令和3年第2回定例会において一般質問をいたしました。
質問と答弁内容をご報告いたします。
1.自治体DXの推進について
5月12日に自治体DX推進などの法整備を目的としたデジタル改革関連法が成立しました。関連法はデジタル社会形成基本法を含む6つの法律で構成されています。これまで情報通信技術を活用する関連施策は2001年に成立した「IT基本法」に定められていましたが、それに変わる新しい基本法に位置付けられるのがデジタル社会形成基本法です。20年ぶりに情報通信技術、デジタル政策の基本法が改められたことは大きな意味を持ちます。また9月には情報システム、地方共通のデジタル基盤、マイナンバー、データ利活用等の業務を推進するなど、強力な総合調整機能を持つデジタル庁が設立されます。デジタル庁はデジタル時代の司令塔として官民のインフラを5年で作り上げることを目指しており、今後、中野区においても様々な改革が求められることになります。中野区は12月に地域情報化推進計画の策定を予定しており令和3年から令和7年まで5年間区が取り取り組む施策を整理するとありますので、新法成立に伴い近い将来に中野区においても対応が求められる施策について認識を何点か確認してまいります。
デジタル改革関連法成立によりマイナンバーカード所持者は電子証明書をスマートフォンへ搭載することが法律上可能となり、国は令和4年度中の実現を目指しております。カードの読み取りを省略してスマートフォンから公的個人認証によるオンライン申請を行うことが可能になるため、将来的には全ての行政手続きをスマートフォンからリモコンを操作するような感覚で申請出来ることになることを個人的には希望しております。現在は中野区に申請する手続きにおいても内閣府のぴったりサービス、都の東京共同電子申請・届出サービス、区の図書館予約サービス、粗大ゴミの申請、施設の予約サービスなど電子申請のシステムや認証方法は複数あります。マイナンバーカードの場合はパスワードを3回以上間違えるとロックがかかります。定額給付金の申請の際にはパスワードロック解除の手続きで窓口にくる人が多数おりました。認証方法がバラバラだといざという時にパスワードを忘れてしまうので、可能な限りサイトや認証方法を統一するべきです。6月1日にマイナポータルのUIは改善されましたがぴったりサービスやその他、行政のシステムはまだまだ使いづらいと感じます。デジタルディバイドの対策として「ICTを利用できる人と利用できない人との間に生じる格差」を解消していくことは重要な課題となります。それと並行して使いやすいシステムを作らなければICTリテラシーの高い人の利用率も上がりません。行政手続きのシステムについてはユーザー目線の使いやすいものにしていただきたいと思います。
5月13日の総務委員会で報告された「構造改革実行プログラム」 の「来庁しなくても受けられる行政手続きの充実(オンライン化の推進)」のプログラムの中で区独自の本人確認の仕組み(eKYC等)について、調査・研究すると報告がありました。先ほど私見を述べたとおり認証方法など可能な限り統一する必要があると考えております。
令和3年5月に東京都は共同電子申請サービスをスマートフォンの公的個人認証に対応していくという方針を示しております。中野区では同サービスに対応した電子申請の件数が多いため
(1)東京共同電子申請サービスのスマートフォンによる公的個人認証を活用した電子手続きへの対応を進めていくべきではないか。見解を伺います。
【区長】区は電子手続きで申請できる手続きの拡大を図っているところであるが、スマートフォンで申請が可能な手続きの割合は公的個人認証が利用できないなどから令和2年度において75%にとどまっている。今般、東京都電子自治体共同運営サービスの電子申請においてスマートフォンによる公的個人認証への対応方針が示され8月以降にそのサービスの詳細を示すこととされている。区として利用可能なサービスであれば電子手続きにおける活用を検討して参りたい。
マイナポイントなどの施策も影響していますがコロナ禍においてマイナンバーカードの交付件数は増加しております。また電子申請という言葉を区民の方から聞く機会も少しずつ増えており認知が広がっているように感じます。
(2)令和2年度は前年と比較して電子申請の件数は増えているのか。また、どのような手続きが増加傾向にあるのか?状況を伺います
【区長】令和2年度の電子申請の利用状況について電子申請の利用状況について電子受付件数は前年比で約17万8千件増と大幅に増加しており電子申請の需要が高まっていると考えている。粗大ゴミ受付システム、図書館システム、コンビニ交付システムなどが大幅な増加傾向にあった他、令和2年度の特殊事情として「特別定格給付金申請」の手続きがあった。
今後、行政手続きのオンライン化を本格的に推進するため国は基幹システムとマイナポータルの連携サーバーの整備を進めていきます。現状ではマイナポータルの情報と基幹システムが連携していないため職員がその都度、データを媒体に入力する手間が発生しています。サーバーが連携することにより職員の負担を軽減して速やかなデータ処理が可能になります。基幹システムとマイナポータルの連携サーバーの整備に関しては総務省が措置する補助金の対象となっており子育て、介護ワンストップサービスの導入が交付の条件となっています。
ぴったりサービスに対応した手続きは全部で31ありますが、中野区は5つの手続きにしか対応しておりません。令和元年第三回定例会においてぴったりサービスの拡充について質問したところ「国・都の動向などを注視しつつ、出来るところから順次取り組み、区民の利便性向上に努めて参りたい。」との答弁をいただいております。当時から状況は大きく変わっているわけですが、
(3)中野区としてぴったりサービスの手続き数を拡大するとともに連携サーバーを整備していく考えはないのか、見解を伺います。
【区長】自治体の行政手続きのオンライン化は国の自治体DX推進計画の重点取り組み事項の1つであり、区としても区民がマイナンバーカードを用いてマイナポータルを通じてオンライン手続きができるよう環境整備を進めていく考えである。自治体の基幹システムと国のマイナポータルを接続する連携サーバーの仕様およびその構築にかかる補助金の詳細は今後示されることになっているが当該事業にかかる補助は令和4年度までとされていることから詳細が示され次第、導入にかかる検討を行うとともにぴったりサービス対応手続きの拡充についても検討して参りたい。
定額給付金の手続きでは世帯主と口座情報の紐づけが手作業で行われたため申請処理に時間がかかりました。新法成立に伴い希望する預貯金者はマイナポータルまたは金融機関から口座情報を登録できるようになり、行政機関の長である中野区長は内閣総理大臣に対して口座情報の提供を求めることが可能になります。これにより公的給付の支給を迅速に行うことが可能になります。
「マイナンバー制度は、分散管理という手法がとられており個人情報をひとつの共通データベースで管理することはありません。例えば、国税に関する情報は税務署に、児童手当や生活保護に関する情報は各市区町村に、年金に関する情報は年金事務所になど、分散して管理されており個人情報のやりとりは、システム内で行うので、個人情報を芋づる式に抜き出すことはできない仕組みとなっています。しかし、マイナンバー制度のこういった情報は広がっていませんので口座情報の登録を不安に思う方は多いと思います。区としてはマイナンバー制度についても啓発していく必要があると考えます、その上で
(4)中野区として公的給付の支給を迅速に行う体制を構築するため口座情報の登録を区民に促していく考えがあるのか、見解を伺います。
【区長】現時点でマイナポータルおよび金融機関における口座情報の登録について、国の詳細なスケジュール等は示されていないが、公的給付の迅速かつ確実な支給といった区民の利便性の向上や事務の効率化に繋がることから今後、国から示される役割に応じた促進策を着実に行って参りたい。
中野区においても行政手続きの押印の原則が見直されているようですが、対面主義についても是非見直していただきたいと思います。例えば中野区では政策助成金は対面での申請となっています。助成金の申請は事業計画や予算収支書などの提出が求められるため、他の行政手続きと比較して事業内容の相談に乗りながら申請書類を埋めていくというサポートが必要ということは理解できます。しかし公益活動の担い手、裾野を広げていくためには会社員の方々や日中仕事をしている人でも来庁せずとも申請ができる選択肢も作っていただきたいと思います。メールや郵送の場合は締め切り間際に不備がある書類が届いた場合に修正する時間がなくなってしまうという懸念もあると思います。例えば東京都の地域の底力助成事業では申請書類の締め切り前に受付期間を設けて申請内容について事前にメールや電話で相談やチェックが受けられる体制をとっています。
(5)政策助成について将来的にはフォーム申請などの対応を求めたいところですが、事前相談期間を設けるなどして、まずは郵送やメールで申請できる体制を構築してはどうでしょうか。
【区長】令和3年度の申請については、これまでの説明会に代えて3月に相談月間を設け、その後も予約制で来所またはオンラインによる個別相談を行いながら申請の受付を行っている。申請書類の提出については最終確認および必要な修正を行ってもらう必要があることから直接担当窓口にお越しいただくこととしている。今後、個別相談の充実と合わせて、オンラインによる申請受付の体制構築に向け検討を進めていく。
2.成人の集いについて、
民法改正に伴い令和4年4月から成人年齢が20歳から18歳に引き下げられます。成人年齢が見直されるのは約140年ぶりとのことです。成人年齢に達すると、親の同意を得なくても、自分の意思で様々な契約ができるようになります。一方で、飲酒や喫煙、競馬・競輪などはこれまでと同様、20歳までは禁止です。成人年齢の引き下げに伴い全国の自治体は令和5年以降の成人式の開催方針および対象年齢の見直しを迫られております。対象が18歳に引き下げられた場合は令和5年の成人式を3学年合同で開催することになるのか。その場合は着物の予約競争が激化する恐れがあるため開催方針を早く公表してほしいと令和5年に新成人になるお子さんを持つ保護者の方から私の元にも問い合わせがありました。区の方へも区民の方から同様な問い合わせが来ていると伺っております。
(6) 現在、中野区は成人のつどいの開催方針および対象年齢についてHPでアンケートを取っておりますが、をいつ頃公表する予定なのか見解を伺います。
【区長】現在、「成年年齢引き下げに伴う成人のつどいの実施に関するアンケート」をホームページで実施するとともに、他区の動向についても把握に努めている。それらを踏まえ区の開催方針等については8月末までに決定し、広く周知を図っていく予定である。
特別区の多くの自治体がすでに開催方針と対象年齢を公表しており、私が認識している範囲では全ての自治体が20歳を対象に開催するとなっています。主な理由としては18歳を対象にした場合は受験や就職の時期と重なるため支障が出る。飲酒、喫煙、公営競技は20歳まで年齢制限があること。3学年同時開催では会場や警備に課題があるというものです。
(7)他の自治体同様に対象年齢を20歳にする場合はどのような目的で式を開催するのか?
【区長】民法改正後も20歳にならないと認められない権利もあり、法的にも20歳は節目であると考えている。明日を担う若者に社会人としての自覚と責任感を培うことが成人式の趣旨であり、多くの方が開催を理解し参加していただける時期に開催することが重要であると考えている。
(8)18歳になった新成人に対して成年としての権利や責任をどのように啓発していくつもりなのか?見解を伺います。
【区長】これまで成人のつどいおいて、飲酒に係る啓発活動や公職選挙法改正による選挙年齢の引き下げに関わる普及啓発活動などを実施してきたところである。成人式の対象年齢いかんに関わらず18歳となる年度に成人となったことの自覚を促し、法的責任や義務が生じることなど、成年の意味の理解促進や周知・啓発を行う取り組みについて検討して参りたい。
以上で私の全ての質問を終了いたします。ご静聴いただきありがとうございました。
中野区議会議員(無所属)1987年1月29日生まれ 36歳 卯年 中野区・中野在住
法政大学大学院政策創造研究課程修了。大学在学中は極真空手に打ち込み関東大会準優勝。2010年には東京大学アントレプレナーシップ論講座で最優秀賞を受賞。2015年中野区議会議員選挙で1268票獲得するもあと170票およばず落選。その後、インターネット投票を推進するIT企業を経て2019年初当選。共著に「弱者にやさしい会社の話」(KINDAI E&S BOOKS)
所属委員会
総務委員会 副委員長/情報政策等調査特別委員会 委員
その他活動
NPO法人ストリートデザイン研究機構 専務理事/グリーンバード中野チーム リーダー/昭三自治会 防災部長/中野消防団第六分団 団員/東京青年会議所中野区委員会 広報幹事/第45回わんぱく相撲中野区大会 実行委員長/中野区赤十字奉仕団昭和分団 団員/昭和区民活動センター運営委員会 委員/中野区青少年育成昭和地区委員会 委員/中野区交通安全対策協議会 委員/中野駅前大盆踊り大会実行委員会 委員