令和3年2月19日第1回定例会において一般質問をしました。
区政構造改革の考え方及び取り組みについて
区政構造改革の中長期の取り組みとして、事業、組織、施設の3つの再編という考え方が示されています。1月22日の総務委員会で基本計画素案のたたき台、区有施設整備計画素案のたたき台、職員定数の考え方が報告をされました。それぞれの報告はたたき台ですが、今後5年、10年の中長期的な基本的な考え方で3つの再編にも大きく関係する内容です。しかし区政の構造改革と言えるほどの大きな財政効果があるようには見えませんでした。基本計画の中で示された財政フレームの歳入は今後、回復基調となっていますが令和2年度並みに戻る見通しは立っていません。今後も行政需要の拡大や新規拡充事業によって歳出が増加していくことを考えると経常経費を削減していく取り組みは欠かせません。
構造改革の取り組みよりも事業見直しを徹底化し全事業を対象に内部評価をして一斉見直しをする方が効果的なのではないでしょうか、見解を伺います。
【区長】内部評価は毎年度約50〜60事業を評価する予定であり、それを継続することで区としては実効性ある行政評価ができると認識している。構造改革による事業の見直しでは、財政負担の大きい事業、事業手法の選択など行政評価と判断基準の異なる視点も求めており行政評価結果と組み合わせることで事業の最適化につなげていけるものと考えている。内部評価による事業見直しは歳出削減の観点から考えると一度、無駄を削減してしまえばその後の効果は限定的なものになります。構造改革という視点で考えると全庁的な管理コスト削減につながるような区政運営の指標を設定して効果を検証する取り組みが必要です。
基本計画の第5章「区政運営の基本方針」には生産性の向上や管理コスト削減につながる内容が示されています。これらの取り組みに指標を設定してはどうかと総務委員会で指摘をさせていただきましたが設定されておりません。第5章の第1節と第2節の内容を見ると一律に取り組みや指標を設定することは困難のように思われます。
一方で第3節「社会の変化に対応した質の高い行政サービスの提供。」にはデジタルシフト、新区役所の整備、公民の役割分担と事業手法の選択、区有施設の配置と管理などが記載されています。 これらは区政構造改革の方針、8つの視点と重複する具体的な取り組みです。区民サービスと生産性の向上、財政効果が期待される反面、財政負担も大きい取り組みなので費用対効果を計測するためにも行政評価の対象とするべきではないでしょうか。
【区長】基本計画(素案たたき台)第5章の3「社会の変化に対応した質の高い行政サービスの提供」に記載のある取り組みについては、今後の区役所の生産性向上や区民サービス向上に大きく影響するものとなっている。このうち、事業の効果と方向性を詳細に明らかにする必要があるものに関しては企画部が内部評価の対象事業に指定することも検討していきたい。
また本来であれば区政のPDCAサイクルを回すためには事業の上位にあたる政策、施策の体系化と指標化をして効果を検証しなくてはなりません。基本計画第5章第3節「社会の変化に対応した質の高い行政サービスの提供。」などの取り組みを政策体系として整理して構造改革の成果指標(指標)として設定すべきと考えます。見解を伺います。
【区長】構造改革においてはデジタルシフトの推進や施策事業の再構築など「社会の変化に対応した質の高い行政サービスの提供」につながる取り組みを方向性として示しており、検討中の実行プログラムでは目標を定め可能なものは数値化を検討していく。
中野駅駅前広場の整備について
1月29日の中野駅周辺整備・都市観光調査特別委員会で中野駅駅周辺広場デザイン案について報告がありました。その中で中野駅を中心とした4つの各駅前広場を統一感のあるデザインとするための考え方が示されました。緑ある豊かなイメージ、待ち合わせの際に腰を落ち着けられるような植栽やストリートファーニチャーを整備していただきたいと思います。今後、中野駅周辺の開発が進み新たな商業施設等が整備されます。将来的に新型コロナウイルスによる外出制限が緩和された際には人通りも増加します。その際に課題の1つになり得るのがポイ捨てによるゴミ問題です。私は約8年間、中野駅を中心にゴミ拾い活動をしてきました。東中野駅や西武線の複数の駅でもゴミ拾い活動をした経験がありますが中でも、特に中野駅現北口駅前広場の花壇と丸ベンチの内側は空き缶、弁当容器、傘など沢山のゴミが捨てられています。
エリアマネジメントの視点で考えても綺麗な景観を整備、維持することは街の価値を高めるためにも非常に重要です。その反対にゴミで景観が汚れてしまうと街の価値が低下してしまいます。将来的には駅前広場や商業施設の所有者、管理者の共同によりポイ捨てを抑制していくような取り組みも必要になります。効果があがれば街の価値向上と清掃費などの削減にもつながります。
中野区として現北口駅前広場のポイ捨ての状況を把握しているか。また、把握している場合、同じように区内で課題となっている場所はあるのでしょうか、見解を伺います。
【都市基盤部長】現北口駅前広場のゴミの投棄状況については広場の定期清掃や「区民の声」の投稿等を通して状況を把握している。ゴミの投棄は区内の各駅周辺など他の場所でも見られることであり区内全域に係わる課題である。駅利用者数に応じて中野駅周辺は投棄が多いと認識している。
現北口駅前広場はJR東日本と区が所有し協定を結んで中野区が管理をしています。広場が汚れてしまうと隣接するコンビニエンスストア、中野区、JR、それぞれのイメージ低下に繋がってしまいます。
現北口駅前広場の管理者である中野区がJRや近接する店舗との調整を進めてポイ捨てを抑制する取り組みを推進していく必要があるのではないでしょうか。見解を伺います。
【都市基盤部長】区では「中野区は吸い殻、空き缶等の散乱及び歩行喫煙の防止等に関する条例」に定めて地元町会・自治会や商店会など地域の関係団体、関係機関と連携・協力して吸い殻等のゴミの投棄防止の啓発活動や定期的に清掃活動を行っている。今後もこの取り組みを進めていく他、JR等に協力を求めていきたい。
その他の事例としては、中野駅南口からゼロホールへ向かう道路の線路沿いの壁とフェンスの間、ここにもゴミが溜まっています。ゴミが隙間に入ってしまうと拾うのが困難なため放置されやすくなります。環境犯罪学では割れ窓理論が有名ですが、ポイ捨てに関しても先行ゴミの存在は更なるポイ捨てを誘発することが指摘されています。ゴミを捨てやすい、集積しやすい空間については極力無くしていく必要があります。
今後、各駅前広場の管理者とそこに設置するベンチ、植栽などを設計施工する主体はどこになるのか、確認させてください。
【都市基盤部長】各駅広場は原則道路となるため管理者は原則道路管理者である中野区となる。各駅前広場の整備については、南口駅前広場は中野二丁目土地区画整理事業の施行者が西口広場は中野三丁目土地区画整理事業の施行者が新北口駅前広場は中野区がそれぞれの整備主体として事業を行っていく。
ゴミのポイ捨てについては先行ゴミの有無、看板や防犯カメラの有無、花壇の有無などでゴミのポイ捨てが減るという社会実験などもあります。中野区では環境美化について全庁的に統括する機能はなく、道路、公園、ゴミゼロ推進などが所管するエリアの環境美化に取り組んでいます。駅前広場を整備するにあたっては関連部署とも情報共有など連携を図りつつポイ捨てを抑制できるようなハードの設計と、他自治体の事例の確認やポイ捨てを抑制する取り組みについても検討していただきたいと思います。見解を伺います。
【都市基盤部長】駅前広場の整備にあたっては、美化活動や清掃など関連する部署と情報共有などの連携を図りつつ、ゴミが捨てられやすい空間や隙間などを作らないなど、設計上の工夫を行っていく。また、他自治体の事例なども参考に、ゴミの投棄を抑制する取り組みについても区内の他の駅前広場と合わせて道路管理者と連携して検討していきたい。
自治体DX推進計画と地域情報化推進計画について
政府は令和2年12月に自治体DX推進計画を公表しました。その中で地方公共団体が取り組む重要取組事項として① 自治体の情報システムの標準化・共通化、② マイナンバーカードの普及促進、③ 行政手続のオンライン化、④ AI・RPAの利用推進、⑤ テレワークの推進、⑥ セキュリティ対策などが示されております。1月22日の総務委員会で中野区地域情報化推進計画について「自治体DX推進計画」への対応を盛り込む必要があることから当初5月を予定していた策定の時期を8月に変更すると報告がありました。自治体DX推進計画の中で特に課題があると考えられる自治体システム標準化・共通化について伺います。
政府は自治体が共同で利用するガバメントクラウドを構築することによりサーバーやOSのコスト削減を図り、庁内外とのデータ連携などを推進する計画を立てています。自治体システムの標準化とはガバメントクラウドを利用するにあたり、各自治体が契約する住民基本台帳、地方税などの15業務の基幹情報システムの仕様を標準化する取り組みのことを指します。
デジタルガバメント実行計画の中で自治体が令和5年から令和7年に移行する場合は対応に必要な費用を全額補助するという方針を発表しています。根拠法となる地方公共団体情報システムの標準化法案が今国会に提出されておりますが、中野区としては自治体システム標準化・共通化への対応についてどのような検討状況か、伺います。
【企画部長】現在、情報収集に努めるとともに先行して標準化の検討が進んでいる住民記録及び個人住民税におけるシステムについて国から示された標準仕様案の分析を行っているところである。標準化への対応については地域情報化推進計画を改定する中で考え方を整理しアクションプランへの反映を行いたいと考えている。
また自治体システムの標準化・共通化に対応することでどんなメリットと課題があると認識しているのか?見解を伺います。
【企画部長】他システムとのデータの渡しの際、個別対応をしていた作業が標準化により大幅に削減されること制度改正等によるシステム修正を個別対応しなくて済むようになるなどメリットは大きいと考えている。一方で国の定めた令和7年末までの間、対象となる15業務について業務フローの変更、既存システムからの移行などが必要になること同時期に新庁舎整備を予定していることなどからマンパワー確保やスケジュール管理など課題も大きいと考えている。
自治体システム標準化・共通化についてはメリットがある一方で懸念事項もあります。15業務の基幹情報システムの内、標準化の仕様が示されているのは住民基本台帳の1業務であり、全基幹業務の標準化仕様が示されるのは令和4年の8月頃です。仕様が決定したのちに現在、基幹業務システムを提供しているベンダーはサービス内容を標準化に対応する作業が発生し、中野区としては標準化に対応したベンダーとの契約が必要になります。
中野区は15業務のうち、住民基本台帳、国民健康保険、選挙人名簿管理、個人住民税、軽自動車税、国民年金の業務データを庁舎内のハードウェアで管理し、それ以外の9業務のデータについては統合仮装サーバー内に管理しています。中野区は令和4年度に統合仮装サーバーの見直し、令和6年度に新庁舎への移転が控えています。ガバメントクラウドへ移行する場合はそれまでにデータ所有の考え方と三層分離の見直し、15業務の基幹業務システムの標準化対応を完了させることが必要になります。スケジュール的に過密で、対応する労力もかなり必要なため現実的に移行が可能なのか懸念しています。
中野区としては自治体システム標準化・共通化の対応について本格的な検討はこれからだと思いますが、現実的に対応が可能なのか他の自治体の取り組み状況なども参考にしつつ、必要とあれば国へスケジュールの見直しなども要望すべきと考えますが、見解はいかがでしょうか。
【企画部長】具体的なスケジュールの設定は今後の精査していくことになるが、必要があれば国へもスケジュール見直しを始めとした要望等について伝えて参りたいと考えている。
中野区議会議員(無所属)1987年1月29日生まれ 36歳 卯年 中野区・中野在住
法政大学大学院政策創造研究課程修了。大学在学中は極真空手に打ち込み関東大会準優勝。2010年には東京大学アントレプレナーシップ論講座で最優秀賞を受賞。2015年中野区議会議員選挙で1268票獲得するもあと170票およばず落選。その後、インターネット投票を推進するIT企業を経て2019年初当選。共著に「弱者にやさしい会社の話」(KINDAI E&S BOOKS)
所属委員会
総務委員会 副委員長/情報政策等調査特別委員会 委員
その他活動
NPO法人ストリートデザイン研究機構 専務理事/グリーンバード中野チーム リーダー/昭三自治会 防災部長/中野消防団第六分団 団員/東京青年会議所中野区委員会 広報幹事/第45回わんぱく相撲中野区大会 実行委員長/中野区赤十字奉仕団昭和分団 団員/昭和区民活動センター運営委員会 委員/中野区青少年育成昭和地区委員会 委員/中野区交通安全対策協議会 委員/中野駅前大盆踊り大会実行委員会 委員