令和7年第3回定例会において一般質問致します。
(1)持続可能な財政運営について
中野区は区有施設の更新に関して、『長寿命化が可能』と判断される施設については、建築後80年まで延命する方針を示しています。その結果、直近でかかる予定だった施設更新費は減少します。しかし、2050年ごろの特定の時期に建替えと大規模改修が集中して発生することになります。
このピークをその時々の税収のみで賄おうとした場合、将来世代へ大きな財政負担を強いることになります。この費用発生の波を「基金」や「起債」を戦略的に活用することで平準化し、長期的に安定した財政運営を実現しなくてはなりません。今回示された財政運営の考え方における減価償却費に基づいた基金積立の考え方では実態に合わない積立であり、負担を平準化する仕組みにはなっていません。
現状の中野区有施設整備計画では、今後概ね20年間を見据え、新設・改築・ 大規模改修等の施設を対象に検討を行ったとしておいますが、長寿命化を行うのであれば30年以上の視点で作成すべきであると考えます。
人口動態や経済状況の変動シナリオを考慮した30年程度の長期財政推計を毎年作成し、将来の財政負担についての議論の基礎とするべきです。将来的には、現在の財政運営から脱却し、必要な積立をどのように行うべきかを定める必要があります。いつから将来の財政負担に備えた積立を始めるおつもりか、 具体的な見解をお聞かせください。
【区長】近年顕著である物価高騰や、今後の施設整備スケジュール、 整備経費を勘案し、今回、財政運営の考え方における基金活用 の考え方を見直したものである。基本計画や区有施設整備計画など、主要な計画と合わせて整理 しており、計画的な基金の積み立てと併せて、計画的な起債を行うことで、将来の施設整備にも対応していると考えている。
建て替えのピーク時に起債発行を集中させて単年度の負担急増を抑制する長期計画の策定が必要です。現在は金利上昇局面であることもあり、平時は起債発行を抑制し、常に発行余力を確保しておく戦略が不可欠であります。また長寿命化を実現するためには、事後的な修繕から計画的な予防保全が不可欠です。計画的な予防保全は、施設の劣化が軽微な段階で補修を行うことで、結果的にライフサイクルコストを縮減し、トータルでの財政負担を軽減する効果があります。予防保全型管理を徹底するための体制強化と、必要な予算を継続的に確保する仕組みについて、区の見解を伺います。
【区長】過去の改修履歴や劣化状況などから予防保全を進めているところであるが、今後は更新・保全が必要な区有施設が増加することが見込まれることから、保全に係る計画を策定することを考えている。保全計画策定後の組織体制については、保全に係る計画と併せて今後、検討を進めるとともに、計画的な基金への積立を行っていく。
長期的には中野区も人口減少に陥るため、人口推計などを踏まえて人口動態や区民ニーズの変化を的確に捉え、施設の統廃合や複合化・多機能化を通じた施設面積を圧縮していくことが不可欠となります。施設の統廃合や複合化による総面積の縮小にどのように取り組む方針でしょうか、具体的な目標やロードマップをお示しください。
【区長】区有施設整備計画骨子でお示ししている通り、長期的には区の人口が減少に転じ、人口構成も変化していくことから、区有施 設の見直しや再編に係る検討を進める必要がある。次期区有施設整備計画において延床面積の削減に係る削減目 標など具体的な数値を示すことは予定していないが、各施設の整備計画を事前共有し、計画策定後も施設の集約化や複合化等について引き続き検討する。
2050年ごろ建替えが重なることにより多額の更新費用が必要になります、負担の平準化をどのように進めるつもりか伺います。
【区長】区有施設に係る目標耐用年数を60年から80年に変更したこと により、施設更新経費のピークは概ね30年程度、先となることを見込んでいる。区の人口が減少に転じることも踏まえ、区有施設の集約化や複合化など総延床面積の縮減について検討を進める。
令和8年度の予算編成方針の中で事業計画をたてる際は事業期間を見定め政策的位置づけ、戦略的展開や事業効果、事業実施に伴うリスクを明確にしたうえで、予算(投入資源)かけるだけの効果(アウトプット)得られるかなどエビデンスベースでの計画作成を必須としています。エビデンスベースの予算編成はこれまでも行ってきたという認識ですが、昨年までの取り組みとの違いがあればお答えください。
【区長】令和8年度予算編成方針において、「事業計画を立てる際は、 期間、政策的位置付け、戦略的展開や効果、実施に伴うリスクを 明確にした上で、予算に対する効果、統計や業務データ等の収集・分析と事前の庁内調整を踏まえた、エビデンス・ベースでの計画作成を必須とすること」と明記したところである。事業の有効性や実効性といった目標が明確になることで、効果検証時に実積と比較が可能となり、既存事業の廃止、統合、縮小といった見直しが推進され、歳出の抑制及び効果的・効率的 な政策実行につながると考えている。
(2)未来を見据えた教育について
昨今、生成AIの進化は目覚ましく、社会構造や働き方に不可逆的な変化をもたらしています。今の子どもたちが社会に出る頃には、従来のホワイトカラー業務の多くが生成AIに代替され、新卒採用後の長期育成を前提とした「修業期間」といった概念は過去のものになります。これからの時代は、生成AIをツールとして使いこなし、いかに高い付加価値と成果を生み出すか、そして人間ならではの創造性や自ら問いを立てる力が問われます。こうした未来を見据え、教育の在り方を早急にアップデートすることが求められています。令和5年第2回定例会で教育現場での生成AIの活用を求めてきましたが、現状ではあまり活用が進んでいないものとみえます。
活用が遅れることでどんどん子どもたちは時代から取り残されてしまいます。こうした先進的な教育を実効性あるものとするためには、指導にあたる教員の役割が極めて重要となります。しかし、多忙な教員が新たなスキルを習得し、日々の授業をアップデートしていくことは容易ではなく、指導力の向上と負担軽減を両立させる視点が不可欠です。したがって、子どもたちの生成AI教育を推進する前提として、まず教員自身が積極的に生成AIを活用できるよう、環境を整備することが先決であると考えます。文部科学省のガイドラインにおいても、生成AIは校務の効率化に資するツールとして有効とされています。すでに先進自治体が取り組んでいる事例として各種お便り、通知文、挨拶文などのドラフト作成などの文書作成の効率化。授業のアイデア出し、小テストやワークシートのたたき台作成、英会話スクリプト案の作成などの教材研究・授業準備。また研修や会議の音声データからの要約や議事録案の作成などの情報収集と整理などで活用されています。
無料で使用できるものも含めて効果検証したうえで中野区においても、教員が授業準備や校務において生成AIを積極的に活用できるよう、早急に環境を整備するべきでと考えますがいかがでしょうか。また、これと合わせて、教員のリテラシー向上も不可欠であるため、全教員を対象とした体系的な研修プログラムを行ってはどうか、見解を求めます。
【教育長】生成AIの導入にあたっては、現在教員及び生徒に配布しているタブレット端末で利用できるよう検討していきたい。また、生成AIを効果的に活用するためには、教職員に対する生 成AIの使い方や特徴などを理解するための研修を実施する必要があると考える。
教員の環境整備とリテラシー教育が整ったうえで、子どもたちへの生成AI教育を段階的に推進すべきと考えます。文部科学省のガイドラインでは、学校管理者が許可をすれば児童生徒も生成AIを利用できることになっています。適切な準備と指導体制のもと、中野区でも使用を許可してはどうか。
生成AIには13歳以上など年齢制限があるサービスもありますので、そういった場合には小学校段階では、児童の発達段階を考慮し、教師が介在する形で児童が直接AIに触れない運用など慎重な対応がなされており、これは現段階における適切な配慮と評価できます。他の自治体の公立学校でも様々な先進事例があります。例えば生成AIが生成した「誤りを含む出力」をあえて教材として使い、情報の真偽を確かめる重要性やAIの限界に気づかせる情報モラル教育や、学級活動で学芸会の劇の台本を制作する際、児童のアイデアを基に生成AIに台本作成を補助させ、最終的に児童たちがオリジナル作品として仕上げるなど創造活動の補助として活用されています。
中野区としても区立小学校で(教師を介した)生成AIの活用を進めてはどうでしょうか、見解を伺います。
【教育長】小学校段階における生成AIの利活用については、文部科学省の ガイドラインに沿って、児童の発達段階や安全性に十分配慮した 上で、他自治体の活用方法を参考に、教師を介した生成AIの利 活用の在り方を検討していく。
中学校段階は、情報活用能力や、デジタル社会における責任ある行動規範を育成する上で、極めて重要な時期であると考えます。AIネイティブ世代が将来の社会でその能力を最大限に発揮するためには、GIGAスクール構想によって整備された1人1台端末という環境を最大限に活用し、早期から体系的な教育を提供することが不可欠です。
具体的には、AIの出力には誤情報(ハルシネーション)や偏見が含まれる可能性があり、著作権侵害、個人情報の漏洩等のリスクも伴います。また、ディープフェイクなど悪意ある利用への対策や、安易な利用による思考力の低下・依存のリスクも考慮しなければなりません。これらを正しく理解し、情報を批判的に吟味する力(クリティカルシンキング)を養うことは、AIを安全かつ責任ある形で利用するための基盤となります。同時に、AIを学習支援ツールとして実践的に使いこなす「活用能力」の育成も不可欠です。情報収集、アイデア創出、文章作成といった場面で、AIから的確な回答を引き出すための指示や問いの技術、すなわち「プロンプトエンジニアリング」の基礎を学ぶことは、AIネイティブ世代にとって必須の素養となります。生成AIを探究学習のパートナーとして活用する視点を養う必要があります。
中学校の先進事例として英語の授業で、生徒が作成した英作文を生成AIでブラッシュアップしたり、生成AIを相手に英会話の練習を行ったりしています。また総合的な学習の時間で、生徒が執筆した小説の校正や講評を生成AIに依頼し、作品の品質向上に取り組んでいます。
中学生に対する生成AIのリテラシー教育や活用方法の指導を早期に導入すべきと考えます、見解を伺います。
【教育長】現在、第二中学校が東京都の指定を受けて、生成AIの利活用を 含む「デジタルを活用したこれからの学び」に関する研究を進め ている。今後は、同校の研究成果を踏まえ、他校においても生成AIのリ テラシーに関する教育や効果的な活用指導の導入について検討していく。
(3)「保育園への児童発達支援施設の併設」についてです。
近年、中野区においても、発達に支援を必要とするお子さんは増加傾向にあります。早期に適切な支援につなげることは極めて重要ですが、現状の支援体制には課題があります。お子さんが保育園と、別の場所にある児童発達支援事業所の両方を利用するなど「並行通園」されています。保護者は保育園を早退・中抜けして療育施設へ送迎しなければなりません。この負担は保護者の安定した就労継続を妨げる要因となっています。
この構造的な課題を解決する鍵が、認可・認証保育園への「児童発達支援事業の併設」です。併設により送迎に伴う保護者の負担は劇的に軽減し、安心して働き続けることが可能になります。子どもは慣れ親しんだ環境で、移動することなく専門的な療育を受けられます。さらに、保育士と療育の専門職が日常的に連携することで、「保育と療育の一体化」が実現し、支援の質は向上します。さらに重要な視点は、インクルーシブな環境の実現です。障害の有無に関わらず、すべての子どもが同じ場で共に過ごし、多様性を尊重し合う経験は、将来の共生社会の基盤となります。
実際に中野区内の認可保育園から児童発達支援を併設したいと私のところにも相談がきております。まだ中野区では事例はありませんので、必要な条件や手続きなどもわかりにくい状況です。国や東京都も施設のトイレや出入口の兼用を認めるなど規制を緩和しており、こういった施設を誘導していく方針です。
しかし現状では事業者が併設を進める上で多くのハードルが存在します。例えば、施設改修に関わる基準の複雑さや初期コストの負担、専門人材の確保の難しさ、煩雑な行政手続きなどが挙げられます。国の「障害児受入促進事業などを活用して
、改修費用などを補助するなど支援メニューや複雑な申請手続きをワンストップでサポートする相談体制の構築が不可欠です。
保育と療育の一体化は、子ども、保護者、にとってもメリットのある取り組みで保育園の定員割れ対策としての活用も考えられます。中野区として保育園に児童発達支援を併設する必要性について、どのように認識されているか伺います。
【健康福祉部長】保育園と児童発達支援事業が連携することで、子ども同士の自然な交流が生まれ、障害のある子もない子も共に育つ環境を整え ることが可能となる。また、保育士や療育スタッフが互いに学び合うことは、専門性の向上につながるものと認識している。保育園と児童発達支援事業が連携したインクルーシブ保育に ついて、施設整備や人材確保などを含めて、他自治体の事例も踏 まえ、検討してまいりたい。
以上で私の質問を終わります。

中野区議会議員(無所属)1987年1月29日生まれ 36歳 卯年 中野区・中野在住
法政大学大学院政策創造研究課程修了。大学在学中は極真空手に打ち込み関東大会準優勝。2010年には東京大学アントレプレナーシップ論講座で最優秀賞を受賞。2015年中野区議会議員選挙で1268票獲得するもあと170票およばず落選。その後、インターネット投票を推進するIT企業を経て2019年初当選。共著に「弱者にやさしい会社の話」(KINDAI E&S BOOKS)
所属委員会
総務委員会 副委員長/情報政策等調査特別委員会 委員
その他活動
NPO法人ストリートデザイン研究機構 専務理事/グリーンバード中野チーム リーダー/昭三自治会 防災部長/中野消防団第六分団 団員/東京青年会議所中野区委員会 広報幹事/第45回わんぱく相撲中野区大会 実行委員長/中野区赤十字奉仕団昭和分団 団員/昭和区民活動センター運営委員会 委員/中野区青少年育成昭和地区委員会 委員/中野区交通安全対策協議会 委員/中野駅前大盆踊り大会実行委員会 委員

