令和4年第4定例会一般質問~新庁舎移転後はデジタル3原則を実現せよ~

令和4年第4回定例会の一般質問と答弁を全文を公開します。

1.自治体DXについて、

初めに新庁舎移転後のICT施策について伺います。

令和6年の新庁舎移転を契機に職員の働き方改革、行政手続きのオンライン化、新たな窓口サービスの導入など中野区のDX施策は大きく前進していくことになります。令和元年に施行されたデジタル手続法の3原則に1.デジタルファーストの実現、2.ワンスオンリーの実現、3.コネクテッド・ワンストップの実現が掲げられております。1のデジタルファーストとは行政手続きなどをデジタルで本人確認や支払いなどを完結する原則です。2のワンスオンリーとは、一度提出した情報は再提出不要とする原則です。3のコネクテッド・ワンストップとは行政と民間が関連する各種手続きを、1か所で完結させる原則です。 新庁舎移転後はデジタル3原則を実現する体制を整備しなくてはなりません。

先日、総務委員会で新庁舎移転後の窓口サービスの考え方について2つの機能が示されました。1つめはマイナンバーカードを読み取ることで住民の氏名、住所、生年月日、性別の4情報を申請書に印刷して入力することができる機能です。2つめはスマートフォンやPCからWEBフォーム等に事前登録した情報をQRコードに表示して機械で読み込むことで、先ほどの4情報に加えて続き柄、本籍等の情報を申請書に印刷する機能です。この機能を導入することで申請書に記載する情報をすべて網羅できるようにし、申請書を発券する際、区民が手書きで情報を書く作業が無くなるようにすべきと考えます、検討状況について伺います。

【区長】新庁舎における区民が書かない窓口サービスはマイナンバーカードの活用やウェブフォームによる事前入力機能を活用した申請書自動交付機の導入を予定している。ウェブフォームによる事前入力機能を活用した場合は4情報の他、世帯員や続柄、本籍などの情報を含めた申請書を作成することが可能となる。ただし、申請書の署名など一部の項目については、手書きでの記載が必要となる。

これらの機能については、戸籍住民課の手続きに限らず、全庁的に活用することで、書かない窓口を拡充し、区民サービスを向上していくべきであると考えます。対象手続きに係る現在の検討状況と、新庁舎移転に向けた今度の検討スケジュールについて伺います?

【区長】令和5年度に戸籍住民課窓口で申請書自動交付機の先行導入に向けて準備を進めている。戸籍住民課窓口では申請数の多い、住民移動届や証明書交付申請書など11種類の登録を想定している。令和6年5月の新庁舎への移転時には先行導入した、申請書自動交付機を新庁舎2階3階に移設する予定である。戸籍住民課窓口の申請書以外への拡大は、新庁舎2階3階窓口の申請書を想定しているが、先行導入での利用状況等を検証して利用できる申請書のさらなる拡大について検討していく。

自治体情報システム標準化・共通化によって、データの標準要件が定義されるため、区独自でシステム改修することにより、データ連携ができるようになります。これにより、一度提出された情報であれば、異なる所管が管理するシステムから情報を引っ張ってくることができるので、ワンスオンリーによるワンストップサービスが実現します。例えば申請書の発券する際に情報を窓口側と連携することで区民が窓口で同じ情報を書いたり、提出しなくてよくなります。標準化・共通化が完了するのは令和7年度なので新庁舎移転よりも後になります。基幹システム標準化課長がワンスオンリーの実現に向けて全庁的に調整を進め、区民サービスがどのように改善されるのかビジョンを打ち出していくべきと考えます。中野区としては標準化・共通化完了後にどのように区民サービスが改善されると考えるか、見解を伺います。

【区長】標準化に向けては業務フロー等の見直しが重要とされており、単なる標準準拠システムへの移行にとどまることなく全庁的な業務改善も不可欠であると考えている。標準化の完了後は行政手続きのオンライン化に寄与するシステム連携の要件が標準化され例えば区役所に来ることなく手続きが可能な国のマイナポータルからの申請メニューが更に広がるなど標準化のメリットは大きい。今後、こうした標準化のメリットの全庁的な活用による区民サービスの飛躍的向上についてのビジョンを持ちながら「ワンスオンリー」の実現に向け関係所管との連携・調整を着実に推進していきたい。

次にICT教育施策について伺います。

文部科学省は平成31年に「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン」を策定し勤務時間外の労働時間についての目安を示しました。勤務時間外の労働時間の目安は、1ヶ月で45時間、1年間で360時間以内としています。令和2年度、令和3年度はコロナウイルス感染症の影響で労働時間は減少している傾向にあると思いますが、それ以前は教員の労働時間は年々伸びている傾向にありました。中野区の教育要覧には、教職員庶務事務システムを活用することで令和2年度から教員が学校に在校している時間が客観的にわかるようになったと記載されております。新たに目標として設定した、中野区の教職員で勤務時間外労働が1か月あたり45時間を超過している教員の傾向と割合を伺います。

【教育長】令和3年度の調査では45時間をこえる教職員の割合は48%であり、庶務事務システム導入前の令和元年度と比べると教職員の週当たりの平均在校時間は小学校でおよそ2時間30分、中学校でおよそ8時間30分減少している。一方、長時間勤務している教員が概ね固定化しているといった傾向がみられており、教育委員会から教員に対して勤務時間を記載した通知を個別に行うことで勤務時間に対する意識も高めてもらうとともに、医師による面接指導を受診できる機会を設けている。さらに、一定時間を超える教員には必ず受診するよう伝えている。

加えて、教員の勤務時間外労働時間については公表して、毎年の状況を把握すべきと考えますが、こちらは要望にしておきます。教育情報化推進計画 は令和3年4月に作成されました。大きくは「学び方改革」と「教え方改革」と「働き方改革」と、それを支えるICT環境の推進という四つの目標体系があり、取組がステップ1、ステップ2、ステップ3と示されています。来年度の令和5年度と翌年の令和6年度はステップ2に移行するタイミングとなります。ステップ2には教職員の在宅業務部分運用開始、校務外部接続系ネットワークの構築など教職員の働き方改革に関する重要な取り組みが含まれていますが、いまだに議会で考え方が示されていません。

現状では児童生徒の成績などプライバシーに関する情報はインターネットに接続しない校務系システム上で管理されています。他にはインターネットを閲覧したり、メールなどの作業は庁内系ネットワークまたは学習系ネットワークの端末で行われています。教職員は用途に応じて複数の端末を操作することになっています。また校務系ネットワークの端末はインターネットにつながっていないので、他の端末にデータを手入力する手間が生じるなど作業効率が悪く、端末の台数が増えることでコストもかさんでいます。ネットワークと端末を統合することで端末のリース料金を圧縮してかなりの財政効果が見込めます。また、自治体情報システム標準化・共通化完了後にはデータ連携により教育データを可視化することができるため学校経営・学習指導の高度化を図ることができます。

現在は児童生徒に配布している一人一台端末が約15000台あります、それに加えて校長先生・副校長先生などの管理職が3台、教職員が2台の端末を利用していると伺っています。管理職・教職員の人数と利用している端末の台数について、伺います。

【教育長】学校管理職は校長および副校長の計60名であり、各自、庁内情報系、校務系及び教育系の3つの端末を利用しているため、合計の端末数は180台となる。教員は小学校498名、中学校205名の計703名であり、各自校務系及び教育系の2つの端末を利用しているため、合計の端末数は1406台となる。

新庁舎移転に向けた職員のネットワーク環境を検討する際に、インターネットの接続に用いる時間や、ファイルの無害化処理に用いる時間を計算して改善するとどの程度の時間が削減できるのかを試算しておりました。教育委員会においても学校現場のネットワーク環境の再構築と端末の統合について、利便性・安全性・コスト面などの観点から複数の案を比較して議会に報告すべきと考えるが、検討上の課題と今後のスケジュールについて伺います。

【教育長】学校内には庁内情報系、校務系及び教育系の3つのネットワークがあり、それぞれで作成した資料の共有に時間を要しておりネットワークの再構築による業務の効率化を見込んでいる。ネットワークの再構築にあたっては、不正アクセス防止等の十分なセキュリティ対策が講じられるよう、国の「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」等を参考に、技術的な進展を踏まえて検討を進める必要がある。来年度改訂する中野区教育の情報化推進計画の中で、課題の整理と構築スケジュールの詳細について明らかにしていく。

ネットワーク環境を見直すことで教職員のモバイルワークも可能になります。現状では授業の教材作成など、仕事を自宅に持ち帰っているケースがあると伺っています。その際にはUSBにデータを保存して自宅の使用端末にデータを移して作業をしています。モバイルワークに対応した環境を構築することでこういった手間を省略することができますし、コロナウイルス感染症の濃厚接触者に指定されても自宅から授業を行う環境を整えることもできます。教職員庶務事務システムにより勤務時間を正しく記録することができれば、超過勤務の抑制も可能です。

自宅や出張先からでも業務を行えるモバイルワークの体制整備を進めて欲しいという学校現場のニーズについて、教育委員会の見解を伺います。

【教育長】令和2年度の新型コロナウイルス感染症拡大下においては教育委員会から各校に配備したモバイルルーターとタブレットを用いて自宅からオンライン授業や教材研究、教材作成を行っていた。現在、学校にはモバイルルーター等は配備されておらず、教員からのニーズの1つとして自宅でも業務ができる環境の整備がある。今後、ネットワーク環境を再構築し、教員が自宅からでも安全に業務が行えるようなモバイルワーク体制整備を進めることで業務効率の改善を図っていく。

2.障がい福祉施策について

ここではヘルプマークについて、伺います。

ヘルプマークは義足や人工関節を使用している方、内部障がいや難病の方、または妊娠初期の方など、外見からは分からなくても援助や配慮を必要としている方々が、援助を得やすくなるよう東京都が作成したマークです。当初は東京都や交通機関が中心に交付をしておりましたが、令和元年から中野区でも交付が始まっています。令和元年度から令和3年度までの中野区のヘルプマークの交付件数について伺います。

【健康福祉部長】区では令和元年8月からヘルプマークの配布を開始し、令和元年度1,437件、令和2年度527件、令和3年度721件、合計2,685件を配布している。

令和2年度の中野区健康福祉に関する意識調査における「あなたはヘルプマークを知っていますか。」という調査において、ヘルプマークの意味を含めて知っていると回答した方51.6%、ヘルプマークがあることは知っているが、意味は知らないと回答した方は24.1%、知らないと回答した方は22.0%。ヘルプマークの存在と意味を知らないという方を合わせる46%程度おり、ヘルプマークの啓発に力を入れていく必要があると考えます。先日、区民の方からヘルプマークの普及について取り組んでほしいという相談されたのですが、その方は実際にヘルプマークを所有されている方で、電車で席を譲っていただくこともあれば、反対に優先席に座っていてお年寄りに席を譲りなさいと注意を受けた経験もあるとのことです。このことからも交通機関等への周知を強化していく必要があると考えます。

現在、中野区では12月3日から9日までの障がい者週間で横断幕やのぼりでなどを使ってヘルプマークなどの啓発活動をされています。更に周知をはかるため中野区に接する公共交通機関にも協力いただいて一緒に啓発活動をしてはどうでしょうか、中野区の見解を伺います。

【健康福祉部長】区としても引き続き、横断幕やのぼり旗などでヘルプマークについて周知する他、SNSの活用や公共交通機関との連携について検討していく。

11月27日に東中野・昭和地域の総合防災訓練が3年ぶりに開催されました。地域の防災会や企業、団体の方が多数参加されており、地域の安全は本当に多くの方々のご協力の上で成り立っているのだと実感いたしました。避難所を運用する際には様々な方が関与されますし、避難者の方々の状況に応じてきめ細やかな対応が求められます。外見からは分からなくても援助や配慮を必要としている方々も避難されてきます。ヘルプマークは災害時にも活用するという方針になっておりますが、避難者がヘルプマークを自宅に忘れてきてしまうケースも考えられますし、新たに必要とされる方にも対応できるように、ヘルプマークの簡易版であるヘルプカードを避難所に配備して災害時に希望される方に配布できる体制にしてはどうか?

【健康福祉部長】 避難所で支援が必要な方への適切な対応が行えるよう、ヘルプマークやヘルプカードの配備についても検討してまいります。

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