第二子以降無償化を提言~令和5年第4回定例会一般質問~

令和5年第4回定例会において行った一般質問と答弁を全文掲載いたします。

  • 中野区実施計画について

中野区は基本構想で10年後のまちの将来像を描いており、それらを実現するための取り組みを2021年度から2025年度まで示した基本計画を策定しております。計画期間の後期の取り組みを具体化するための中野区実施計画の策定を現在進めているところです。中野区は中野駅周辺まちづくり、西武新宿線沿線のまちづくり、区有施設の更新など多額の予算を必要とする事業が多数控えているため、2025年以降必要な予算の概算を各年度でおおよそのどの程度かかってくるかも、見込を立てて備えなくてはなりません。そのため財政フレームと基金積立計画の役割は重要であると考えます。令和に入ってからは税収が好調であり、予想よりも歳入が年々増加傾向ではありますが、物価高騰の影響などで歳出規模もどんどん膨らんでいる傾向にあります。

先日の常任委員会で中野区実施計画素案についての報告がありました。私が所属する子ども文教委員会で令和6年度に関する新規拡充事業や児童館の改築・新築に関する費用など、企画部に対してどのように情報共有を行っているか質問したところ、具体的な答弁はありませんでした。私は新たな財政運営の考え方における基金の積立額を増やすべきと過去質問してまいりましたが、現状の考え方通りに財政運営ができるのか疑問が生じてまいりました。

中野区実施計画には令和6年度、令和7年度の新規事業の見出しが出されておりますが、実施計画にあるデジタル地域通貨や給食費無償化を行う場合、多額の予算が必要になるため、歳出規模が更に大きく膨らんでいく懸念があります。新たな財政運営の考え方では、歳入の当初見込み額から基金積立額を差し引いた額を歳出規模としています。令和6年度予算は新たな財政運営の考え方通りの歳出規模に収まるという認識でよいのか、伺います。

【区長】財政運営の考え方において、「予算編成開始時における歳入一般財源の見込額を一般財源充当事業費の目標額とし、歳出削減に努める」としている。令和6年度予算について現在この考え方に基づいて、編成を進めているところである。

中野区実施計画の中で、区立保育園の運営について今年度将来の保育需要を見据えた建て替え整備の考え方を策定すると示されています。区立保育園については将来的には現状の10から6~7園へと減少していく方針が示されておりますが、どの保育園を残していくのか具体的な検討はこれからになります。区として方針を決定しても地域との合意形成を図るには想定よりも長い時間がかかるものと考えられるため、早期に検討していかなくてはなりません。築50年を超える園が丸山、野方、昭和、鍋横保育園など4園あり、その後も順次、建て替えが必要となります。区立保育園全体の建替え整備に係る考え方について、いつごろまでに計画をまとめる予定なのか伺います

【区長】区では保育施設の利用者数が減少した場合には区立保育園を集約することとしているが、今後10年間の保育施設利用者数はほぼ横ばいとなることを見込んでおり、当面の間は現行の10園を維持する必要がある。また、国は「こども誰でも通園制度(仮称)」の本格実施に向けた検討を進めているが、制度設計によっては保育需要が大きく変わる可能性がある。 区立保育園全体の建替え整備に係る考え方を取りまとめる必要性は認識しており、保育施設の利用者数や国の動向なども踏まえたうえで考え方を策定したいと考えている。

保育園・児童館の建替え・更新に必要な財源は具体的な計画が立てられていないため、社会福祉整備基金に積み立てられていないものと考えます。財政フレームの社会福祉整備基金には減価償却費累計額25%相当の残高を確保されているのか?見解を伺います

区長】財政運営の考え方においては、社会福祉施設整備基金について「対象施設の当該年度に発生する見込みの減価償却費相当額の25%を当初予算編成時に積み立てるよう努め年度末残高は対象施設の減価償却累計額相当額の25%の確保に努めるものとする」としている。今後、予定した基金積立が行えなくなるなどの影響も考慮したうえで、安定的な区政運営を進めていくことができるよう、財政フレームを作成していく。

  • 中野駅新北口駅前エリアについて

中野駅新北口駅前エリアの拠点整備事業において、令和6年第1回定例会において区財産の処分に関する議決が予定されております。現在、中野区が取得した権利床を民間事業者に貸し付けるケースは中野2丁目再開発権利床の1つです。この施設は地域情報交流スペースという位置づけで地域交流用のスペースに関しては減免措置が取られています。現状では区の権利床活用を定めた制度はありません。

新北口駅前エリアの拠点整備事業の権利床に関しては区が直接事業者と契約するのではなく、マスターリースという手法で運営事業者が間に入る仕組みを想定しています。権利床のマスターリースという手法は区内ではまだ事例がありません。横浜市では市庁舎の商業部分に関してマスターリースで運営を行っており、事業者選定、評価委員会設置などを定めた条例を制定しております。マスターリースは区が運営事業者に委託費を払い、運営事業者はサブリース先から賃料と共益費を徴収する仕組みです。そこからでた利益を区に支払うパススルー方式と、取り決めた一定の金額を区に支払う保証型方式があります。権利床の用途に合わせて必要な賃料を徴収できる仕組みを作っていく必要があります。中野区においても、マスターリースのルールを定めるための条例制定を検討すべきではないか見解を伺います。

【区長】権利床について、具体的な運用方法の検討はこれからであり必要な制度構築を図っていく考えである。

権利床は事務所、展望フロア、子どもの遊び場、バンケットの4種類があります。特別委員会の報告の中でそれぞれの収支予測が示されました。中野区が所有する展望フロアに設置予定のレストランや事務所床に関しては営利事業です。バンケットコンベンションセンター、子どもの遊び場などは考え方によれば一部公益性のある事業という風に解釈できます。権利床のマスターリースについて一括で特定の運営事業者に委託するのではなく、権利床ごとの運営とすべきで、特に収益性の高い事務所床スペースについては切り分けるべきと考えます、区の見解を伺います。

【区長】運用の一案として検討しているマスターリース方式については、事務所床とその他用途の床は別で行うことを想定している。

新北口駅前エリアの開発に伴い住宅が増えることで夜間人口も増加していく傾向にあります。子ども文教委員会で図書館サービスの考え方が示されました。その際に半径1キロ圏内に図書館がないエリアのうち上鷺宮エリア・東中野エリアに関して図書のサービスポイント設置の考え方が示されています。他にも新井2丁目、中野4丁目エリアに関しても半径1キロ圏内に図書館が無いエリアとなります。サービスポイントは予約資料の受取りと返却ができる拠点のことで、多くは公民館、役所とその支所などの公的施設に設置されています。中にはコンビニやスーパーマーケット、ホテル、書店、駅などに設置されているケースもあります。中野駅北口は通勤・通学の利用が最も多いことに加えて、今後は再開発に伴いの夜間人口が増加します。このエリアでのサービスポイントの利用ニーズを調査した上で設置の有無について検討を進めるべきと考えますが、見解を伺います。

【教育長】図書の貸し出しや返却など、図書館サービスを提供するサービスポイントについては、本年9月に策定した「今後の区立図書館のサービス・配置の在り方の基本的な考え方」で示している上鷺宮地域と東中野地域での設置を検討することとしている。中野駅周辺地域への設置については、利用のニーズや市街地再開発事業の施行予定者とも調整しながら検討していきたい。

3.中野区立学校における働き改革について

今年の8月に中央教育審議会の「質の高い教師の確保特別部会」は「教師を取り巻く環境整備について緊急的に取り組むべき施策」を提言しました。1.学校・教師が担う業務適正化の一層の推進、2.学校における働き方改革の実現性の向上等、3.持続可能な勤務環境整備等の支援の充実を掲げております。中野区立学校における働き方改革推進プランは平成31年3月に策定されました。その後、新たな教育指導要領の実施、児童生徒の一人一台端末の導入など学校現場では新たな取り組みが様々始まっている状況で負担が非常に大きくなっています。来年度は中野区立学校の働き方改革推進プランの改定が予定されておりますが、その際にはこういった提言を盛り込んでいただくことを要望いたします。

先ほどの提言書には標準授業時数年間1015単位に対して、総授業時数が1086単位を超える学校に対し、教育課程を見直すことを前提に教育員会が指導・助言する必要があると書かれています。働き方改革を推進するためには行事や業務そのものを減らしていくという考え方も必要となります。中野区では現在、土曜公開授業が年8回行われていますが、現場の教員からは負担が大きいと伺っています。杉並区では土曜公開授業数を減らしています。公開授業は平日も可能なため、日数を減らすなど土曜公開授業の負担を軽減する工夫を行なってはどうか、見解を伺います。

【教育長】土曜授業の回数については、校長会や教育課題検討委員会において学校の状況を伺っており、現在、他区の状況も踏まえて回数を減らす方向で検討しているところである。

令和5年から令和7年度が部活動の改革推進期間であり、中野区は今年度、学識経験者による検討委員会にて実施方法を検討している状況です。中学校教員にとって土日の部活動の指導・引率なども大きな負担となっている状況です。また、生徒にとっては校庭や体育館の面積が小さい分、部活動ができる時間や練習内容が制限されている状況にあり、改善していく必要があります。令和6年度は改革推進期間の2年目にあたり部活動指導員の配置拡充や体制整備を進めていく必要があります。部活動検討委員会での検討内容や、令和6年度の取り組みと現状の課題認識ついて伺います。

【教育長】今年度、部活動検討委員会で地域移行に対する生徒・保護者・教員の考えをきくためのアンケートを実施した。その結果を受け、令和6年度は休日の部活動の運営を地域に移行することを進める。地域のスポーツクラブ等と連携して合同部活動の形でモデル実施する予定である。部活動の地域移行するにあたって、地域スポーツクラブとの連携、指導力の高い部活動指導員の確保など、人材確保や費用面での課題が大きいと認識している。

4.企業主導型保育事業について

令和元年10月から幼稚園、保育所、認定子ども園の3歳児〜5歳児の利用料が無償化され、令和5年10月から東京都の特定財源を活用し、認可保育園の第二子以降の利用料が無償化されています。認可外保育園の認証保育所、ベビーホテルについても都と区の財源による認証保育所等保護者補助金を活用して、認可保育園の差額を支給する形で第二子以降無償化されています。

企業主導型保育事業は、平成28年度に内閣府が開始した企業向けの助成制度で、企業が従業員の働き方に応じた柔軟な保育サービスを提供するために設置する保育施設や、地域の企業が共同で設置・利用する保育施設に対し、施設の整備費及び運営費を助成しています。企業の従業員が利用する従業員枠と、地域の子どもを受け入れる地域枠があり、地域枠は待機児童対策としての機能を担っています。企業主導型保育所は区内には10園ありますが、現状では国が管轄する制度であることから認可外保育施設のうち認証保育所等保護者補助金の対象外となっており、認可保育園に入れなかった利用者からすれば不公平な状況になっております。企業主導型保育園についても認証保育所等保護者補助金の対象とすべきだと考えるが、区の見解を伺います。

【区長】企業主導型保育事業の運営費・整備費については公益財団法人児童育成協会から認可施設並みの助成が受けられるため保育料についても認可保育所並みであると認識しており、認証保育所等保護者補助金の対象外としている。一方で、第2子無償化の対象にはならず、保護者には不公平感が生じていることは承知しており、国の指導監督基準に適合している企業主導型保育事業については、一定の条件を満たす場合に補助の対象とすることを検討しているところである。

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