AI学習ドリルの費用は区が負担するべき~令和5年第3回定例会一般質問~

令和5年第3回定例会において一般質問を行いました。質問と答弁を全文掲載いたします。

1.区有施設再整備について

中野区の区有施設整備計画は令和3年度から令和12年度までが計画期間となっておりますが、施設の跡地活用の考え方や、計画後期の取り組みが具体化されていません。計画後期には鷺ノ宮小学校跡地の施設複合化や保育園幼稚園の建替え計画などを具体化していくべきことがあります。また先日の子ども文教委員会で児童館運営・整備推進計画の考え方が示されましたが、児童館の考え方が変更されたことで区有施設再整備計画と齟齬が生じています。老朽化が進んでいる児童館もあり、今後の施設配置を決定するうえで建替えるのか大規模修繕するのか検討を進め中長期的な児童館の在り方を示さなくてはなりません。しかし、児童館運営・整備推進計画は令和6年度から令和10年度までの5か年となっておりますが計画期間の根拠が不明です。

児童館の方針が9館から18館に変更にされたわけですが、9館の方針の際には児童館跡地には保育園、児童養護施設などの児童福祉施設、グループホーム、老人ホームなどの介護・障害福祉施設などの民間施設の誘致が検討されていました。これら介護・障害福祉施設などの行政需要は少子高齢化が進むにつれて益々増加していきます。こういった課題を踏まえて区有施設全体の考え方を早期にしめすべきではないでしょうか。区有施設再整備計画の改定時期と、改定後の計画期間についてどのように考えるのか見解を伺います?

【区長】区有施設再整備計画の改定時期は基本計画の次期計画の策定と合わせて改訂する考えである。計画期間については、公共施設等総合管理計画も包含した計画とすることから10年の計画期間を検討している。

また、児童館跡地に誘致するはずだった民間施設の必要性をどのように考えているのか見解を伺います。

【区長】区有施設再整備計画では、閉館する児童館を児童福祉施設や介護・障害福祉施設の誘致を検討する候補として示していた。認知症高齢者グループホーム、都市型軽費老人ホームなどは第8期介護保険事業計画で整備目標としていた施設数に到達しておらず、誘致が必要であると考えており、児童館以外の跡地等を活用することを検討している。

今後の少子高齢化の加速に備えて社会福祉法人などグループホームなどを誘致するための土地も確保していく必要があります。そのためには区有施設の複合化によって土地を確保していくことが重要です。複合化は同時期に施設の更新をしなくてはなりませんが、実際には施設の更新時期はズレています。現在改廃の考え方や建て替え時期が未定の施設についてもライフサイクルコストが安くなるのであれば建て替えの時期を前倒して複合化を図っていくことなども検討が必要です。区有施設再整備計画では複合化を図って施設の維持費や管理費を抑制していこうという方針であるが、改めて中野区として複合化を進めていく必要性とそのメリットをどう考えているのか見解を伺います。

【区長】施設を複合化することによって、整備工事の効率化、延床面積や維持管理コストの縮減が図られることや、機能を集約することで施設を利用する区民等が1つの施設で様々なサービスを享受できるなど、利便性の向上につながることが考えられる。

また、施設の集約・複合化を行うことにより、未利用となる土地・施設を生み出し民間施設誘致を含めた新たな活用や貸付・売却等に伴う財政効果が見込まれると考えている。

区有施設再整備計画では延床面積を縮小していくという方針でしたが、新しく建設する施設に関しては面積と更新費用が増加している傾向にあります。平米あたりの単価は近年の物価高騰の影響で単価が上昇していることが想定されます。施設白書では現施設と同規模を過程して施設更新経費の将来推計をしており、これらは理論値であるものの、市民文科系、社会教育系、行政系施設の更新単価を1平米40万円。スポーツ・レクリエーション系施設は建て替えが1平米36万円、子育て支援施設は建て替えが1平米33万円と設定しており、大規模改修は更新費の6割程度の金額を見込んでおります。現状の数値として行政系当施設、スポーツ・レクリエーション系施設、教育系施設、子育て系施設などの平米あたりの更新単価と差額についてについて伺います。

【区長】現状の1平米あたりの更新単価については、市民文化系施設は43万円、スポーツ系施設は78万円、子育て支援施設75万円となっている。施設白書記載の1平米あたりとの差額は、市民文科系施設は3万円。スポーツ系施設は42万円。子育て支援施設は42万円となっている。

2.防災対策について

9月1日で関東大震災の被災から100年の節目にあたります。今後、30年内に高確率で同規模の震災が発生すると言われおり、想定外の自体がないように防災対策に取り組まなくてはなりません。新型コロナウイルス感染症の影響でこの4年間避難訓練を実施できていない防災会も多いと聞きます。私も先日4年ぶりに開催された地域の避難所運営会議に参加をしてきました。この4年の間に新しく中野区に転入した住人もおりますので、普段、町会などとの接点がない住民に対しても防災の取り組みに対して積極的に参加を促していく必要があります。

新しく建設されたオートロック付の高層マンション等、住民と郵便局員しか入ることが認められていないマンションも増えており、民生児童委員による日頃の見守り活動にも支障をきたしておりますし、地域との接点がないマンションが今後増加していくように思います。現在中野区には6階建て以上のマンションが1300ほどありますが、防災会を組織しているマンションは16棟です。避難所は事実上、町会・自治会の役員が運営を担うことになりますが高齢化していること、オペレーションが複雑であることから、地域に住んでいる現役世代等に日頃からかかわってもらうような顔の見えるような関係構築を進め町会・自治会の活動を知っていただく仕組みも重要です。そのためにはマンション内での防災会設立を促して地域の避難所運営会議等に参加を促していかなくてはなりません。

中野区では管理計画が基準を満たすマンションに対して修繕などを有利な条件で行えるようマンション管理計画認定制度を本年の8月に導入しております。この認定制度は自治体毎に独自の認定基準を設けることができます。「マンション内の地域防災会の設立、地域の防災会との交流など」中野区の独自基準を設けてマンション内での地域防災の取り組みを誘導してはどうか?

【区長】マンション管理計画認定制度については、国の基本方針と同一の認定基準により開始したものであるが、現在の基準においても災害等に迅速な対応を行うため、組合員名簿や居住者名簿を適切に備えることを求めている。今年8月に開始したところであり、まずは制度の普及啓発に取り組んでいるとともに、本制度の将来的な方向性については、制度の普及状況や他の自治体の動向等などを勘案しながら研究を行っていく。

防災対策として避難所区域の関係団体との連携も強化しなくてはなりません。現状、保育園・幼稚園については建物内の避難が想定されており、風水害の際には一時避難所への避難が想定されています。建物の倒壊の恐れがある際には避難所への移動が想定されていますが、避難所側にはどの保育園・幼稚園が避難をしてくるのか情報が共有されていません。首都直下地震が発生した際には避難所での受け入れも想定されるため連携をとらなくてはなりません。避難所に対して保育園・幼稚園の避難情報を共有するべきではないのか?区の見解を伺います。

【区長】区内にある保育園や幼稚園は所在地の避難所に避難することとなるため、各地域の避難所を運営する法再開と避難対象となる施設等が避難情報を共有できるように努めていく。

3.ICTを活用した教育環境について

中野区では令和2年度からGIGAスクール構想によって児童生徒に1人1台のICT端末が導入されています。文部科学省はICT端末を活用することで多様な子ども達を誰一人取り残さない公正に個別最適化された教育環境を目指しています。児童生徒は一人ひとり家庭環境、健康状態、就学状況などが異なりますので、各所管にまたがる行政データの連携によって児童生徒の状況を正確に把握することもできます。そういった情報に加えて学習履歴を参照して勉強の進捗状況や得意不得意などに合わせて学習の「個別最適化」を推進してくことが期待されます。教育データの活用についてはデジタル庁型の住基、税情報、学齢簿などの庁内データと学校側が所有する学習系、校務支援系のデータと連携して、学習の進捗状況から家庭の状況まで把握するパターンと、文科省型の児童生徒が学校や家庭において、学習やアセスメントができるシステム、メクビットを活用したパターンがあります。

中野区の小中学校のICT施策に関する計画は「中野区教育の情報化推進計画」に示されており、計画期間は、令和3年4月から令和8年3月までの5年間とし、概ね3年を目途に、教育の情報化に関する状況の変化や事業の実施状況を踏まえ、必要な改定を行うこととします。今年度は改訂を見据えた検討段階に入ります。この3年間、教育の情報化に関する状況は日々変化をしています。現状の中野区の教育情報推進計画において教育データの活用について示されておりません、改定にあたり内容を示すべきと考えるがどのように検討を進めていくのか見解を伺います。

【教育長】中野区教育の情報化推進計画の改定に向けてデジタル庁と文部科学省の関係省庁が策定した「教育データ利活用ロードマップ」や国等の動向も踏まえ、児童生徒の学習データ等の活用についてどのように記載するか、研究を進めていきたいと考えている。

メクビットは学習Eポータルと接続したシステムで、教材や試験問題を他の自治体とも共有できる仕組みになっており文部科学省が活用を進めています。今年度、メクビットとは別に中野区ではキュビナというAI学習ドリルを全小中学校で無償利用していますが、来年からは有料になります。またキュビナ以外のAI学習ドリルを保護者負担によって利用している学校もあります。文科省が進めている仕組みを考えると。今後AI学習ドリルは必須のツールになると想定されるため、来年度からはAI学習ドリルに関する費用は区側が負担していくべきと考えるが、見解を伺います。

【教育長】今年度は試験的にAI学習ドリル「キュビナ」を全校に導入するとともに、学校の希望により、その他の学習ドリルも使用できるようにし、比較検証を行っている。7月時点で全校児童の約5割、全校生徒の約3割が週1回以上AI学習ドリルを使っていることがわかっている。また夏季休業中は多くの児童・生徒が宿題や自主学習として意欲的にドリルに取組んだとの報告を学校から受けている。AI学習ドリルの導入に係る費用負担については各小・中学校の要望も含め、総合的に判断していきたいと考えている。

子ども達の教育環境を向上するためには、教員の働き方改革も同時進めていかなくてはなりません。中野区の「区立学校教員の働き方に関する教員意識調査結果概要」によると、回答者474人に対して業務が多忙と感じると回答している割合が69%「どちらかというと感じている26%」合わせて95%の教員が多忙と感じているという結果が出ています。もっとも負担を感じる業務はという複数回答の設問で「調査への回答・各種の申請等」と回答したのが373名で、ダントツで一番多くなっております。調査業務に関しては国や都からのものも多く数を削減していくことは困難ですが、回答方法や集約を効率化していく工夫ができないのでしょうか。調査と各種申請等の業務の負担について教育委員会の認識と今後の対応策について見解を伺います。

【教育長】区立学校教員の働き方に関する教員意識調査において、教員の業務として「調査への回答や各種申請等」が負担になっていることは認識しており、負担軽減について「中野区立学校における働き方改革推進プラン」の改定の取り組みのなかで検討をしていきたいと考えている

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