~中野区サンプラザ跡地活用を問う~令和8年第1回定例会一般質問

1.施政方針説明について


区長は施政方針において、中野駅新北口駅前エリアのポテンシャルは非常に高いと述べておりますが、全国的な資材高騰等により再開発が相次いで延期され、本区も施行予定者との協定解除という事態を経験しています 。 他自治体が立ち往生する中で、なお民間事業者が中野に強い意欲を示し続ける根拠は、単なる「駅前立地」に留まらないはずです。中野サンプラザが築いてきた「音楽の聖地」としてのブランド価値や、アニメ・サブカルチャー企業の集積 、さらには南北通路新設による回遊性の変化など中野区独自の市場価値をどう分析しているのか認識を伺います。

【区長】昨年12月に実施したサウンディング型市場調査では、中野駅周辺で醸成されてきた文化芸術や若者文化の発信性、東京における中野駅前の立地特性と再整備によるアニメ・コンテンツ事業者の集積などが高く評価されたところである 。また、南北自由通路の開設により、回遊性が向上するとともに、中野駅南側の人流が増加し、店舗などの集積が促進されると捉えている 。さらに、文化的イベントをはじめ、にぎわい創出の取組を進めることで、回遊性と店舗などの集積がさらに促進されると考えており、様々な工夫をしてまいりたい 。

区が実施したインターネット意見募集で区民の期待が鮮明に示されました。特に整備の期待が高いのが、現在の中野駅周辺において不足している「集客・交流機能」です。 商業施設について期待する用途や機能は映画館やエンタメ施設(アニメ・ゲーム等)が68%、バンケット・コンベンションホールについて期待する用途や機能は音楽・演劇・ダンスなどの発表会やライブ利用への期待、地域イベント・お祭りでの活用が68%と極めて高い水準となっています 。現在、中野駅周辺には、大規模な音楽公演に必要なホールや、日常的に文化に触れる映画館、そして地域のお祭りや文化発表に柔軟に対応できる高機能なバンケットが不足しており、これらはまさに地域の「未充足機能」と言えます 。

旧中野サンプラザの価値を継承する「音楽ホール」を中心に据えつつ、これら未充足機能を一体的に整備することで、「多層的な文化拠点」へと進化させるべきです 。 これにより、来街者の滞在時間を延ばし、周辺商店街への回遊性を高める「歩きたくなるまち」の核としての役割を果たすことが可能となります 。これら「音楽ホール・映画館・バンケット」という未充足機能を確保し、中野の魅力を高める拠点として整備することの必要性について、区の見解を伺います。

【区長】区民の意見としては、ホールやバンケット、映画館など娯楽施設への要望が多かったと認識している 。再整備事業計画の改定に向けて、中野駅周辺を広く面で捉えた上での施設・機能の充足性や、再整備による事業成立性などを考慮しながら、区の従前資産活用の可能性も含めて検討を進め、当該エリアに整備・誘導していく施設や機能を明らかにしてまいりたい 

また民間事業者のノウハウを最大限に引き出し、将来的な社会変化に耐えうる「拡張性」をどう担保するのか、規模にもよるがホールやコンベンションについては両立が可能でありこれらを柔軟に組み合わせることこそが、施設運用の「拡張性」を高める鍵になると考えます。この点について、区の見解を伺います。

【区長】ホールについては、フラットな空間を併設することで、利用用途が高まるものと認識している 。ホールやフラットな空間での興行事業者をはじめ、さらなる事業者へのヒアリングや、専門家からの知見や意見を伺いながら検討を進める 。事業手法や用途、規模などを最適化するために変更できる可変性や、将来の土地利用や施設の更新における持続可能性などの拡張性を盛り込んだ再整備事業計画に改定し、民間事業者の創意工夫を引き出すことを担保してまいりたい 。

持続可能な都市経営の観点から、中野駅周辺のポテンシャルを最大化するためには、容積率の高度利用を前提としつつ、にぎわいを生む「商業・業務機能」と、「住宅機能」のバランスを最適化することが不可欠です。 今回の計画見直しを事業実現性を高めるための「進化」とするために、区は用途構成のバランスをどのようにお考えか。中野の未来を牽引する拠点のあり方と、事業実現に向けた区の決意を伺います。

【区長】再整備事業計画を改定する中で、拠点施設で整備・誘導する施設や機能の基本方針を明らかにし、その中で持続可能性を高める用途構成についてお示しし、その後の事業者公募につなげていきたいと考えている 。将来世代に亘り、「やすらぎと刺激のある空間」「誰にとっても居心地がよく、歩きたくなる、何度でも訪れたくなる空間」の実現に向けた再整備事業計画にアップグレードし、新しい時代の“中野モデル”と呼ばれるような、魅力溢れる拠点施設を整備・誘導していく決意である 。

2.持続可能な財政運営について

先の総選挙において、与野党が消費税減税を掲げるなど、国政レベルでの減税議論が加速しています。また令和8年度・9年度の税制改正による直接的な影響、インフレによる歳出増、さらには与党税制改正大綱における固定資産税の税源偏在是正、の懸念など、本区の財源を取り巻く環境は極めて厳しく、予断を許さない状況にあります。こうした減収リスクが重なる中で持続可能な財政運営をしなくてなりません。

税制改正による区税収入への影響としては給与所得控除の最低保障額の引き上げ、扶養親族等の所得要件の緩和、さらには特定親族特別控除の創設等があります。これらの税制改正による区税収入に与える影響をどう試算しているのか伺います 。   

【区長】税制改正による令和8年度の区税収入額への影響額は、現時点で約2億円の減収と見込んでいる 。令和9年度以降の区税収入額への影響額については、今後、情報収集したうえで試算していく 

続いて自動車関連諸税の動向です。環境性能割交付金については、制度廃止が決定しており、本区の財源を直撃します。 また、軽自動車税についても、カーボンニュートラル社会を見据えた課税のあり方が議論されており、今後の動向から目が離せません。 さらにガソリン税の税収減はこれを原資とする地方譲与税など、区の貴重な財源に直接的な影響を及ぼします。 これら環境性能割、軽自動車税、ガソリン税の変動が本区財政に与える影響について、中長期的な視点でどのように分析・予測しているのか、区の見解を伺います。

【区長】令和8年度の与党税制改正大綱のうち、自動車関連諸税における主な項目は、環境性能割の廃止、自動車税及び軽自動車税のあり方、軽油引取税等の当分の間税率廃止が挙げられる 。区財政に与える影響については、一部国から補填されると想定しているが、中長期的な視点では、歳入が減少する見込みである 。

今後の消費税減税の可能性や、その他の減税措置が地方財源を直撃する事態に対し、財源は補填される見通しなのか、またそうではない場合に区として都や国に対し、代替財源の確保や財政措置に向けたどのような働きかけを行う考えか伺います。

【区長】国の減税措置による地方税の減収分については、国の責任で手当されるものや、地方財政措置において対応されるものなど、さまさま想定されているところである 。国の動向を注視し、地方自治体の貴重な財源が補填されるよう、特別区長会等を通じて国に要望していくことを検討していく 。

中野区が推進する中野駅周辺や西武新宿線沿線のまちづくりなど、大規模プロジェクトの財源として多額の国庫支出金を見込んでいます。しかし、令和7年度の最終補正予算(見込み)では、国庫支出金が当初予算から約50億円減少しております。国の財政状況や採択基準の変化により満額確保が叶わないリスクは、大規模事業を抱える本区にとって極めて深刻な懸念材料です。都市計画事業であれば都市計画交付金として4年間かけて補填される仕組みではありますが、今後、中野駅新北口駅前エリアの整備や西武新宿線沿線のまちづくりなど、さらに膨大な事業費を要するプロジェクトが控えています。このような状況を踏まえて区はどのように事業の継続性を担保し、着実な推進を図っていく考えか、区の見解を伺います。

【区長】まちづくり事業を進めるにあたっては、国庫補助金をはじめとした特定財源の確保が不可欠であると考えている 。昨今、全国的に国庫補助金の充当率が低くなっている傾向が窺えることから、まちづくりや基盤整備全般において、国や都との連携にさらに努めるとともに、国や都の動向を一層注視しながら、事業の着実な推進を図ってまいりたい 

 中野区における、ふるさと納税による住民税の流出額は、令和7年度には約31億円に達し、年々増加の一途を辿っています。この深刻な財源流出を食い止め、逆に中野の未来への投資へと転換させる取り組みが必要です。

 返礼品の充実もさることながら、寄付者が注視するのは、自分の託した税金が中野の何に使われたのかという透明性です。現状、本区における寄付金の活用状況は公表されていません。今後は寄付による具体的な成果をストーリーとして可視化し、寄付者が活動を追いかけ、継続して応援したくなるような「共感型」の体制を構築すべきだと考えます。

 そこで伺います。区は、拡大する減収額に対し、ふるさと納税を単なる歳入確保の手段ではなく、区の施策を発信するシティプロモーションの機会と捉え、寄付金の活用状況の見える化や、納税者とのつながりを高める取り組みをどのように進めていくのか見解を伺います。

【区長】区では、ふるさと納税制度を区の魅力を発信する機会と捉え、区内事業者と連携した返礼品の充実や、政策課題に即した寄付金の使い道の設定に取り組んできたところである 。今後は、寄付金を活用した事業の成果を分かりやすく発信し、寄付者とのつながりを深めることで、区のファンづくりと持続的なシティプロモーションの推進につなげてまいりたい 。

3.スマートウェルネスシティについて

スマートウェルネスシティ特別委員会で視察した京都府八幡市では、国民健康保険及び後期高齢者医療保険における健診データと医療レセプト、介護保険データを活用し、研究機関との知見を融合させることで、住民の行動変容や医療費抑制効果を精緻に可視化していました。中野区においても、スマートウェルネスシティ(SWC)構想の実現には、単なるポイント付与に留まらず、科学的根拠に基づいた施策の検証が不可欠です 。

一方で、行動変容が国民健康保険や医療費に与える影響を詳細に追跡し、独自の相関関係を解明する高度な分析には、膨大なコストと専門的なリソースを要します 。区は令和8年度予算案においても、コミュニティポイントを活用した事業を推進するとしていますが、その検証のあり方について、投資対効果の観点から区のスタンスを明確にすべきです 。

中野区のSWC施策において、AIやビッグデータ活用にあたり、他自治体等で既に確立されたエビデンスを「既知の成功モデル」として効率的に横展開するのか。あるいは、コストをかけてでも中野区独自のデータをゼロから分析し、独自モデルの構築を目指すのか。 分析コストと得られるリターンのバランスをどう捉え、研究機関等との連携を検討していくのか、区の見解を伺います。

【区長】健幸ポイント等のポイント事業の実施にあたっては、国等が取組の効果にエビデンスがあると認めているものをKPIとし、自治体間比較ができる標準的なデータを分析することとしている 。研究機関からは、一定のデータ分析を経たうえで、健康施策の展開に有効な分析について助言を受けながら検討していく 。

区は現在、約3000名を対象とした「健康ポイント」と、より広い社会参加を促す「コミュニティポイント」を検討しています。これらは行動変容の重要なきっかけとなりますが、最大の課題はいかにして「健康無関心層」を巻き込むかです。ポイント付与などの直接的なインセンティブに加え、無意識のうちに健康行動が誘発される「ナッジの考え方や、日常の買い物・娯楽といった生活導線と連携した施策など、健康に無関心な層の意識・行動を変容させるために、どのような工夫を凝らしていく考えか伺います。

【区長】健康無関心層の行動変容には、健康への関心を高める心理的な働きかけと、自然と行動が変わる環境・仕組み作りが必要と考えている 。このため、インセンティブの付与や、健康状態の見える化、ナッジ理論を活用した事業参加勧奨など、複合的に働きかけることにより、健康に無関心な区民の意識や行動変容を促していきたい 。

中野区は令和8年度より、健診や特定保健指導 、避難訓練や自転車利用者のマナー向上等などの「コミュニティポイント」、脱炭素社会の実現に向けた「環境行動ポイント」 を本格導入します 。主たる目的は、区民の行動変容を促し、健康寿命の延伸や環境・防災等の政策課題を解決することにあります 。

しかし、対象事業の特性は多岐にわたります。がん検診、防災訓練等、禁煙や自転車マナー、環境行動等では事業の特性が異なります。

これらに対し、単なる付与実績の集計にとどまらず、「ポイントが無関心層をどれだけ動かしたか」「継続的な行動変容に寄与したか」などの効果を精査すべきです。EBPMの観点から 、事業の妥当性や費用対効果について、計画的・継続的な検証と改善をどのように行うのか伺います 。

【区長】コミュニティポイントは、EBPMにつなげるため、可能な限り、定量的なデータが測れる事業を対象として導入することとしている 。そのため、コミュニティポイントを導入した各事業において、産学官連携によるデータ分析等も活用しながら、効果の評価と検証を行い、その結果を踏まえて見直し・改善を行っていく考えである 。コミュニティポイントが区の政策課題の解決にどの程度寄与したかといった全体的な効果については、事業を一定期間運用した後に評価・検証を行うことを想定しており、その結果を踏まえ、見直し、改善を検討してまいりたい 。

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