令和7年第1回定例会一般質問~プログラミング部に最先端の教育環境を整備せよ~

令和7年第1回定例会一般質問について

質問と答弁を全文公開致します。

1.中野区DX施策について

区長の施政方針説明において、中野区ではこれまで生成AIツール「Microsoft365Copilot」を活用して業務効率の向上に取り組んできたほか、さらに多機能ユニファイド・コミュニケーションツー「Microsoft 365」などの活用を進めているとしています。またGovTech 東京からは、東京都および都内の区市町村全体で利用可能な生成AIプラットフォームの構築についての発表があり、これについても活用し更なる業務の効率化や住民サービスの向上につなげると説明されています。GovTech 東京のHPを見ますと生成AIプラットフォームには

– 文章処理業務の効率化- 報告書や議事録の作成- 文書の校正、要約、及び分析

– 独自データを活用したQ&Aシステムの構築

– マニュアルや社内文章を活用した職員向けチャットボットの構築

– 都庁各局および都内区市町村の業務に特化した情報提供の実現

さらに、業務特化型アシスタントの開発、システムプロンプト設計、外部ツールとの連携による業務効率化、及び既存チャットツールからの呼び出しによる利便性向上が期待されています。現時点では全容が明確になっておらず、利用料金などの詳細も不明な状況です。このような背景を踏まえ、目的や効果が十分に見込まれる場合には、利用を検討することになると思いますが、その際これまで中野区で活用してきた生成AIツール等の見直しおよびGovTech東京の生成AIプラットフォームへの統合が必要であると考えられます。以上の観点について、中野区としてどのようにお考えか、区の見解を伺います。

【区長】生成AIは、行政運営の効率化に資する技術であると捉えており、これまで効果検証やガイドラインの策定などに取り組んできた。一方で、生成AIを取り巻く技術や情勢は刻々と変化しており、効果的かつ効率的に生成AIを活用するためには、日々の情報収集や研究が不可欠と考えている。GovTech東京の生成AIプラットフォームの活用も含めて情報収集や研究を続けて参りたい。

港区では令和5年度時点で区が受け付ける行政手続きのオンライン化100%を達成しており2,427件の行政手続きのオンライン化に対応しています。令和5年度時点で中野区が行政手続きのオンライン化に対応した件数は555件となっています。同じ23区の港区は中野区よりも4倍以上の行政手続きが電子化されていることになります。この数値をみるに中野区の行政手続きのオンライン化の対応は大きく遅れておりますので至急対応を求めます。中野区は申請件数の多い行政手続きから優先的に電子化を行っていくということで、その考え方は正しいと思いますが、それとはまた別の観点で災害時に必要になる罹災証明書のオンライン申請などはまだ対応できていません。災害時に必要になる手続きなどは平時の際には申請件数は少なくても有事の際に必要になることから今から備えておく必要があります。

災害時に中野区役所が機能不全または窓口の混雑による混乱が生じた場合でも、住民が罹災証明書をオンラインで申請できるように速やかに体制を整備すべきと考えます。区の見解を伺います。

【区長】罹災証明書発行のオンライン化は区民が被災した際に、自宅から申請できるようにすることで窓口に出向く必要がなくなり、区の事務作業の軽減と迅速な処理が可能となるメリットもあると認識している。関連部署が連携して、オンライン化に向けた準備を進めていく。

ナカペイは本年度に導入され、来年度にはコミュニティポイントとの連動が検討されております。具体的には、SWCスマートウェルネスシティ構想に基づき、健康寿命の延伸や医療費削減を目的として、行動変容を促す活動に対して健幸ポイントのインセンティブを付与する仕組みとなっています。全国においても同様の取り組みが行われておりまして、先日訪問した長野県上田市では「健康づくり応援アプリ」によって観光地を巡ることや、ゲーミフィケーションの要素を用いて市民に沢山歩いてもらえるような仕掛けを行っておりました。しかし、この政策によって例えば医療費削減などにつながっているのか伺ったところ、具体的な効果検証を十分に行えていないとのことでした。一方で、全国の先進自治体の中には研究機関などと連携して、健幸ポイントがもたらす行動変容によって医療費削減を実現したという例もあります。同じ人間ですから必要な行動変容が起きれば成功自治体と同じような結果が出るのだと思います。成功した自治体ではどのような行動変容が実際に医療費削減に繋がったのかを参考に中野区でも医療費削減等に必要な行動変容をKPIとして設定すること。そしてその行動変容が起きた結果、中野区の医療費削減にどの程度の効果があったのかを検証することが必要です。このようなエビデンスがあれば、政策を推進していく正当性を得ることができます。

中野区においても健幸ポイントのKPI設定および中長期的に健康寿命の延伸および医療費削減等の効果を検証していく必要があると考えます。どのように検証をしていくのか区の見解を伺います。

【区長】来年度から開始を予定している健幸ポイント事業は、スマートウェルネスシティに加盟する自治体によって実施され、これまでも医療費や介護費の抑制の効果が報告されている。指標については、参加者数や参加者の継続率、歩数など、他の自治体と同様の設定を想定しており、令和7年度から3年間、この実証事業を実施することを予定している。

東京都は記者会見で2月にリリース予定の『東京都公式アプリ(東京アプリ)』を活用した「つながるキャンペーン」について説明しました。このキャンペーンでは、東京都公式アプリをダウンロードし、マイナンバーカードで本人認証を済ませた15歳以上の都民を対象に、「7000東京ポイント」7000円相当が付与される仕組みとなっており、このポイントは一般の決済事業者が提供するポイントに変換して利用できるとされています。ナカペイは、東京ポイントの変換の対象となるのか、また今後の東京アプリとの連携について、中野区としてどのようにお考えか、区の見解を伺います。

【区長】東京アプリで付与された東京ポイントについては、当面、区市町村の地域通貨への変換は行わないと聞いている。可能な限り、新たな区の財政負担が生じることなく、東京ポイントをナカペイポイントへ変換できるようにするなど、中野区にメリットのある連携を引き続き要望してまいりたい。

昨年10月7日の区民委員会での報告資料において、「中野区デジタル地域通貨「ナカペイ」を活用したコミュニティポイントの考え方等について」が報告され、令和8年度以降の導入を検討する事業の中で「給付事業への活用」が示されました。さらに給付事業の実施に向けては、マイナンバーカードとの紐づけを含め給付申請時における個人情報の認証、ポイント付与時における個人認証が検討課題であるとされています。現状、マイナンバーカードを活用した給付には、国が推進するマイナポータルを通じた公金受取口座の仕組みがあるため、今回の取り組みと重複する可能性がございます。さらに、マイナンバーの取得やナカペイのダウンロードなど、複数の条件が必要となるため、ナカペイとマイナンバーカードを用いた給付システムは利用のハードルが高くなっています。これらを踏まえ、区として給付事業の仕組みをどのように構築していくのか、具体的な検討状況について、区の見解を伺います。

【区長】給付事業への活用にあたっては、ナカペイによることを原則とし、個人情報の認証について、マイナンバーカードを利用しない方法とマイナンバーカードとの紐づけによることの双方で検討していきたい。また給付の対象となる方が、ナカペイの利用が困難でなく、かつ限定されている事業から活用していくのがよいと考えている。一方、ナカペイを活用した給付にあたって、ナカペイの利用が困難な方や、マイナンバーカードを持たない方への対応についても検討していく。

ナカペイは区外在住の方も使える仕組みになっており、結果的に地元産業支援策としての比重が高くなっています。マイナンバーカードとナカペイを連携することによって、中野区民の公的個人認証が可能となり区民に多くのポイントを還元するような仕組みを構築することができます。物価高騰が続いておりますので消費者支援策として、中野区民に多くポイント還元するような施策も検討してはどうか、区の見解を伺います。

【区長】ナカペイは「区内産業・産業の活性化」及び「区の政策・施策の側面的推進」を目的としており、当事業そのものとしては、物価高騰対策や生活者応援を目的したものではない。他方、物価高騰対策や生活者応援を実施するにあたって、そのツールとして活用することができるものと考えている。区民の方に多くのポイントを還元するなど区民を優先した取り組みについては、ナカペイの利用状況を踏まえるとともに加盟店舗や経済団体等の意見を伺いながら検討してまいりたい。

中野区は来年度、母子保健DXの導入に向けた体制を構築するとして、具体的な検討に入る予定です。先行自治体では既に母子保健DXの取り組みが進んでおります。また国や東京都からも方向性が示されていることから、後発となる中野区においても、他自治体の課題や知見を踏まえた内容となることが期待されます。母子保健アプリの導入するにあたり、妊娠、出産、子育て、教育に関する情報を、途切れなく中野区や教育委員会が保有する情報システムへデータを継承・連携できる仕組みを構築すべきであると考えられますが、どのような仕組みを考えているのか伺います。

【区長】区は、令和7年度に母子保健DXの体制整備として、電子版母子健康手帳の機能要件や事業の利用申請等のオンライン化などについて、先行自治体の取り組みも踏まえ検討を行う。また、データ連携については、自治体のシステムの標準化と整合を図りながら、区民の利便性の向上につながるようなデータ連携について検討を進める。

2.行政主導地域クラブ活動について

近年、生成AIなどの技術革新の速度は加速しており、ホワイトカラーの必要性がこれから減少していきます。それに伴い、人間に求められる能力も刻々と変化していきます。かつて「技術大国」と呼ばれたわが国においては、技術力の低下やデジタル人材の不足といった課題が深刻化しているため、テクノロジーに関するリテラシーを向上させる教育環境の整備は急務であります。そういった背景もあり小中学校のプログラミング教育が必修化されましたが、さらなる内容の深化が求められています。

中野区では、行政主導による地域クラブ活動の一環として、今年度はダンス部、来年度は陸上競技、再来年度はプログラミング部の設置を検討していると報告されています。プログラミング教育はすでに必修化され授業で実施されている状況ですが、部活動として新たに実施する場合、授業内容よりも専門的かつ最先端の技術動向に対応したプログラムを提供することが期待されます。この点について、教育委員会としてどのようにお考えか、区の見解を伺います。

【教育長】合同プログラミングは、全区立中学生が参加できる部活動として学校休業日に開催する予定である。活動内容等については、部活動検討委員会において、参加する生徒のニーズに応じて一人ひとりが主体的に活動できるものとなるよう検討していく。

また、今年度から実施されているダンス部は、特定の決まった場所ではなく、区民活動センターなどの公共施設の一部を活用しているとのことです。プログラミング部の場合は、インターネット環境などハイスペックな設備が必要になることから毎回場所を変えるのではなく固定の決まった場所に特化した環境整備がますます必要になります。例えばアプリ開発などに繋がる高度なプログラミング学習環境、またAIやビックデータの解析に繋がるような学習環境、または3Dプリンターなどを活用して自律型ロボットの制作や操作ができるような学習環境などの整備などが考えられます。

現状、GIGAスクール構想により、一人一台の端末が配備された結果、従来のパソコン教室の必要性は次第に低下している状況です、こうした施設や現在利用されていない空き教室を活用し、子どもたちが最先端のテクノロジーに触れることのできる環境を整備し、プログラミング部の活動に有効活用してはどうか、教育委員会としての見解を伺います。

【教育長】プログラミング部の活動内容に応じて、機器整備の必要性を検討したいと考えている。ただし、学校内の整備にあたっては、導入規模及び経費が課題であり、専門的な外部施設との連携も視野に入れながら慎重に検討してまいりたい。

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