区の予約・申請システムを統合せよ!〜令和3年第3回定例会一般質問〜

令和3年第3回定例会の一般質問をご紹介します。
今年度から決算特別委員会の副委員長を務めさせていただくため、総括質疑ができません。一般質問では決算がらみのことも交えて質問をしました。

1.財政運営の考え方についてです。
東京都の総務局が公表した令和2年度の特別区普通会計決算によると特別区平均の経常収支比率は81.9%で前年から2.7ポイント上昇しております。前年を下回ったのは大田区と中野区のみで中野区は77.1%で前年から−3.2ポイント低下しており、大きな要因として公債費が前年から15億5千万円減少したことがあります。今後も新庁舎の建て替えで多額の公債費の発行を予定しており実質公債費は令和6年に55億円、令和7年に219億円と増加することから施設整備にかかる財源を計画的に積立てなくてはなりません。

構造改革実行プログラムの基本指標において、減価償却相当額の25%を特定目的基金に積み立てると目標が示されています。これまで基金積立に関する目標がなかったので後年度の施設更新に必要な経費を計画的に積立てるための指標がでてきたことについて評価をしたいと思います。令和3年度の特別区民税と財政調整交付金の経過を見る限りでは予算ベースを上回っておりますが、令和2年度決算と比較するといずれも減少の見込みです。令和3年度以降の税収見通しが不透明なコロナ禍においては区民生活を支えるための政策を速やかに実施していく必要があるため、財政運営においても一定の柔軟性が求められます。

特定目的基金の積立により財政運営が硬直化してしまう恐れもありますが、施設整備スケジュールが後ろ倒しになってしまっており、今度はスケジュール通りに確実に更新していくためにも計画的な積立は必要です。本来であれば基本計画の区政運営の考え方に基金積立の指標を明記するべきだと思います。コロナ収束後には基本指標を遵守して財源の積立が計画的に行われるように今後の考え方など質問してまいります。

令和3年度一般会計第4次補正予算では決算剰余金から2億6400万円を義務教育整備基金として積立てるとしていますが、財政調整基金の施設改修分、社会福祉整備基金の積立が行われていません。どのような理由で見送ったのか伺います?

【酒井区長】今回の補正予算では不測の事態により区民サービスに影響が生じないよう財政調整基金と今後の見込み金額の大きい義務教育施設整備基金の2つに絞り、積み立てたものである。令和4年度予算編成にあたっては歳入状況や事業見直し等による歳出の削減状況、施設整備の進捗状況と基金残高などを勘案しながら、構造改革実行プログラムで示した考え方の実現に向けて検討していきたい。

減価償却費の25%の数値を目標としておりますがいくつか課題があると思います。例えば減価償却費を基準とした場合、建設時と現在の物価の差額があるので、更新費用が想定よりも高額になることもあります。また更新ではなく新しい施設を建てる際の費用は含まれません。他にも小中学校など耐用年数の考え方を50年から70年に見直しておりますが、耐用年数を超過した施設に関しては単年度の減価償却費には計上されません。このような単年度のフローの数値ではなくストックの減価償却費累計額を参考にしていくべきであると考えます。

令和2年度決算ベースの教育施設、社会福祉施設、財政調整基金の施設改修分それぞれ対象となる施設の減価償却費累計額の25%はいくらになるのか?また、財政調整基金の施設改修分、義務教育整備基金、社会福祉施設整備基金の残高について。伺います。

【酒井区長】令和2年度決算ベースで義務教育施設整備基金の対象となる施設における減価償却累計額の25%は80億7100円余であり、義務教育整備基金の残高は199億7700万余である。社会福祉施設整備基金の対象となる施設における減価償却費累計額の25%は29億1500万円余であり、社会福祉整備基金の残高は35億2300万円余である。財政調整基金の施設改修分の対象となる区有施設における減価償却累計額の25%は129億7300万円余であり、財政調整基金の施設改修分の残高は95億9900万円余である。

本来は当初予算で財政調整基金の施設改修分と特定目的基金への積立を行うべきですが令和3年度の予算編成のように歳出超過だと特定目的基金には積み立てられません。令和4年度の見通しはわかりませんが基金残高が減価償却費累計額25%に満たない基金に関しては当初予算で優先的に積立ててはどうでしょうか?

【酒井区長】当初予算で計画的に基金に積み立てていくことが望ましいと考えているが、令和3年当初予算においては一般財源の歳入より一般財源充当の歳出が上回る、いわゆる歳出超過の状況であったことから施設整備の特定目的基金への積み立てを見合わせたところである。しかしながら、将来の施設更新に備え計画的に基金に積み立てていくことは必要であり、令和4年度予算においては歳入状況や事業見直しというによる歳出の削減状況、施設整備の進捗状況と基金残高などを勘案しながら検討していきたい。

目標値を減価償却費の25%に設定したのは残りの75%に起債を当てるということだと思います。75%は起債充当限度額なわけですが限度額を前提に基金積立目標を立てて公債費負担率を10%以内に抑えることができるのか疑問があります。

新庁舎の建て替えで令和7年度に一時的に公債費負担比率が約27%になることが予定されています。令和8年度以降は公債費負担比率を10%以内に抑えて施設整備計画どおりに施設を更新していくことは可能なのか、区の見解を伺います。

【酒井区長】次期基本計画の計画期間である令和8年度から12年度までの公債費負担比率は概ね7%台で推移することから10%以内に抑えて計画状の施設整備を進めていけると考えている。

令和2年度の経常一般財源および経常経費充当一般財源等の推移を見ると人件費についで物件費の構成比率が高く、令和元年は約150億円、令和2年度は158億3千万円と前年から約8億3千万円増加しております。仮に人件費を圧縮することができたとしても物件費がそれ以上のペースで増加すれば財政を圧迫することになりますので、物件費を抑制していくための委託事業マネジメントが今後の課題になります。

構造改革実行プログラムの「決算分析を元にした予算編成手法の確立」の中で所管によって同一の委託等にかかる費用を比較分析し、単価の違いなどの妥当性を検討の上、全庁で共有し事業経費の削減に取り組むとあります。具体的にどのような内容を想定しているのでしょうか。

【酒井区長】令和3年度においては、施設管理業務や廃棄物処理業務にかかる契約など、区有施設で共通して発生するような経費の単価を比較分析している。分析結果については、全庁で共有し令和4年予算編成につなげていきたいと考えている。

その他にも所管が個別に契約している委託事業について再契約の際には効率化の観点での見直し、予算削減をする必要があると考えます。令和2年度の行政評価の企画部選定事業は委託事業を中心に選定していていますが、今回の行政評価の結果を受けて次年度は事業の選定も含めてどのように改善するのか見解を伺います?

【構造改革担当部長】区政運営のPDCAサイクルにおいてチェックとなる行政評価からアクションとなる改善・見直しにつなげるためには評価対象事業の見立てや選定がポイントであると考えている。区政運営のPDCAサイクルにおいてチェックとなる行政評価らからアクションとなる改善・見直しにつなげるためには評価対象事業の見立てや選定がポイントであると考えている。今年度の行政評価の結果に加え、アンケート調査や社会動向など様々な情報を参考に評価対象事業を選定するとともに外部評価を活用したより実効性のある行政評価としていく考えである。

2.地域団体との連携の考え方について
先日、私が所属している自治会で災害時を想定した安否確認訓練を実施しました。自治会の役員と民生児童委員さんの協力のもと避難行動要支援者の方々を対象に安否確認用のタペストリーを事前配布して、訓練当日に玄関前に掲げてあるタペストリーを確認するという内容です。訓練後の反省会で民生児童委員の方からオートロックのあるマンションは中に入れないなどの理由で普段から見守り活動ができていないマンションがあるという意見がありました。近年、集合住宅に住む一人暮らしの高齢者の方が増加しており、高齢化に伴い今後も増加していきます。軽く調べた限りではオートロックマンションなどの集合住宅の見守りができている地域とそうでない地域があるようです。

中野区としても全地域の状況を把握するため民生児童委員協議会の中で各地域の状況を確認してみてはどうか?またオートロックマンションにアプローチできている地域のノウハウを共有するため民生児童委員協議会で勉強会を開催してはどうか。

【地域支えあい推進部長】近年、集合住宅でオートロックマンションが増加していることは承知している。各地域の民生委員がどのように対応しているか、また活動にどのような支障があるかなど今後、民生児童委員協議会と相談しアンケート等の実施を検討する。その上でアンケート等の実施結果をもとにオートロックマンションへのアプローチ方法を共有して参りたい。

本来であれば集合住宅が町会または防災会に加入してもらい居住者同士の見守り、災害時の避難支援ができる体制を作れるのが望ましいですが、集合住宅によって管理組合がある場合、ない場合など様々なケースがあるので一元的な対応は難しいと思います。一般的には集合住宅にお住いの方は一戸建の方と比べて近所づきあいが乏しいと言われていますので、その状況を詳しく把握して対策を講じていく必要があります。

区は要支援者に対して災害時個別避難支援計画書の作成をお願いしていています。令和2年度の調査によると調査対象者35,436名のうち調査拒否・不在者2534名、計画作成者の15,501人のうち支援者なしの方が4,610名おります。災害時は地域の防災会も避難所の運営対応などに人員が割かれていますし、これだけの数の避難行動要支援者への安否確認、救助に手が回るのか疑問があります。避難行動要支援者の方が居住している建物の老朽化状況など居住環境によってはより早期の対応が求められ要支援者の方もいらっしゃいます。オートロックマンションにお住いの方も災害時にエレベーター、電気水道などライフラインが遮断されてしまった場合に取り残されてしまう恐れがあります。中野区としても計画作成者や無支援者の状況や傾向を把握した上で対策を進めていかないといけません。

災害時個別避難支援計画書を作成していない方、または無支援者の方のうち集合住宅、一戸建てなど居住環境の分析をしてはどうか?

【地域支えあい推進部長】区は円滑かつ迅速な避難を確保するための災害時個別避難計画書について郵送調査に加え返信のない方に対しては、すこやか福祉センター職員による訪問調査なども実施して作成を進めているところである。居住環境の傾向と計画書作成状況との関係性について、現在特に分類はしていないが要支援者情報台帳システムを活用して分析できるかどうかについて検討していく。

普段から見守りができていないマンションの場合、災害時に救助にいくのは困難なため、管理組合、管理会社に対して一定の協力を求め連携をはかる必要があると考えます。区の見解を伺います?

【地域支えあい推進部長】区では現在、町会・自治会や希望する地域防災会に対して要支援者に関する名簿を配布しておりこの情報に基づき、避難行動要支援者に関する安否確認訓練を一部の町会・自治会や防災会が実施しているところである。災害時における要支援者の救助においてはオートロック機能のついたマンションなどは本人との接触が困難であることが予想される一方、プライバシー保護の観点から管理組合や管理会社に対してオートロック解除などの協力を求めることはできない状況である。こうしたことから、日頃から町会や防災会の防災訓練などを活用した地域の人間関係づくりが人命救助に大きな役割を担うこととなるため安否確認訓練などを通じた避難行動要支援者と各町会、防災会との関係づくりについて区が適切な支援を図っていきたい。

3.会議室、イベントスペースの考え方について
中野区区有施設整備計画案に示されている通り、旧商工会館は現在、子ども家庭支援センターとして使われており将来的には建て替えが予定されています。社会福祉会館についても、現段階では生活援護の機能が移転することが予定されています。私もよく利用しておりましたが旧商工会館、社会福祉会館の会議室は利用対象者の範囲が広く抽選もないので区民活動をしている団体にも利用しやすいです。地域の担い手となる団体が活動しやすい環境を作るためにはイベントスペース、会議室はとても重要だと思っています。

中野駅周辺の再整備と施設の再編が進む中で区民が活動できる会議室、イベントスペースなどを整備していく必要があると考えます、区の見解を伺います。

【構造改革担当部長】今後の区有施設の整備にあたっては施設の設置目的や地域のニーズなどを勘案し、区民の自主的な活動や交流のためのスペースの確保も検討していく。

国や都のDX推進により電子手続きは国のマイナポータル、東京都の電子自治体共同運営サービスに統合されていきます。中野区の電子申請システムは図書館予約システムやナイセスによる施設予約システム、粗大ゴミ回収の申請システムなどに分かれています。構造改革実行プログラムの中で区民活動センターの運営のあり方を検討するとあります。将来的にはネット予約への対応も検討されていくのだと思います。区有施設は施設ごとに所管が異なることからも団体登録、利用予約をする際にも独自のローカルルールがあるので予約システムを統合する際の課題になっています。区民の利便性とシステムの運営コストの観点から区民活動センターのネット予約、その他の区有施設の予約や申請手続きを1つのシステムに統合し、スマートフォンから簡単に手続きができるようにしていただきたいと思います。

新庁舎においても会議室やイベントスペースの設置が検討されていますが、新しい会議室、イベントスペースを整備する際には他の施設にも適用できる共通規格となるルール設定し、区の予約申請システムの統合を図る必要があると考えます、区の見解を伺います。

【構造改革担当部長】既存施設においては予約方法や団体登録などが施設ごとにまちまちであり、利用しにくいという声や空いているのに使えないという声をきく。施設の有効活用という観点から利用ルールのあり方や予約システムの可能性などを検討していく。

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