令和七年第四回定例会において一般質問致します。
1.中野区DX推進等について
総務委員会でのやり取りを踏まえると、策定過程の中野区DX推進計画では新規拡充事業の数や費用概算が不明確で、財政フレームに十分反映されているとは言えません。基本計画の新規拡充事業は180個から次期計画では233個に増加することが明らかになりました。基本計画策定時は予算が膨らむ傾向があるため、これまでも企画部に、緊急性・重要性の観点で事業実施時期を調整し、予算を財政規律に収めるよう要望してきました。「計画はあるが予算がない」「DX経費が他の重要施策を圧迫する」事態は避けなければなりません。
デジタル政策課が司令塔としてDX推進計画に必要な予算を統括し、財政フレームに反映していく必要があると考えます。
また、基本計画と同様にDX推進計画では事業が前半2年間に集中していますが、予算規模は不明確です。予算も内容も固まっていない段階で、スケジュールありきで事業を詰め込むことは、混乱を招く懸念があります。
【質問1】 不確定要素が多い現状において、単に目標期限に合わせるのではなく、自治体情報システム標準化の遅れの影響や正確なコストを見極め、財政フレームとの整合性を図りつつ予算枠に確実に収まるよう、DX推進計画における事業実施時期を明確化すべきと考えますが、区の見解を伺います。
【区長】標準化のスケジュールは、遅延してきており、それに関連する取 組への影響の発生も懸念されるところである。 ○DX推進計画においては、標準化の遅延なども含め、区全体の財 政状況や施策の優先順位を踏まえながら、取組の内容や手法、ス ケジュールなどを適時適切に見直していくことを考えている。
DXを推進するエンジンは、テクノロジーではなく、それを使いこなし、変革をリードする「人」と「組織」です。優れたツールを導入しても、職員のスキルや意識が変わらなければ、DXは実現しません。区は全庁的にツール導入や研修を進めていますが、職員アンケートでは「業務改善や区民サービス向上のためにデジタルスキルを学んでいる職員」の割合が、令和5年度の74%から6年度は71%へ減少しています。区の取り組みが職員の行動変容に繋がっていないことを示しています。新庁舎移転を契機に多くのデジタルツールを導入しましたが、それらが活用しきれていないのではないかという懸念があります。
効果的な人材育成には、「目指すべき姿」の定義が不可欠です。しかし、行政職員に求められるデジタルスキルは一律ではありません。全職員が持つべき「基礎的リテラシー」に加え、データ分析力やGIS活用、さらには内部管理事務におけるAI・RPAの内製化による業務改善といった「部署・業務ごとの専門スキル」、そして管理職層には業務フローを再構築する「BPR(業務改革)視点」など、階層と職務に応じた明確な定義が必要です。 各課のDXリーダーからのボトムアップによる意見聴取し、それらを整理し、区として体系的な「デジタルスキルマップ」を策定する必要があります。スキルの可視化は、職員の自律的なキャリア形成の指針ともなります。職員が自ら学び、実践するインセンティブを設計する必要があります。
【質問2】 全職員共通のリテラシーだけでなく、部署ごとの業務特性に応じた専門スキルや、管理職に求められるBPR等のマネジメント能力を含めた「中野区版デジタルスキルマップ」を策定してはどうか区の見解を伺います。
【区長】この間のMS365などのデジタルツールの導入により、職員が デジタル技術を活用できる環境は一定整ったが、職員が持つべき基本スキルの定義や、共通研修の充実が課題となっている。現在策定中のDX推進計画では、こうした課題に対し、職員に求められる基本デジタルスキルを定義し、全職員を対象とした研修や 管理職へのマインドセット研修を提供することにより、組織全体で DXを推進する土台を整備することとしている。デジタルスキルマップについては、先行自治体の事例等も踏まえて研究していきたい。
続いて、教育現場のDXについて伺います。
子供たちの学びの環境整備と、教職員の働き方改革は最優先課題です。しかし、GIGAスクール構想により学習系が進展した一方で、校務系のDXは大きく立ち遅れています。
「中野区立学校における働き方改革推進プラン」改定に向けた調査(R6.3報告)によると、教員は最大で1人4台ものPCを使い分ける非効率な環境にあり、校務系端末がネット接続できない不便さを訴える声が多数上がっています。さらに深刻なのはセキュリティ面です。個人情報の持ち帰りルールが学校ごとに異なり、紙媒体での持ち出しなど情報紛失リスクが常態化しています。加えて、システム維持には年間約10億円もの費用が掛かっており、財政負担も大きいです。これらを踏まえ、利便性向上と財政効果の追求を同時に進める必要があります。こちら財政効果についてはわかり次第、示していただく要望いたします。
【質問3】教員アンケートでも「テレワーク」の必要性が示されましたが、都の共同調達仕様で「テレワーク対応」が必須要件とされていないことは、長時間労働是正という現場の切実な声から逸脱しています。区は次世代校務DXの実現に向け、「インターネット接続の不備」や「複数端末の煩雑さ」を解消し、教員の柔軟な働き方を支えるために、具体的にどのような環境構築が必要と考えるか、見解を伺います。
【区長】教職員の柔軟な働き方を支えるためには、ICT環境の整備が必要であり、校務系・学習系ネットワークの統合、校務支援システムのクラウド化、データ連携基盤の創出等を進めていきたいと考えている。教職員のテレワークに関しては、他自治体で導入している事例もあるため、その事例も踏まえて導入を検討していきたいと考えている。
【質問4】校務DXを推進することで、現状複数のパソコンを保有している状況が改善されるわけですが、端末統合をするメリットについて、どの考えているのか、見解を伺います。
【区長】学校においては、学校と区の連絡等で活用する庁内系のパソコン、教職員が成績処理等で活用する校務系のパソコン、児童生徒への 教材提示等で活用する学習系のパソコンを利用しているところ である。端末統合をするメリットとしては、授業計画や教材研究、成績処理が1つの端末で完結できるようになり、区との情報連携も容易になり、教員の負担軽減につながることと考えている。
2.中野区人財育成総合プランについて
DXの進展で定型業務の自動化・効率化が進む今こそ、データには表れない区民の切実な声を現場で聴き、多様なステークホルダーと膝を突き合わせ解決策を導き出す「地域に飛び出す公務員」への転換が必要です。この理念の具現化こそが、これからの自治体職員に不可欠な信頼と共感を生み出す鍵と考えます。
具体論として、区の政策は多岐にわたります。例えば、企画分野は研究機関、福祉分野は医療・介護関係者、街づくり分野は地域住民や事業者、産業振興分野は中小企業、子ども分野は保護者や教育関係者など、分野ごとに関わるステークホルダーは異なります。
【質問5】地域課題が複雑化する中、現場主義の徹底は不可欠です。しかし、一口に「地域」と言っても、各部署が向き合うべきステークホルダーは分野ごとに全く異なります。各部署がそれぞれの業務特性を踏まえ、具体的に「誰と」「どのように」連携すべきか、その「関わり方」を個別に定義していく必要があると考えますが、区の見解を伺います。
【区長】各部署がステークホルダーと適切に関わり、現場主義を徹底 していくことは重要であり、中野区人材育成総合プランでは、 区民起点の思考の早期習得を図っていく考えである。職務によっては庁外における現場主義の実践が難しいこと から、地域活動に参加する研修を提供するなど、各部署・各職員が主体的に実践できる仕組みを引き続き検討していく。
こうした現場主義を組織文化として定着させるには、職層ごとに求められる「現場対応力」の明確化が必要です。例えば、若手職員には、地域へ飛び込み、生の声を聞き取る「感度」と「フットワーク」が求められます。 次に、係長・課長級には、複雑な課題に対し、利害を調整し、納得解を導き出す「合意形成力」が必要です。そして、部長・幹部職員には、課題を大局的に捉え、外部機関との信頼関係を構築しながら、経営戦略へと昇華させる「構想力」と「交渉力」が不可欠と考えます。
【質問6】このように、職層が上がるにつれて、現場との関わり方は「情報収集」から「利害調整」「戦略的パートナーシップの構築」へと質的に変化します。行動指針を絵に描いた餅にせず、実効性を持たせるためには、こうした階層ごとの役割を、人材育成プログラムや昇任選考の要件、さらには人事評価の具体的な項目として制度に組み込むことが不可欠です。職員が自身のキャリアステージに応じ、どう地域に関わるべきかを理解し、行動変容を起こすための「人事制度上の仕組みづくり」について、区の見解を求めます。
【区長】現場志向に関して求められる役割と能力は、職層に応じて変 化していくものと認識しており、中野区人材育成総合プランで は、区民起点の思考の浸透、挑戦を促す人事施策の展開を通じ て、職員の行動変容につなげていきたいと考えている。組織全体で、職務や職層に応じた現場志向の定着を図る視点 を踏まえ、人事制度上の仕組みについても充実を図ってまいりたい。
3.中野駅周辺まちづくり等について
大規模再開発の効果を最大化するためには、ハード整備だけでなく、エリアマネジメントや公有財産の戦略的活用が不可欠です。中野駅前広場や再開発で生まれた公開空地は、単なる通過動線であってはなりません。そこで、これからの街づくりで中心に据えるべきが、『パブリックライフ』という視点です。一般に「都市は匿名性が高い」と言われますが、これからの街づくりに必要なのは、その対極にある『顔の見える関係』です。これは、一時的な『賑わい』だけでなく、読書や立ち話、子供の遊びといった日常のアクティビティを通じて、互いの存在を認知し合うことを指します。 「そこに身を置けば、人とつながっている実感が得られる」。 そうした、孤立を防ぎ、多様な人々が共に生きていることを肌で感じられる空間の質こそが、パブリックライフの本質です。都市の価値を『建物の立派さ』ではなく、『人々の過ごし方』という『アクティビティの質』で評価する概念です。
ウォーカブルな街づくりを推進するためには、ただ空間を整備して終わりにするのではなく、人々が思わず足を止め、滞留したくなる『居心地の良さ』を設計しなければなりません。 従来の空間の『管理』から、質の高い日常を『創出』するエリアマネジメントへ転換するためには、経験や勘に頼るのではなく、人流データ等のDX技術を活用することで、空間の『質』や施策の『効果』を客観的に可視化することも可能です。
【質問7】現在、基本計画の重点プロジェクトの指標として用いられる「駅乗降客数」は、あくまで経済的なポテンシャルや一過性の集客を示す量的な数字に過ぎません。中野区が目指すまちづくりを実現するためには、単なる通行量だけでなく、「滞留人口・滞留時間」や「活動の多様性」といった、パブリックライフの質を測る指標を新たに設定し、データに基づくまちづくりを進めるべきと考えますが、区の見解をお聞かせください。
【区長】基本計画における成果指標の設定にあたっては、現状分析と目標 設定のために、実績値を把握している必要がある。そのため、現時点で、区としてデータを把握していないものを、新たに成果指標として設定することは難しいと考えている。
【質問8】再開発で生み出された公開空地について、公益性の高い活動については使用料の減免や免除規定を設け、区民が日常的に使いやすくする考えはあるか。またイベントが開催されていない平時の日であっても、人々が自然と集まり、滞留できるようなハード・ソフト両面からの具体的な仕組みづくりについて、区の見解を伺います。
【区長】市街地再開発事業により創出される公開空地は、民有地であり、区が直接管理・運営できないが、地域の魅力発信や賑わいづくり の有効な資源であるため、中野駅周辺エリアマネジメントを通じ て、活用の仕組みづくりを進めてまいりたい。
中野二丁目権利床(ナカノハコ)の公益性について、再開発で取得した権利床は、貴重な区民の財産です。区は、情報発信拠点として公共性のある取り組みを条件に、事業者に対し賃料を大きく減免していますが、当初予定の一般開放は実現せず、現在は試行的な運用に留まっています。当初、区は事業者募集要項に「管理運営状況によっては、減額割合の見直しや廃止を行う」ことを定めていました。しかし、実際の契約の際には、これらの文章が削除されていることが明らかになりました。公有財産である以上、その活用は最大限の公益に資するものでなければなりません。契約経緯を踏まえ、試行開始から約1年が経過する今、その成果と妥当性をより厳しく検証する必要があります。
【質問9】 一般開放の試行開始からこれまでの利用実績(利用人数、実施内容、情報発信効果など)を踏まえ、現状は賃料減免に見合う十分な公益性が発揮されていると評価しているのか、区の見解を求めます。
【区長】中野二丁目再開発権利床活用事業は、区の権利床の有効活用を図るため、公共公益に資する地域情報交流スペースと収益等を目的 とした本来事業を一体的に展開する事業者に貸し付けたもので ある。事業者は様々なイベントを実施するとともに、利用団体の対象を拡大するなど、区民の利用向上に努めており、公益性のある事業を実施していると考えている。
【質問10】あわせて、区民が広く利用できるよう、積極的な一般開放に向けて事業者とどのような協議を行っているのか、その状況についてお答えください。
【区長】コミュニティボックスについては、令和6年12月9日より対象 者及び時間帯等を限定の上、試行的に開放しているところである。 一般開放については、令和8年度以降に拡充することについて、 今後、協議することとしている。

中野区議会議員(無所属)1987年1月29日生まれ 36歳 卯年 中野区・中野在住
法政大学大学院政策創造研究課程修了。大学在学中は極真空手に打ち込み関東大会準優勝。2010年には東京大学アントレプレナーシップ論講座で最優秀賞を受賞。2015年中野区議会議員選挙で1268票獲得するもあと170票およばず落選。その後、インターネット投票を推進するIT企業を経て2019年初当選。共著に「弱者にやさしい会社の話」(KINDAI E&S BOOKS)
所属委員会
総務委員会 副委員長/情報政策等調査特別委員会 委員
その他活動
NPO法人ストリートデザイン研究機構 専務理事/グリーンバード中野チーム リーダー/昭三自治会 防災部長/中野消防団第六分団 団員/東京青年会議所中野区委員会 広報幹事/第45回わんぱく相撲中野区大会 実行委員長/中野区赤十字奉仕団昭和分団 団員/昭和区民活動センター運営委員会 委員/中野区青少年育成昭和地区委員会 委員/中野区交通安全対策協議会 委員/中野駅前大盆踊り大会実行委員会 委員

