令和8年第2回定例会における一般質問と答弁全文を掲載します。

1.施政方針説明について
区長は施政方針説明で「中野駅新北口駅前エリアの再整備については、区民との対話や事業者へのヒアリング調査、有識者会議の議論などを踏まえ、再整備事業計画の見直しに向けた検討を進めてまいります。」と述べられています。再始動に向けては、過去に計画が頓挫した経緯を教訓としなければなりません。事業の確実性や財務的な安定性をいかに厳しく見極めていくのか。こうした視点が、これまで以上に不可欠です。前回の計画において、施行予定者の代表事業者である野村不動産は、平成27年3月に事業構築パートナーに、翌28年7月には事業協力者に選定され、区の事業検討に携わってきました。
【問1】
「事業構築パートナー」や「事業協力者」という手法について、区はこれまでの経緯をどのように総括しているのでしょうか。 現状では複数事業者へのヒアリングを実施し、有識者会議の議論等をもとに事業構築を進めるとしています。しかし、この手法では、事業協力者が伴走することで得られる専門的で深い知見を確保できないのではないかという懸念があります。 そのうえ、更なる物価高騰や定期借地権の設定など、以前とは条件も大きく異なります。これまでの総括を踏まえ、事業計画の実現性を確実なものにするための課題を、区はどのように認識しているのでしょうか。
【答弁】これまでの計画策定においては、民間事業者を事業協力者として選定し、事業実効性の検証を行い進めてきた。その過程で、区としても事業構築に関する一定の知見を得ることができたものと考えている。一方で、現在は、区としてのこれまでの知見を活かし、特定の事業者ではなく、複数事業者へのヒアリングを実施することで、幅広い視点で意見を聴取し、検討を進めている。 社会情勢や工事費高騰を踏まえた可変性や拡張性のある事業計画とすることなど課題はあるが、事業者ヒアリングの他、有識者からの意見聴取を複数回実施するなどして、計画の実効性を高めていきたい。
【問2】
まちづくり事業の大きな財源である国の社会資本整備総合交付金が減額される見通しとなっています。都区財政調整交付金で補填されるまでの間、一時的に事業費を起債または基金等で補う必要があります。金利が上昇している現状において、区の財政状況をどのように認識し、今後、基金と起債の活用など、どのように財政運営を行っていく方針なのかを伺います。
【答弁】まちづくりに係る財源については、国庫及び都支出金の外、起債やまちづくり基金等を充当することとしている。まちづくり基金については今後の事業計画を踏まえて積立・繰入計画を毎年度、更新しており、計画の策定にあたっては補助金の減による影響についても見込んでいる。今後も持続可能な財政運営を行うことができると考えているが、国庫補助金の動向については、引き続き注視していきたい
区長は所信表明において、重点プロジェクトの一つに「地域包括ケア体制の実現」を掲げ、スマートウェルネスシティ(SWC)の理念を踏まえて取り組みを進めると述べられました。前回の総括質疑でスポーツ推進課など健康福祉部の取り組みがSWCの取り組みに位置付けられていないと指摘を致しました。今年度改定される中野区健康福祉総合推進計画には「スポーツ・健康づくり推進計画」として位置づけられています。しかし、SWCの理念と、各部局の取り組みを一体的に連動させていく視点は、まだ十分とは言えません。
【問3】
現在、次期計画の改定に向けた審議会などにおいて、ライフステージに応じたスポーツや健康づくり、そしてデータの利活用といったテーマで検討が進められていると承知しています。法定計画である「スポーツ・健康づくり推進計画」と、区独自の「SWC構想」は位置づけが異なりますが、今後、両者の整合性をどのように図り、連動させていくお考えでしょうか。見解を伺います。
【答弁】現在、健康福祉審議会において、ウェルビーイングの向上と、スポーツを通じた多様な社会課題の解決を主な目的とした、令和7年の「スポーツ基本法」改正の趣旨に沿って、審議をいただいているところである。 スポーツ基本法改正の趣旨は、SWCの考え方に通ずるところが多いことを審議会委員に丁寧に説明し、十分なご議論をいただきながら、区のSWC構想と整合のとれた計画を策定していく。
区は現在、特定健診のデータなどを分析し、糖尿病性腎症の重症化を予防するため、リスクの高い区民を抽出して受診を勧める「ハイリスクアプローチ」に取り組んでいます。しかし現状の大きな課題は、ハイリスク層に対して受診勧奨を行っても、未受診の方や治療を中断している方が、なかなか実際の受診や治療に結びついていないという点です。
【問4】
そこで伺います。レセプトなどから抽出した未受診や治療中断層などのハイリスク者について、その規模や状態を区はどのように把握しているのでしょうか。また、受診を勧めてもなお治療につながらない無関心層の方々に対して、コミュニティポイントなどを活用して行動変容を促す仕組みづくりも含め、今後の展望を伺います。
【答弁】区では、毎年、国保特定健診結果やレセプトデータ、調剤レセプトデータを分析し、生活習慣病や糖尿病性腎症など疾病のリスクが高い区民の規模や、リスク度合いなどを把握している。保健指導等の勧奨を行っても事業に参加しない方については、事業参加時に行う電話勧奨や通知を利用して受療勧奨を行っている。令和8年度から健診等保健事業の参加を促すためにコミュニティポイントを活用した取組を行っており、その効果を検証したうえで、ハイリスクアプローチ事業への拡充についても検討していく。
2.教育現場における生成AIの活用について
現在、AIの技術革新は目覚ましいスピードで進んでいます。高度な自律型AIによって未知の脆弱性が発見されるといったポジティブな面がある一方で、AIを悪用した高度なサイバー攻撃の脅威が指摘されアメリカ政府が一時期使用を制限するなど、見過ごすことのできないリスクも生じています。AIの恩恵とリスクを正しく理解し、「人間にしかできない価値」を創造する力を育む教育が、ますます重要になっています。過去の質疑において、区からは「まずは教員が活用できるように、環境を整備して児童・生徒の利用に関しては段階を追って進めていく」という趣旨の答弁があり、現場での先行した取り組みが進められてきました。今後は、子どもたち自身が安全かつ効果的に最新技術に触れ、実践的なリテラシーを身につけていくという「次のステップ」へと、着実に進んでいく必要があります。
【問5】
中野区教育委員会として生成AIの教育方針、活用方針を定めるため、国のガイドラインとの整合性を図りつつ「区独自のガイドライン」を策定する必要があると考えます、見解を伺います。
【答弁】文部科学省の生成AIの利活用に関するガイドラインにおいては、生成AIの教育利用に関する基本的な考え方や押さえておくべきポイントなどが示されている。中野区独自のガイドラインにつきましては、生徒の実態や学校のICT 環境等を踏まえ、学校現場でより活用しやすいガイドラインとなるよう検討していく。
【問6】
教育現場への生成AIの導入に対して、「子どもの思考力が低下するのではないか」といった不安を抱く保護者も少なくありません。区として、保護者の方々に対して、導入の目的や安全対策、そしてリテラシー教育の方針について丁寧に説明し、理解を促す機会を早急に設けるべきと考えますが、見解を伺います。
【答弁】利用開始に際しては、導入の目的や安全対策、リテラシー教育の考え方に加え、具体的な使用方法についても、学校だよりや保護者会等の機会を通して学校から丁寧に説明し、理解の促進に努めていく。
3.住宅宿泊事業(民泊)について
区のデータによれば、令和7年度末時点で住宅宿泊事業は431施設に対し245件の苦情が寄せられておりますが苦情の対象となった住宅宿泊事業は全体の1割にも満たないわずか35施設であり、膨大な苦情の大部分は、ごく一部の施設に集中しているというのが実情です。加えて、無許可・無届が疑われる施設は28件確認されています。宿泊施設が少ない当区においては、ルールを守り適正に運営されている大多数の適法な民泊事業者をしっかりと守っていかなければなりません。過度な規制は適法な事業者の撤退を招き、かえって水面下で悪質な違法民泊だけが横行する事態になりかねません
これらを踏まえて区が今最も注力すべきなのは「苦情を繰り返す一部の適法事業者への強力な指導」と、「実態が見えにくい違法民泊の徹底的な排除」です。違法民泊には海外の利用者しか閲覧できないサイトに掲載されており、国内からは実態を把握しづらいケースもあります。
【問7】
悪質な違法民泊を排除していくためには、正確な実態把握が不可欠です。現在、区としては、偽装登録や無届の違法民泊に対して、仲介サイトと区の届出台帳を照合するなど、どの程度能動的に実態把握を行っているのでしょうか。
【答弁】無許可・無届の違法民泊の実態把握について、これまでは近隣住民からの通報を主な端緒としていたが、今年度から人員体制を充実したことに伴い、新たに宿泊仲介サイトの監視を開始したところである。区としては、無許可・無届の違法民泊を重要な課題であると捉えており、引き続き厳正に対応していく。
また、区の人員不足を補うための民間委託や専門家の活用も求められます。現に大阪市では、警察官のOBなどからなる「違法民泊撲滅チーム」を編成し、結成から約10か月で約4,700件にアプローチし、約9割に対して是正や廃業などの対処を行った実績があります。
【問8】
一部の悪質な適法事業者や違法物件に対する確実な取り締まりを進めるためには、物件のパトロールや海外サイトなどの調査、さらには一次的な警告といった実務において、確実な証拠収集が必要です。警察官のOBや環境衛生監視員などによる専門チームを立ち上げ対応にあたるべきと考えますが、見解を伺います。
【答弁】違法民泊等にかかる一連の調査業務は、事例ごとの個別性が高いことから区の衛生監視職が対応している。近年、住宅宿泊事業の施設数の増加に比例して、苦情件数も増加していることから、業務の執行体制や警察OBの活用を含め、他自治体における取り組みも参考にしながら、効率的・効果的な調査・指導体制を築いていく。
【問9】 悪質な民泊対策には、区独自の体制強化と、関係機関との連携が不可欠です。区単独での対応にはどうしても限界があるため、特に海外サイトなどを起点とする違法民泊については、東京都や国に対しても、広域的な調査や取り締まりの強化を強く要望していくべきです、見解を伺います。
【答弁】無許可・無届の違法民泊対策は、他自治体も共通の課題であり、これまでも特別区長会有志により、国や東京都に対して要望を行ってきた。今後も、他自治体と協力しながら、必要な対応を図っていく。
4.多文化共生について
中野区の外国人人口は大きく増加しており、令和7年時点で2万4,632人、総人口のおよそ7.2%を占めています。区はこれまで、「多文化共生推進基本方針」のもと、多言語ガイドブックの作成や、ごみ分別アプリの外国語版の配信など、様々な取り組みを進めてこられました。
【問10】
外国人住民による、ごみ出しや騒音などのトラブルの多くは「日本のルールを知らないこと」に起因しています。対策の第一歩として、まずは彼らがどのようなルートで部屋を探しているのか、その「実態把握」が不可欠です。区内の不動産会社などへヒアリングを行い、事業者とのパイプ作りと実態把握から着手すべきです。その上で、たとえば不動産契約時の「待ち時間」を有効活用し、中野区特有のごみ出しや防災ルールをまとめた短い動画を見てもらう。あるいは、簡単なテストで理解度を確認するといった仕組みを作るなどして、不動産店などを通じて、入居時に地域のルールを周知する機会を設けてはどうでしょうか、区の見解を伺います。
【答弁】ごみの分別や災害時の地域ルール等について、外国人が入居手続を行うタイミングを捉え、ショート動画や簡単なチェックシート等を通して理解してもらうことは有効であると考えている。まずは不動産事業者への聴き取り等を行い、外国人住民の住まい探しの実態を踏まえた上で、YouTubeの中野区公式チャンネルの視聴など、外国人にとって短時間で理解しやすい周知方法や、事業者への呼びかけ方について検討していきたい。
【問11】
さらに、住まいを探すのが困難な外国人へのセーフティネットとして、「中野区居住支援協議会」の役割は非常に重要だと考えます。まずは、支援を必要とする外国人が適切に窓口へ繋がるための「導線の確保」が急務です。たとえば、協議会のホームページ上で「外国人の方も支援を受けられます」と分かりやすく明記するなどの工夫が必要だと思いますが、いかがでしょうか。またその上で、支援を受けて区内に住むことが決まった外国人に対して、しっかりと生活ルールなどを案内する機会を設けるべきと考えますが、区の見解を伺います。
【答弁】外国人への居住支援が確実に行われるため、外国人も中野区居住支援協議会の支援対象であることがはっきりわかることが大切である。 このため、ホームページの表現方法がよりわかりやすくなるよう、協議会とともに考えていく。また、区内での居住が決まった外国人の方に対して、どのようにすれば生活上の地域ルール等を効果的に周知できるか、居住支援協議会で協議し、その実施について構成団体に協力を呼びかけていく。
【問12】
入居後は、地域社会との継続的な繋がりが重要になります。留学生をはじめ、地域の清掃活動やイベントに参加したいという意欲を持つ外国人住民は多くいますが、そうした情報が本人たちに届いていないのが現状です。そこで、区の「多文化共生推進ネットワーク」といった既存の組織を活用し、外国人にも情報が確実に届く仕組みづくりや、イベント参加へのマッチング支援を進めるべきです。多文化共生に協力的な団体や事業者と連携し、官民協働のネットワークをさらに広げていくべきと考えますが、今後の展望も含め、区の考えを伺います。
【答弁】時間切れのため答弁なし

中野区議会議員(無所属)1987年1月29日生まれ 36歳 卯年 中野区・中野在住
法政大学大学院政策創造研究課程修了。大学在学中は極真空手に打ち込み関東大会準優勝。2010年には東京大学アントレプレナーシップ論講座で最優秀賞を受賞。2015年中野区議会議員選挙で1268票獲得するもあと170票およばず落選。その後、インターネット投票を推進するIT企業を経て2019年初当選。共著に「弱者にやさしい会社の話」(KINDAI E&S BOOKS)
所属委員会
総務委員会 副委員長/情報政策等調査特別委員会 委員
その他活動
NPO法人ストリートデザイン研究機構 専務理事/グリーンバード中野チーム リーダー/昭三自治会 防災部長/中野消防団第六分団 団員/東京青年会議所中野区委員会 広報幹事/第45回わんぱく相撲中野区大会 実行委員長/中野区赤十字奉仕団昭和分団 団員/昭和区民活動センター運営委員会 委員/中野区青少年育成昭和地区委員会 委員/中野区交通安全対策協議会 委員/中野駅前大盆踊り大会実行委員会 委員

