ウィズコロナにおける区政運営&GIGAスクール構想に向けたガバナンス体制の構築について〜令和2年決算特別委員会総括質疑〜

令和2年決算特別委員会において総括質疑をいたしました。

1.ウィズコロナにおける区政運営について
(1)財政運営について

9月1日の総務委員会で令和3年度予算編成方針について報告されました。その中で別紙扱いの参考資料ですが財政フレームのような推計が示されました。それによると財政調整基金は令和5年、義務教育整備基金は令和8年に枯渇するという見通しです。

令和3年度の予算編成で経常経費と新規拡充事業を687億に収めて基金の繰り入れは行わないという方針と、令和5年に財政調整基金が尽きるという計算には矛盾があるように感じます。しかし基準となる一般財源規模を予算編成前に公開している点、今年度も含めて税収の見通しが困難な状態ですから仕方がない点もあると思います。

一般財源92億円減収という数値に関してすでに様々な委員が質疑されていますが、この数値は上振れまたは下振れするかは令和3年度の決算が閉まらないとわかりません。リーマンショックとの対比が参考値として用いられていますが、金融危機を発端にした不況と感染症を発端による不況で原因が異なるため、令和元年並みの歳入に戻るまで何年かかるか予測が困難です。都内では飲食店の時短営業要請が解除されたこともあり新型コロナウイルスがピークを超えた感があります。一方で9月13日にWHOの集計によるところの新型コロナウイルスの新規感染者数過去最多となる30万7930人を記録するなど、予断は許せない状況です。先の見通しが不明な状況ですから今回の慎重な予算編成方針を支持します。その上で歳入見通しを立てる際に必要と思うことを質疑いたします。

(1)令和3年度の都区財政調整普通交付金は48億円減見込みということですが当初予算額はいつごろわかりますか?

【財政課長】財調の普通交付金、特別区の交付金のフレームの提示でございますが、昨年12月末頃に特別区長会を通じてまして情報提供を受けているというところでございます。

予算編成前に分かるということだと思いますが、令和3年特別区民税については26億減と見込まれており、5月の勤労統計調査の前年比を踏まえて算定されております。東京都の勤労統計調査によると調査産業合計値は昨年同月比5月から6月、7月にかけて回復しており、業種によっては6月、7月の方が悪化しているケースもあります。単縦に5月の勤労統計調査前年比で特別区民税を算定するのは実態とかけ離れると考えます。

(2)5月以降も勤労統計調査結果などの指標を定点観測して最新データを参考に税収見込みを算出すべきと思いますがいかがでしょうか。

【税務課長】今回の税収見込みは令和2年5月分と、令和元年5月分の数値をもとに算出を行なったものでございます。今後、令和3年度予算編成のスケジュールに合わせ、再度税収見込みを算出する場合にはその時点での最新データを参考にするとともに、新型コロナウイルス感染症の影響などを踏まえて税収を見込んで参りたいと考えております。

特別区民税については12月の確定申告のタイミングで課税所得が決まるわけですが予算編成前に把握するのは困難ではあります。勤労統計調査は2ヶ月タイムラグがあるので10月までの数値を参考に推計する、課税対象者数と均等割、所得割の人数や徴収率などの変化も定点観測するようお願いいたします。

(3)令和3年度の予算は1月下旬に作成されます。景気の動向が不安定な状況で歳入の見積り精度を上げのは困難ですが、特別区民税の推計については緊急事態宣言渦の数値を参考にしている点、実際にはもう少し回復してくると思いますが一般財源の歳入総額は687億で組むのでしょうか?

【財政課長】基準となる一般財源規模については今委員お話あったように基準額を687億円と定めて、予算編成を行なっているくところでございますが、実際に提案いたします令和3年度予算における一般財源の歳入総額につきましては特別区民税や特別交付金、地方消費税交付金など来年1月までに把握した情報をもとにご提案するということでございまして必ずしも687億になるとは限らないと考えているところでございます。

経済動向などを踏まえて実態に即した精緻な見積もりを行う必要があります。例えば地方消費税交付金については毎年6月、9月、12月、3月に交付されます。予算編成直前の12月に交付される額は4月から6月に決算を迎えた企業の納税額を清算した後に交付されます。精緻な推計を出すため7月から12月の消費者物価動向指数などを参考にするなど見積もりに当たって工夫をお願いします。

令和3年度以降の財政フレームは経済財政諮問会議の推計を反映しており、令和3年度の成長率は前年比3.4%になっています。しかしこの推計はIMFが2019年10月に出した世界経済の見通しなどをもとに作成しています。海外貿易収支やオリンピック開催の可否によって状況は変わりますし、GDP速報値の4月―6月期の落ち込みも考慮されていません。経済財政諮問会議の推計は1月に更新されます。その際には財政フレームへの反映をお願いします。令和4年以降の事業計画を作成する際には経済財政諮問会議の推計値が妥当なのかその他の経済指標も定点観測してください。その上で重要な指標は常任委員会で報告する際に参考資料と添付するよう要望いたします。

基準となる一般財源規模が687億で内訳として経常経費656億、新規拡充事業が31億となります。令和4年以降、一般財源充当の新規拡充事業の実施については基金の残高に応じて時期を判断することになります。

(4)基金残高や歳入、経済の見通しなどの状況に応じて進める事業の優先順位やシナリオを作成する必要があると思うがいかがでしょうか? 

【財政課長】新しい基本計画の検討を進める中で、様々なデータを活用しながら一般財源の推計につきましても複数の案を比較検討するとともに事業の優先順位を行いまして、必要な事業に選択と集中を図り、持続可能な行財政運営につなげていきたいと考えております。

シナリオの作成については予算特別委員会においても私は質疑をさせていただきましたが、その際の議論も参考にしていただければと思います。三菱総合研究所の内外経済見通しではコロナウイルスの感染状況に応じて3つのシナリオを提示しています。感染拡大した場合、現状維持の場合、ワクチンが開発され収束した場合に応じてGDPの伸び率を試算しています。コロナウイルスの感染拡大と経済は連動しますので、こういったシナリオも参考にしてください。

1月に基本計画素案が出てくるタイミングで予算編成の一般財源の見積もりが財政フレームに反映されることになります。財政フレームは基本計画の策定スケジュールに合わせて令和3年1月に素案、6月に案が出てくる予定です。令和3年の6月の時点で令和2年決算速報値によって決算剰余金が明らかになり、当初課税の算定で令和3年度の特別区民税の見通しが立つようになります。財政見通しが明らかになるタイミングに合わせてこのようなスケジュールを組まれているのだと思います。ただ今後も景気の見通しは不透明なので施設整備に関しては配置のあり方や具体的な場所と優先順位を定めて整備時期については年度ではなくステップで示すなど工夫が必要だと考えます。

(5)令和3年度の予算編成その先の基本計画の作成に当たって財政状況の見通しが立たない中、区民の暮らしを守っていくためにどのように取り組んでいくのか、区長の覚悟を伺いたいと思います。

【区長】厳しい財政状況の中でも必要な区民サービスに対しては財源を投入し推進していく必要があると考えております。この厳しい財政状況を乗り越え新しい区政を展開するために行財政の構造改革を進め基本計画を作成していく所存でございます。

御答弁ありがとうございます。見通しが立てづらいこの状況ですから、先ほど質疑に出てきた経済指標等も参考にして、複数シナリオを作りながら時には柔軟な対応、決断もしていただければと思います。

(2)行政評価について
昨年の決算総括質疑において行政評価の仕組みを見直すことを指摘させていただきました。項目としては予算額やアウトプットの数値が見やすくなっています。基本計画の作成が遅れていることから政策施策及び目標の体系と指標の設定ができておらず、完成とは言えない状況です。

行政評価は事業予算や活動量を見える化することで議会での議論を活発にする効果があります。しかし今年度は大幅に評価対象の事業を減らしています。コロナウィルスの影響で緊急対応などにリソースが割かれたことなど一定仕方のないこととも思います。

しかしながら昨年の質疑の際に、行政評価は時間がかかるという課題を指摘した際に、「評価の対象とする事業の優先順位、事業の特性による指標の設定、事業の性格による評価基準の設定などを検討する、これ自体が効率化にもつながると」と御答弁いただいております。その際に私からは内部管理事務、法定受託事務、区独自の事業、中・長期的な取組、その他などで事業を分類した上で評価指標を変えたり入力項目を減らす提案をしました。

(6)令和元年度の行政評価を見るとその他が1つ、中長期的な取り組みが1つ、他は区独自の事業となっており。内部管理事務、法定受託事務に関しては0です。これら2つについては、改善できる幅が少ないということで評価対象から見送るのでしょうか?

【業務改善課長】内部管理事務、法定受託事務に関しましても有効性や効率性を主眼に評価を行うことは有効でございまして、事務執行方法や区民の利便性などの改善につながるものと考えてございます。今回は絞り混んだ形での行政評価を実施しましたが、次年度以降は評価対象事業として検討していきたいと考えてございます。

今回は評価対象の事業を絞り込んだので漏れてしまったのだと思いますが、個人的には内部管理事務などはデジタルシフトにより効率化できる余地があると思っております。その際に既存の人件費などより、システム導入保守費用が安いのかを見極める必要があります。その判断材料を提供するのが行政評価の役割だと思っています。

(7)来年度以降の取り組みについてどのように考えていますか?

【業務改善課長】令和3年度以降の行政評価対象事業につきましては、各部が選定する事業と企画部が選定する事業を考えてございます。企画部としましては、区議会での質疑、予算編成過程などの議論を踏まえて、各部から1つから2つの事業を選定することとしておりまして、システム導入により効率化を図るなどの内部管理事務についても選定の視点として検討していきたいと考えてございます。

行政評価は時間がかかるとはいえ、区民の血税をもとに事業を執行しているわけですから、説明責任を果たす必要があると思います。民間では四半期に一度事業を振り返るのは当たり前にしているわけで、普段から意識していれば行政評価の作成にもそんなに時間はかからないと思います。

海での体験事業について
令和元年度は参加対象を4年生まで拡大したことにより、参加人数が増えて一人当たりコストが低下しているなど改善が見られます。この事業費の多くは人件費ですが児童の安全を守るための必要経費と言えるため安易な削減は危険です。しかし、一般財源で4000万円かかっている事業で1名あたりの単価が8万4千円となっており、参加費も徴収している状況ですから事業経費の精査は今後の課題と言えます。

(8)行政評価の内容を見ると定員増加に伴い経費が増えているとあります。児童5人に対して指導員が1名ついているということですが、指導員の人件費は定員数ではなく参加人数に対して支払われているという認識で間違いないか?

【学校教育課長】海の体験事業に要する経費ですが、定員数が参加するということで実施するために必要な経費として契約し支払っております。定員数が増加すると経費も増加するということになります。経費を定員数でなく参加人数分とできない理由は実施日ごとに参加人数が増減して、指導員の数が増減してしまうと委託事業者が指導員を適切に確保できない、こういったことを予想するためでございます。

事前に人を確保するのが大変ということで、定員数の人数、人件費がかかっているということですね。1グループ80名で✖️8クール開催しておりますが、開催数が増えれば宿やバスの手配など工数が増えて手数料も増えます。7月から8月上旬にかけて夏期講習やクラブ活動があり5、6年生の参加率が上がらないという指摘があります。

(9)8クール開催してますが参加人数にばらつきは生じていないのでしょうか?また参加人数の少ない日程は無くして、他の日程に合わせるなど工夫で効率化は測れないのか伺います?

【学校教育課長】海の体験事業の実施にあたりましては、過去の実施クールや参加人数などを参考にして学校の実施日やクールを組む学校を変えながら実施クールを決めているところでございます。その上で事業の実施期間を通した宿舎の確保、実施事業者の指導員の確保、友達同士で参加しやすい環境とするため学校ごとに実施日を指定して募集しております。なお募集に際してはより多くの児童に参加してもらうための工夫として、学校ごとに実施クールを指定した最初の募集申込みで定員に余裕があるクールにつきましては再度学校ごとの指定クールを解除した上で希望するクールへの申込みを受け付けているところでございます。最終的な参加申込み人数によって参加の少ないクールを取りやめ他のクールに変更させることは参加者世帯の予定もありまして難しい状況にあると考えております。

参加者が増えれば1名あたりのコストが下がります。4千万と大きな予算がついているわけですから、参加者を増やす工夫をお願いいたします。

昨今ではプラスチックゴミによる海洋汚染問題が注目されております。日本財団の「海と日本人に関する」意識調査結果によると「海へ行きたい」という気持ちは子どもの頃の海体験の有無が関係しております。また「海へ行きたいと」と回答したグループは「海の豊かさを守ること」を意識する行動として、「浜辺で自分たちが出したゴミを持ち帰る」(66%)や 「生活排水に配慮している」(44%)と回答した比率が「海へ行きたくない」と回答したグループよりも20%程度が高く出ています。さらに自分の子どもへ海体験が提供できない親の理由として「海まで時間がかかる」「忙しくて休みが取れない」という理由が多いことから保護者に変わって海体験を提供する本事業には意義があると言えます。

近年、世界的な海洋危機が叫ばれるなか、子どもたちの海体験は環境教育にも効果的です。しかし、区財政を取り巻く環境を大きく変化していることから外部のリソースを活用していく必要もあると考えます。

日本財団は子ども達が海で遊ぶ機会の提供や環境教育に関する事業の補助をしております。補助率は80%以内で上限はありません。自治体であっても実行委員会として開催すれば費用の助成対象になります。実行委員会形式にすることで色んな人の意見が入るので深みが出ると思います。

(10)今年度、当該事業の執行は停止しているわけですが、来年度以降さらに教育効果と財政効果を高めるべく研鑽していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

【学校教育課長】海の体験事業は実施規模が大きいこともあり財政負担も大きく一人当たりのコストも高いため行政評価で改善を要するとの評価でありました。このため教育効果の向上と効率的な実施について検討しておりますが、その中で日本財団の助成事業についても研究して参りたいと考えております。

前向きな御答弁ありがとうございます。是非お願いいたします。他にも監視カメラの事業触れたいと思ったのですが、こちらは分科会で質疑いたします。

(3)広報について
(11)今定例会の一般質問で財政が厳しい中で予算がなくても外部資源などを活用した工夫が必要と指摘いたしました。今年度予算に子育て世帯向けの紙媒体おひるねの作成経費が計上されていました。しかしこの事業は執行統制の対象になりました。子育て世帯向けの情報提供に工夫が必要だと考えますがいかがでしょうか?

【広報広聴課長】区の広報において紙媒体などのデジタルツールを使用しない情報伝達とデジタルツールを活用した情報発信をどのように組み合わせて提供していくことが効果的で訴求力が高いかについては課題だと認識してございます。子育て世帯に対する情報提供については、わかりやすい内容とするとともに子育て世帯がよく利用するツールでタイムリーに情報発信するよう工夫して参りたいと考えております。

子育て世帯がよく利用するツールでタイムリーというお話がありましたが民間のサービスで「Shufoo!」というスーパーのチラシなどを電子データで配信するサービスがあります。約1000万人が利用しておりユーザー層の中心は、乳幼児・未就学児を持つ30~40代の子育て主婦です。通常は有料ですが新型コロナウィルスの感染拡大を受けて自治体は永年無料でサービスが利用できるようになりました。

(12)現在、区内のサミットの各店舗に新型コロナウイルス感染症に関する支援策のチラシが置かれていますが、これに加えてShufoo!のサービスを利用すべきだと考えますがいかがでしょうか?

【広報広聴課長】子育て世代への情報発信としてはLINEの公式アカウントを活用する準備を進めているところでございますが、ご指摘の「Shufoo!」の利用層が子育て世代であること、またPDFファイルを運用したり送信するだけで手間がかからず、プッシュ通知などのオプションをつけなければ無料であること、さらにページの閲覧数をレポートで確認できることからさらに情報収拾しながら検討して参ります。

前向きな御答弁をありがとうございます。当然無料なので使えるサービスも絞られます。配信するにあたり手間もかからないということですが、費用(労力)対効果の検証もお願いいたします。未就学児を持つ主婦層がよく利用しているので保育園の情報提供なども効果的と考えます。自治体の利用は永年無料ということですが、万が一有料になるなど状況が変わった場合は速やかに議会への報告を求めます。よろしくお願いいたします。

2.GIGAスクール構想に向けたガバナンス体制について
コロナウィルスの感染拡大に伴い令和5年に予定されていたGIGAスクール構想を令和3年度に前倒して現在中野区としても検討を進めている状況です。一方で端末やネットワーク環境など並行して整備しているため教育委員会事務局は機器の調達、学校現場との調整に追われています。GIGAスクール構想では児童生徒の個人情報を取り扱う機密性の高い校務系のネットワーク、児童生徒が学習で利用する学習系ネットワークの構築などインフラ設計に関する懸案事項も多数あります。中野区の情報基盤のあり方について何度か指摘しましたが、システムの利便性と安全性を両立するインフラ設計、ガバナンス体制の構築はGIGAスクール構想へ移行した後には必ず課題となります

(13)学校教育課に伺います、現在、教育委員会事務局においてGIGAスクール構想の検討および、端末の調達、学校現場の調整はどのような体制で行なっているのか?

【学校教育課長】GIGAスクール構想に向けて、現在どのような端末を導入するのか、校内ネットワーク環境をどのように整備するのか、検討しております。検討は小中学校の校長、副校長および指導室長で構成されております教育情報システム委員会において行なっております。職員体制としましては情報システム課に在籍経験のある職員2名を兼務職員として配置したところでございます。

先日、児童生徒一人一台ICT端末を整備するための補正予算が議決されましたが、ネットワーク環境の整備に4億5千万の経費、さらに端末とリース料で経常的に多額の費用が一般財源としてかかります。端末のセキュリティ対策などや値段が妥当か区長部局のICT専門支援員や情報政策官を入れてチェックするなどして、最大限効果を発揮できる体制を構築していただきたいと思います。

前橋市で教育ネットワークへの不正アクセスにより児童生徒の個人情報が流出しました。その際市はベンダー側を訴えました。しかし、ベンダーは市側に非があるとして反訴しました。前橋市の事例ではベンダー側がセキュリティ対策を講じるべく、市側の担当者とマネジメント会議を開くはずが市の担当者と連絡がつかず開催できない、必要な情報を請求しても反応がないなど教育委員会事務局の対応が不十分だった点を責められています。中野区のシステム障害ではベンダー側の過失が明らかになりましたが、適切な対応ができなければ区側が逆に訴えられることもあります。

(14)情報システム課に伺います、現状では暫定的に校務系と学習系のシステムが区長部局のサーバーにありますが、GIGAスクール構想がスタートした場合にはどうなりますか?

【情報システム課長】GIGAスクールがスタートした場合のシステムでございますが、現在も区と学校とではセキュリティポリシーが異なることから区のネットワークと学校のネットワークは仮装分離をしてございます。帯域は共有しているということもございますので、GIGAスクールの展開によりましては容量が不足するということも見込まれるところでございます。学校用のネットワークを別途整備して、区のネットワークとの物理分離を検討していくところでございます。

(15)学校教育課に伺います現状の中野区のセキュリティポリシーでは、GIGAスクール構想が進めば教育委員会事務局がベンダーとのやりとりなどガバナンスを担わなければならなくなります。教育委員会事務局としてどのようにガバナンスをとっていくつもりなのか?

【学校教育課長】現在も学校全体に関わる部分についてのベンダーとのやりとりなどは教育委員会事務局が担っております。また校務系のネットワークと学習系ネットワークは分離されており、かつ学習系ネットワークは区の仮装統合サーバーを利用しているため個人情報保護に関わるセキュリティ対策は取られていると認識しております。来年度以降、学校全体のネットワークを再整備することを考えており情報資産の管理および適正かつ効率的な運用管理のためガバナンス強化は必須でありそのための体制強化については検討して参ります。

現状、教育委員会のネットワークは東京都のセキュリティサーバーの保護下にないため運用レベルで言えば区長部局のシステム以上に脆弱性や不正アクセス対策に敏感にならなくてはならないと私は考えております。現状では教育委員会のCISOは教育長となっておりますが、児童生徒の個人情報が漏洩した時に指揮を取れるのか疑問です。おそらく有事の際には区長部局の危機管理対策本部が中心となって事態収拾に当たるのでしょうが、普段からの連携体制がなければ初動が遅れることは間違いありません。現状では教育委員会においてインシデントが発生した場合に危機管理等対策会議が立ち上がります。情報連絡体制はあるが実行部隊や普段の連絡体制のあり方に課題がありそうです。

(16)教育長に伺います、GIGAスクール構想がスタートするまでには教育委員会事務局に規模は小さくても情報システム課のような機能を設置するか、今以上に情報システム課や区長部局との連携強化が必要と考えます。見解を伺います?

【教育長】GIGAスクール構想を含む教育情報化を推進するための組織や人材につきましては、高い教育についての専門性を有する人材だけでなくICTに対する高い専門性を有する人材を最大限に活用することで対応していかなければならない状況でございます。教育情報化推進に向けましては教育情報資産の管理運用が適正に学校、子どもたちにとって効果的に行われるよう区長部局とこれからも密に連携をとって参ります。

(17)区長部局と連携をとっていくという答弁をいただきましたがガバナンス体制のあり方について区長部局のCIOのお考えを伺います。

【副区長】区長部局の CIO、CISOとしてお答えいたします。教育委員会を含めた区全体の情報セキュリティポリシーを定めるかどうかにつきましては、教育現場での情報システム機器の使い方が通常の事務職と異なるという教育現場の特殊性もございまして長年の課題になってきたところでございます。しかし、GIGAスクール構想を契機に教育の分野でも情報システム機器の活用が大幅に進んでいくことが見込まれることから、情報システムを安全に活用していくことが以前にも増して求められていくものと考えております。このため教育現場の特殊性も踏まえた上で区全体として基本方針を定め統一的な運用を図っていくことが大切であると考えております。そのような方向で今後検討して参ります。情報システムを運用するのはいうまでもなく人であり、情報セキュリティを確保していくためには情報システムを活用する上で重要な部署にICT人材の育成や情報システム課との兼務体制などICT人材の全庁的なマネジメントを図るとともに様々な形で外部人材の活用などについても検討して参りたいと考えております。

前向きな御答弁ありがとうございます。基本方針を定めて教育委員会とも連携を深めていく、人材についてはローテーションで育成したり、民間人材も活用されるとのことでした。全庁的に人員が不足する状況の中、すぐに課のような体制を整備するのは難しいと思いますが、構造改革によって人員を捻出するなど、中長期的な目線で検討をお願いします。GIGAスクール構想について授業の中身が肝になってくるわけですが、児童生徒が安心して便利に学習できる環境を整えることは大前提です。教育長、CIOから力強い答弁をいただきました。連携強化を図り対策にあったっていただければと思います。

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