ウィズコロナ時代における構造改革と区民サービスについて

令和2年第4回定例会において一般質問しました。質問内容と答弁内容をご覧ください。

1.構造改革について
11月17日の総務委員会で「区政構造改革の基本方針について」報告があり、その中で事業の再編、組織の編成、施設の統合などが示されました。理事者の答弁の中で令和3年度の予算編成において構造改革の一環として、官民の役割分担など8つの視点を設け予算査定を行なっているという話がありました。こういった視点を予算査定時に提示できるのであれば、普段から行政評価に落とし込みオープンにしていくべきと考えます。また、これらは構造改革の取り組みというよりも区政のPDCAを機能させるために本来行うべき評価改善機能と認識しています。構造改革として取り組むべきことは事業の廃止、再編でありこれらについて令和3年度の予算編成においてどのように検討をしているのか、伺います。

【区長】構造改革は持続可能な行政運営を実現していくため、行財政の在り方を抜本的に見直すことを目的としている。検討にあたっての構造改革の8つの視点については今定例会中の常任委員会で報告を予定している。令和3年度予算編成においては、主な取り組みの検討と合わせて構造改革の視点からも見直しを行っており、これまでの実績等を検証するとともに事業の再編や見通しなどに努め、予算に反映させていく。

「区政構造改革の基本方針について」の中で「令和2年度中は庁内に設置した区政 構造改革プロジェクトチームにより、令和3年度予算編成における構造改革の取組検討と各部調整、中長期的課題の洗い出しや検討を行い、令和3年度からは構造改革を推進するための組織を新設するとありました。構造改革を実行する組織が予算を司る企画部に所属していてはアクセルとブレーキを同時に踏むようなものですから、別の部署に新設する必要があると考えます。

企画部の他に全庁的な業務を所管する部署に総務部があります。総務部には人事を通して組織の再編、働き方改革に担う職員課、用地取得を通して施設再編に関わる用地経理課、新庁舎整備を通してDXに関わる新庁舎整備担当課が有りますので、組織、事業、施設の再編にも関与することが可能です。業務改善と債権管理の機能を総務部へ移管し、構造改革推進組織としてはどうでしょうか?見解を伺います。

【区長】構造改革を推進する組織については来年度の組織の中で設置する予定である。全庁横断的な政策の調整、運営管理は総務部企画部の所管事務であり効率的効果的に執行できるよう分担を検討していきたい。その具体的な内容については、現在検討を進めているところであり来年1月中には令和3年度の組織改正案を明らかにしていきたいと考えている。

また、構造改革を推進するためには予算、人事などに介入する強い権限や実行力が必要になるわけですが、それらをどのように担保する方針なのか見解を伺います。

【区長】予算や人事に関する権限は本来、その権限を有する財政課や職員課に帰属するものである。構造改革を推進する組織を設置した場合も、それらの権限を直接付与する訳ではないが、区長や副区長のトップマネジメントにより構造改革推進組織で決定した内容については、全庁的に推進できるような体制を考えていきたい。

東京都は11月28日から12月17日までの営業時間短縮要請を再び発令しました。緊急事態宣言が発令された今年の4月、5月は地元商店や施設などの多くが休業をして経済活動は大きく停滞しました。地元の飲食店にお話を聞くと近頃、ようやくお客さんがコロナ以前にまで回復してきたが再び営業時間の短縮要請が出たので先行きがわからず不安と仰っていました。以前から冬場はコロナウイルスの感染者が増えると言われておりましたので、状況の変化を注視しつつ迅速な対応が求められます。現状は区外から観光客などインバウンドを誘発する状況ではなく、飲食店のテイクアウトやデリバリー情報など地域資源を積極的に広報していく体制が必要です。区の広報支援は既存の媒体で発信していく限りでは新たな予算は発生しません。また区内に制作会社があるアニメコンテンツなどとコラボレーションして訴求力を高めるなどの工夫も検討していただきたいと思います。現状の産業観光は融資やプレミアム商品券の事業に忙殺されており、機動性が失われています。一方で経済対策の必要性は高まっていることから観光は地域資源の収集と発信に集中させ、機動的に動きつつある広報シティプロモーションと統合して取り組みを推進する方が効果的と考えます。

地域資源の情報を区内に周知する体制を強化するため観光の機能をシティープロモーションへ移管すべきではないか、見解を伺います。

【区長】来年度の組織と定数について、現在各部とのヒアリング等を行い進めている。観光機能の広聴広報課への移管についても効果的な事業執行の観点から検討を行っていきたいと考えており、全体の組織と定数を決定する中で判断していきたいと考えている。

2.自治体DXの推進について
総務省はデジタル技術で既存制度を変革する「デジタルトランスフォーメーション(DX)」を各地方自治体で推進するための計画を年内に策定する考えを明らかにしました。新型コロナ感染拡大の中、自治体のデジタル化の重要性が改めて認識されていることから、今後は行政手続きのオンライン化やシステム標準化などの取り組みが加速していきます。

また、総務省は自治体システム標準化を進めるべく検討会を立ち上げ、住基システムに関してはすでに仕様書が公開されています。他にも税務など17分野の自治体システムの標準化が検討されています。一方で、自治体のクラウドシステム共通化により一元管理するという方向性が新たに出てきました。自治体のクラウド共通化に関して詳細はまだ出てきていませんが、国と地方のあり方を根底から覆す恐れがあります。何れにしても2025年までに自治体システムの大幅な変更が発生します。また、2022年にはマイナンバーカードがスマートフォンに搭載され、2026年には普通免許証と一体化される予定であり公的個人認証のあり方と自治体事務のあり方が今後大きく変化します。2024年には新庁舎への移転が予定されているわけですから、システムの切り替え時期や、ベンダーとの契約更新も無駄が発生しないように動向を注視いただきたいと思います。

以下、3点伺います。
(1)中野区は令和3年度6月に地域情報化推進計画の改定を予定しています。計画は2021年から2025年の期間で自治体システムの方向性によっては、計画の内容と大きな齟齬が生じる恐れがあるため、改定のスケジュールに柔軟性を持たせる必要があると考えるがいかがか?

【企画部長】地域情報化推進計画は中野区全体の情報化の方向性を示すものであり、これまで改定されてこなかったことから、出来るだけ早期の改定が必要であると考えている。国の検討状況によっては改定時期の前倒しやアクションプランについては毎年度の改定によって対応する必要もあると考えている。

(2)2025年の標準化またはクラウド化に移行するにあたり、新しいシステムと逆行するシステム改修をするとダブルコストになってしまうわけですが、中野区としてダブルコストが発生しないようにマネジメントすることは可能なのか?

【企画部長】今後、国の方向性を確認した上で標準化または共同クラウド化の想定されるシステムについては法改正への対応や区民サービスへの影響が発生する場合を除き、原則として改修を抑制していくことを考えている。

(3)2022年のマイナンバーカードのスマホ搭載により、公的個人認証など行政サービスのフロントの部分の利便性が向上します。区民ニーズに沿ったきめ細やかなサービスをスピーディーに提供していくためには業務データの活用とデジタル化が必要になります。そしてこの部分はシステムが共通化、標準化しようが地方自治体の役割として今後も残り続けるためより重要になります。中野区として今後、どのように取り組んでいくのか、見解を伺います?

【企画部長】DXの推進においてはデジタル化による業務の効率化やデータの利活用による区民サービスの向上が大切だと考えており、ここは自治体の責務として今後も変わらない部分である。区としてはDXを推進していくことで業務の改善を図り、区民の利便性向上と共により決め細やかな職員によるサービス提供など、区民への総合的なサービス向上を目指していきたい。

3.区有施設の新型コロナウイルス感染予防対策について
今後も新型コロナウイルスの感染者数は推移していくため国や都の判断だけに頼るのではなく区内の感染状況なども分析した上で区有施設利用など予防対策を講じて安心して利用できる環境を整備していく必要があります。私ごとですが最近、ゼロホールで行われた伝統芸能のイベントにお手伝いとして参加する機会がありました。ゼロホールの現状の感染予防対策は施設を予約する段階で「ホールを利用する皆様へのお願い」という書面と説明があり感染予防対策についてチェックリストが配布されそれに基づいて主催者が対策をしながら運営するという内容です。私がお手伝いしたイベントの主催者および協力者はインターネット配信や、感染予防対策のノウハウや経験を持っていたので、滞りなく運営できていましたがこういった経験やノウハウ、備品を持っていない方々の場合は利用のハードルが高いのではないかと感じました。

文化施設は令和3年4月1日に指定管理者の更新を控えており「新しい生活様式を踏まえた」対応として感染予防対策など前向きな提案があったと区民委員会で報告がありました。指定管理者が行う事業に関してはインターネット配信、感染予防対策を徹底するということでした。文化施設での催しは伝統芸能、文化芸能関連が多くこれらをアーカイブしたインターネット配信を促進できれば文化の保全、啓蒙用のコンテンツとしても再活用できます。また区としてもシティープロモーションとして情報発信をサポートすることもできるのではないでしょうか。現状は指定管理団体のみがインターネット配信や感染予防対策を行う内容になっていますが、新たに予算が発生しない形で対象を区民団体にまで拡大できないか検討していただきたいと思います。

以下、3点伺います。
(1)文化施設を利用する一般団体に対して検温機器、アクリル板など消耗品以外の備品を貸し出すことなどは可能か、見解を伺います。

(2)有料となっても一般団体に対してインターネット配信をサポートする体制を構築することが可能か見解を伺います。

【区民部長】文化施設の利用にあたっては、チェックリスト等を使用して公演主催者への感染防止対策の周知と協力をお願いするなど、感染防止の取り組みを実施しているところである。区民や団体が安心、安全に施設を利用できるように、インターネットでの配信が実施できるような環境の整備や検温器などの備品の貸し出しなど、新しい生活様式に対応した取り組みを検討して参りたい。

(3)指定管理者や利用者の負担を軽減するため国や都の補助金を活用して感染予防やインターネット配信に必要な備品の調達が可能であれば、区としても補助金の活用を勧奨していくべきと考えますが、見解を伺います。

【区民部長】文化施設においては文化庁が緊急経済対策として5月から6月に実施した「文化施設の感染症予防対策事業」を活用し、アクリル板や非接触型体温計などを購入し感染予防対策を講じているところである。今後、国や都において感染症予防対策などにかかる補助事業が実施される場合には指定管理者へ周知を行い補助金の活用を推奨していく。

4.地域活動の推進について
10月5日の厚生委員会で「新しい生活様式の中ての地域活動推進の取組について」報告があり、相談体制の構築、ガイドライン、事例集などをもとに助言を行うなどサポート体制を強化するとありました。令和2年度は新型コロナウイルス感染症拡大の影響で町会など地域団体は軒並み活動を停止または規模縮小している状況にあります。私が所属する町会では運動会は中止、ラジオ体操は日数と参加者を大幅に制限しての開催、祭礼はお囃子の公開稽古という形で行われました。公開稽古を終えた後の振り返りの際に、関係者から今年はお神輿を出せなかったけどお囃子の車を地域に巡回させていればお家にいる人もお祭り気分を味わえたかもしれないねという話がありました。今年は実現に至りませんでしたが行事やイベントも工夫の余地が沢山あると気付かされました。事例集を作成しているとのことですが、新しい生活様式の地域イベント、行事を開催するにあたってのアイディアなどもぜひ募っていただきたいと思っています。地域活動は地域課題の解決に寄与しコミュニティを維持する要です。行事やイベントが無くなってしまうとそこに集う人々の関係性が切れてしまいます。現状は営業時短要請も出ていますから、区としては活動を推奨するのは難しい状況です。しかし、コロナウイルスが収束した後に担い手がいなくなり行事が開催できないという状況を回避するために区としても活動ノウハウを蓄積して、サポート体制づくりを進めていただくようお願いいたします。

以下、3点伺います。
(1)地域団体が行事の開催を断念せざるをえない理由として、感染のリスク、予防対策に伴うノウハウ、人的リソースの不足などが考えられるが、中野区としてはどう考えているのか見解を伺います。

【地域活動推進部長】区としては緊急事態宣言解除後、感染拡大防止対策を取り入れた新しい形で様々な地域の活動が動き出している状況にあると認識しており、こうした活動を支援するための取り組みを進めてきている。現在「新しい生活様式による地域活動応援窓口」において団体への個別支援を行っており、この中で各団体で行事を開催するにあたって課題となっている事柄等を把握しているところである。行事の開催を難しくしている主な理由の1つには、安全・安心に行事を行うための感染拡大防止策について、十分に情報が行き届いていないことが挙げられる。また新型コロナウイルス感染についての不安の度合いが人によって異なることも理由と考えている。

(2)地域団体が抱えている課題を解決するために、今後どのような支援の取組を予定しているのか。

【地域活動推進部長】行事等の実施に必要な感染拡大防止策について情報を提供するため7月に「中野区区民公益活動団体向け新型コロナウイルス感染症対策ガイドライン」を作成する共に10月に「新しい生活様式による地域活動応援窓口」を開設し個別の支援を行っている。また特に感染リスクが高いと言われている活動については事例集の作成を進めている。これは感染拡大防止のための対応策とこれを踏まえた活動事例を紹介するもので10月に「歌」に関する活動の事例集を作成した。現在、食事を伴う事業や不特定多数に対応する事業に対応する事例集の作成に向け、準備を進めている。今後、こうした情報をきめ細かく地域の団体に届けると共に応援窓口において感染への不安の解消につながるよう各団体の個別事情を把握しながらこれに対応した支援を行っていく。

(3)政策助成の追加募集を実施しているが、新型コロナウイルスの感染拡大防止対策を講じたイベントのモデルとなる事業などを積極的に募集してはどうか。見解を伺います。

【地域活動推進部長】政策情勢の追加募集については新型コロナウイルスの感染拡大防止策を講じた新たな形で事業を実施する団体を支援することを目的として行ったものである。追加募集の申請事業については、いずれも感染拡大防止策を取り入れた事業計画を立てている。今後、他の地域団体の参考としていただくため、新たな形で実施する事業のモデル事例として紹介していきたいと考えている。

以上をもちまして私の全ての質問を終了しました、ご静聴ありがとうございました。

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