令和6年第3回定例会の一般質問と答弁を全文公開いたします
1.持続可能な財政運営について
(1)令和7年度予算編成方針について
財政運営の考え方では財政調整基金の施設改修分、社会福祉施設整備基金及び義務教育施設整備基金の対象施設の当該年度に発生する見込みの減価償却費相当額の25%を積み立て、年度末残高は減価償却累計額相当額の25%の確保に努めますとあります。令和6年度の予算編成の際には当初予算で積む基金積立目標額、施設改修分5億7,300万円、社会福祉施設整備基金は1億5,000万円、義務教育施設整備基金は5億4,500万円の合計約12億7000万円に対して、一般財源で積立てたのは0円でした。取得原価と更新費用の金額の乖離があり基金積立目標額は実際かかる更新費を大きく下回る金額にもかからず積み立てができていません。これらは基準となる一般財源規模に代わる財政規律として区が設定したものでありますから、次年度は必ず守っていただきたいと思います。
令和6年度当初予算において、必要な基金積立ができなかった理由としては実施計画に位置付けられている新規事業などの予算を積み上げたら、各部の予算要求限度額を超過してしまい基金積立目標額を確保できなくなったのだと解釈しております。
中野区実施計画の財政フレームに記載されている新規・拡充事業は令和5年度が574億円、令和6年度は405億円、令和7年度は339億円計上されております。令和7年度はこの3年間ではもっとも金額が少ない状況であることから、基金積立目標額の積立額を確保することは容易に思います。令和7年度の予算編成方針には計画等に位置付けられていない新規・拡充事業を立案する場合は既存事業の見直しを必須として、その経費については既存事業の上限額を超えないように努めることとありますので、新たな取り組みを示す際には実施計画に位置付けられている新規事業とそうでない新規事業をわかりやすく明記していただきたいと思います。
予算特別委員会において、各部が財政的な意識を持ち予算を限度額に抑えるため各部の予算要求限度額を第4回定例会の常任委員会等で示すなど工夫をすべきと提案をしましたが、令和7年度予算編成方針のどの部分にその考え方が反映されているのか、区の見解を伺います。
【回答】通常、1月の中旬まで予算編成を行っており、各部の予算要求額を事前に常任委員会でお示しすることは難しいと考えている。一方で、令和7年度の予算編成方針では、新規・拡充事業の精査、事業見直しを踏まえた歳出の抑制、効率的かつ生産性の高い体制構築に向けた対応などの事項について、これまで以上に歳出抑制に踏み込んだ内容としている。令和7年度予算編成にあたっては、全庁において、この方針を徹底し、予算要求限度額の範囲内に収めることで、基金の積立ても確実に実施できるように努めてまいりたい。
植田総裁は、7月31日の金融政策決定会合で政策金利を従来の0~0.1%程度から0.25%に引き上げと2025年度末までの長期国債買い入れの減額計画を同時に決定しました。「国債購入の減額計画では、これまでの月間6兆円程度を原則として四半期ごとに4000億円程度ずつ減額し、26年1-3月に3兆円程度まで圧縮する。」と報道されています。
日銀は政策金利の引き上げと長期国債買い入れの減額計画による金融引き締めにより、物価上昇を抑制して景気を安定させようとしています。その反面、投資と消費が抑制されることによる景気の冷え込みによる税収減、国庫支出金の割落としなどのリスクも考えられます。中野区としては、まちづくり等国庫支出金の金額が大きいことからそういった影響の見通しをもって財政運営を行うべきと考えます。区の認識を伺います。
【回答】政策金利引き上げにより、国の政策変更による補助金縮小など区財政への影響も一定程度は、あると想定しているところである。一方で国や都において、税収は伸びると予測しており、様々な社会情勢を踏まえて、今後の財政見通しを見定める必要がある。予算規模の大きいまちづくり事業については、補助金の状況なども含めて、国や都の動向を注視していく必要がある。区民サービスに支障がないように、まちづくり事業に係る財源については確保に努めていきたい。
(2)公金運用計画の作成について
9月5日の日本経済新聞では日本銀行の審議委員が「物価が見通しに沿って推移するもとで、堅調な設備投資や賃上げ、価格転嫁の継続など前向きな企業行動の持続性が確認されれば、その都度、もう一段のギアシフトを進める」と今後も段階的に利上げをする可能性が報じられています。
日銀の金融政策転換により長期金利は今後上昇傾していく見込みです。こういった局面では長期債権を保有するなど基金の債権運用率を高めて、運用益を出していくことが必要ではないでしょうか。世田谷区では基金における債権運用の割合が令和4年度は30%だったのを令和5年度には46%に比率を増やしその他工夫をしたことで、積立基金利子収入を2億5,200万円から2億8,900万とし、令和6年度は約4億5,000万円を見込んでいるとのことです。中野区においても債権の運用比率を上げていく必要があるのではないか?区の見解を伺います。
【回答】基金運用にあたっては金融機関や証券会社との連絡を密に行い、経済や金融情勢、金利動向などの把握に努めている。マイナス金利政策の解除に伴い、預金および債権の金利が上昇していることを踏まえ、安全性を重視しつつ効率性の高い基金運用を検討していく。
また、債権運用の方針を明確にするために年間の運用可能資金と目標利子収入を定めた公金運用計画を作成してはどうか区の見解をうかがいます。
【回答】区では「中野区公的資金の管理・運用に関する基準」に定める「資金運用会議」を毎年度、出納閉鎖後に開催し、資金の管理運用について年間計画を策定している。利子収入は金利の変動に左右されることから目標利子収入を定めることは予定していないが、金利の状況も見極めながら効率性の高い基金運用を検討していく。
その他、運用益を高める施策については総括質疑で伺ってまいります。
2.公有財産の使用および貸付料の減額・減免の考え方について
中野区はにぎわいの中心となる新庁舎を軸にしたパブリックスペースとして屋内イベントスペース「ナカノのナカニワ」と隣接する広場「ナカノのソトニワ」を整備しています。ナカノバ、ソトニワに加えて隣接する四季の森公園のイベントエリアを一体的に活用することで、シンポジウム、展示会、飲食店・物販のブースなどを出展できる魅力的なスペースになっています。私の周りの団体の方々も利用する機会が多く、区民の方からの需要も高いのだと思います。区役所や四季の森公園には多くの方が訪れるため、好立地でイベント開催できることは、地域団体の方々にとっても喜ばしいことだと思います。私も所属する団体で実際に使用させていただきましたが、とてもイベントの企画し甲斐のあるスペースだと感じました。
ソトニワに関しては公有地の面積×使用料の算出になっており、他の区有施設と比較して使用者負担が100%になっていることから使用料金が高くなってしまっています。また、ナカノバ、ソトニワには減免・免除の考え方がなく、現在は区が主催・共催するイベントのみが使用料が免除になっております。
ナカノバは入場料を徴収しない場合、平日9時から21時まで使用した場合24,200円、土日9時から21時まで使用した場合30,000円、ソトニワは該当月の日数で値段が変わるのですが、4月の価格を基準とした場合9時から21時までの使用料は82,800円でソトニワの使用料は他の施設・公園よりも使用料は割高になっています。実際に知り合いの団体からも公益性の高い活動を行いたいが使用料が高くて開催が難しいという相談を受けました。
中野区として誘導したいにぎわい、公益事業に関しては負担を軽減するべく廉価に使用できる使用料金を設ける、または使用料の減免・免除の考え方を導入すべきと考えるが見解を伺います。
【回答】「ソト二ワ」は公開空地であり、東京のしゃれた街並みづくり推進条例に基づく、まちづくり団体登録制度を活用して、にぎわい創出活動を実施しており、利用にあたっては一定の制約がある空間である。また、直近に中野セントラルパークのイベントスペースやホール、会議室があり、民間事業として貸付が行われている。以上を踏まえてつつ「ナカノバ」を含めた今年度の利用実績や利用者の声を伺いながら、より公益性の高い事業などの使用料の減免・免除について検討してまいりたい。
ソトニワは公開空地であることから区役所内のナカノバなどと予約方法がことなります。また、ナカノバソトニワ、四季の森公園のイベントエリアと隣接しておりますが区の所管が異なることから管理会社なども別々になるので問い合わせ先が複数にわかれてしまい、利用者からすればわかりにくく不便な状況です。ナカノバ、ソトニワ、四季の森公園の管理に関してイベント運営がしやすいように区が間に入るなどして一体的に管理運営できるように連携してはどうでしょうか?区の見解をうかがいます。
【回答】イベント開催時にナカノバとソトニワ、中野四季の森公園のイベントエリアを一体的に利用するにあたっては、イベント主催者の意向や利便性をできるだけ配慮するべきだと考えている。各スペースにおいては、管理主体が異なることから、区と管理会社等による定期的な情報共有の場や、大きなイベント開催前に連絡・調整の機会を設けるなど、一体的な管理につながるよう工夫してまいりたい。
ソトニワの運用については、同じ思いを持つ議員の総括質疑に引継ぎたいと思います。
3.デフリンピックの啓発について
2025年11月に、「耳の聞こえない人」の国際大会「第25回夏季デフリンピック競技大会東京2025(二―ゼロニーゴー)」が日本で初めて開催されます。中野区では、中野区立総合体育館でテコンドー競技が行われる予定です。大会開催を機にデフスポーツやろう者の文化への理解を促進し、障害のある人とない人とのコミュニケーションや心、情報、街のバリアフリーをさらに推進し、互いの違いを認め尊重しあい、誰もが個性を活かし、力を発揮できる共生社会づくりを推進する機会なります。また、大会を通じた手話言語の理解・普及・拡大など襲来の情報保障の推進・強化に加えデジタル技術を活用した新しいコミュニケーションツール等の開発、社会への普及を促進する機会となります。デフリンピックには世界各国から選手や関係者が集まります。これにより、地域が国際的な視点を持ち、多様性を尊重する文化の醸成につながります。地域住民が多様な文化や価値観に触れることで、国際感覚が養われ、地域の魅力向上にも貢献します。特に子どもたちにとっては、障がい者への理解と共感を育む教育の場となり、次世代のインクルーシブな社会づくりに寄与します。
中野区内の小中学校で、デフリンピックをテーマにした特別授業に当事者を招いてデフリンピックの歴史、意義、競技種目、基礎知識な手話を学べる機会を提供してはどうか?区の見解をうかがいます。
【回答】大会を開催する東京都から子どもたちのデフリンピックの競技観戦や競技者との触れ合いを通した障害者理解事業を検討していると聞いている。こうした取り組みに積極的に参加し中野区の子どもたちに障害者理解を深めさせる貴重な経験となるように努めえいく。
また、デフリンピックの競技種目を体験できるイベントを区役所等で開催し、聞こえない人と健常者が共に楽しめるような啓発イベントを実施してはどうでしょうか?区の見解をうかがいます。
【回答】今年度は、東京都等からの協力依頼に対応するとともに、作成された啓発物を活用した啓発に取り組む予定である。今後は、スポーツ振興、地域共生社会の実現に寄与するといった開催意義を踏まえ、区としての啓発や気運醸成事業の実施についても検討していきたい。
大会期間中、多くのボランティアが活動し、大会運営を支えることになります。ボランティア活動を通じて、地元の方々が参画できる機会をつくることで、地域住民の理解も深まります。開催地である中野区としてもボランティアの募集を積極的に行ってはどうか?区の見解をうかがいます。
【回答】東京都からは、東京2025デフリンピックのボランティアは、開催1年前となる今年11月ごろから募集を開始する予定と聞いてる。中野区においても、会場所在自治体として関係者と連携しながら、スポーツボランティアの活動が広がるように努めてまいりたい。
現在、中野区の避難所には簡易筆談機が配備されておりますので、聞こえない人とのコミュニケーションが取れるようになっています。避難時における情報保障の推進・強化をしていくために、関係団体と防災協定を締結するなどして、2次避難所の障がい者対象施設に対して手話通訳を派遣してより細やかにコミュニケーションを取れるようにしてはどうでしょうか?区の見解をうかがいます。
【回答】聴覚障害者のある方への災害時の情報提供は、視覚情報として、防災情報メールマガジンや、エリアメール等の携帯電話への情報発信をはじめ、中野区ホームページ、X、フェイスブックやLINEなどのSNSで情報提供を行っているところである。今後、より細やかな情報伝達をする方法として、2次避難所の障害者対象施設に対する手話通訳の派遣についても検討してまいりたい。
以上ですべての質問をおわります。ご清聴ありがとうございました。
中野区議会議員(無所属)1987年1月29日生まれ 36歳 卯年 中野区・中野在住
法政大学大学院政策創造研究課程修了。大学在学中は極真空手に打ち込み関東大会準優勝。2010年には東京大学アントレプレナーシップ論講座で最優秀賞を受賞。2015年中野区議会議員選挙で1268票獲得するもあと170票およばず落選。その後、インターネット投票を推進するIT企業を経て2019年初当選。共著に「弱者にやさしい会社の話」(KINDAI E&S BOOKS)
所属委員会
総務委員会 副委員長/情報政策等調査特別委員会 委員
その他活動
NPO法人ストリートデザイン研究機構 専務理事/グリーンバード中野チーム リーダー/昭三自治会 防災部長/中野消防団第六分団 団員/東京青年会議所中野区委員会 広報幹事/第45回わんぱく相撲中野区大会 実行委員長/中野区赤十字奉仕団昭和分団 団員/昭和区民活動センター運営委員会 委員/中野区青少年育成昭和地区委員会 委員/中野区交通安全対策協議会 委員/中野駅前大盆踊り大会実行委員会 委員