令和6年第4回定例会一般質問と答弁を全文公開します!
1.持続可能な財政運営について
2.中野区有施設再整備計画について
3.中野駅新北口駅前エリア再整備について
4.民泊の利用状況について
1.持続可能な財政運営について
中野駅新北口駅前エリアの再整備事業が停止したことで中野区は毎年4億円の負担が生じます。決算総括質疑でも指摘をしたように今年度償還予定であった起債45億円については早期に償還すべきと考えます。また、国会で議論されている103万円の壁について全容は不明ですが、報道では23区の住民税で2400億円程度減少する見込みであり、新宿区では85億円相当の減額が見込まれています。今後の財政運営は物価高騰対策、4億円の負担とそれを解消するための財源の捻出、103万の壁による減収の影響を踏まえなくてはなりません。こういった不足の歳出増や歳入減の事態に備え持続可能な財政運営をするには精度の高い基金積立を計画的に行い、予め必要な財源を確保しておくことがより重要になるわけです。
決算総括質疑の際に、今後長期修繕を行う区営住宅の基金積立の考え方を示すべきとういうことと、児童館などの社会福祉施設の建て替えに必要な財源も十分に積み立てられていない点を質疑しました。保育園に関しては今後、民間保育園の改修・建て替えの財源も必要になってきます。
令和7年度中の令和8年3月に中野区基本計画・中野区区有施設整備計画が改定されるわけですが、これらの計画の裏付けとなる財政運営の考え方が必要になります。令和8年度予算編成から基金の積み立て目標額などの見直しを踏まえた新たな財政運営の考え方を適用すべきと考えるが、区の見解を伺います。
【区長】財政運営の考え方における基金積立の目標額については、物価高騰や金利上昇などの社会情勢、今後の施設整備計画や整備経費、基金残高を勘案し、改めて整理していくこととしている。基金積立の目標額を含めた財政運営の考え方の整理については、次期の基本計画や区有施設整備計画の策定スケジュールと合わせて行っていく考えであり、令和8年度予算編成からの適用を目指していきたい。
現在の施設整備基金の考え方は施設更新が進むほど取得原価と減価償却累計額が増えるため、後年度負担が大きくなる仕組みです。また物価高騰の影響も加味されないため更新費用との乖離が非常に大きいため積立目標値となる減価償却費25%の比率を見直すべきです。義務教育施設は取得原価との乖離が特に大きいので他の施設よりも比率を高めるなどの検討が必要です。道路・公園整備基金、まちづくり基金は当該年度から10年間の基金活用計画額との平均を算出して、将来の事業費を平準化するよう毎年一般財源を積んでおります。
新たな財政運営の考え方を検討していく中で減価償却費25%の比率を上げることに加え減価償却費ベースの基金積立方式と、10年の更新費用平均の基金積立方式とでシミュレーションしてどちらの精度が高いか検証して議会に示すべきと考えます、区の見解を伺います?
【区長】基金積立の考え方においては、減価償却費について、支出当時の金額を取得原価から算出しており、現時点の更新整備等の金額と乖離していることは認識している。減価償却費ベースの基金積立方式と、10年の更新費用平均の基金積立方式を比較するなど、考え方の整理の手法について検討してまいりたい。
2.中野区区有施設整備計画について
児童館配置の考え方が9館から18館になったわけですが、その中で現在、若宮児童館と南部の児童館を中高生館にするという方針が示されています。加えてもともと産業振興センターに予定した中高生拠点を旧商工会館跡地へ変更するという方針が示されています。子ども文教委員会の視察で中高生型児童館、中高生拠点を見てまいりました。先進自治体でも自治体に1か所整備しているところ、中野区では中高生に特化した居場所として3館整備する方針を示しています。旧商工会館では場所の関係上、駐輪場や十分な運動スペースが確保できないことが懸念され、中高生拠点と中高生館とほぼ同程度の機能をもった施設になるのではないかと予想されます。そのような場合には他の場所での検討が必要になります。
旧商工会館の建替え手法や面積、複合交流拠点としての詳細はまだ具体化していませんが、区が中高生館と中高生拠点の必要な機能と役割のすみ分けを明確にしたうえで、区が思い描いている中高生年代向け拠点施設の機能を旧商工会館跡地に整備することが本当にできるのか懸念があります。今後、建替え手法や誘導する施設を検討していく中で、拠点施設の面積や機能を早期に示してほしいと考えるが、区の見解を伺います。
【子ども家庭支援担当部長】中高生機能強化型児童館は、児童福祉法に基づく児童厚生施設として0歳から18歳までの子どもとその保護者を対象とした施設であり、乳児・幼児コーナーといった機能も備え、幅広い世代が集える地域の居場所となることを目指している。一方で、中高生年代向け拠点施設は中高生年代の利用に限定した施設であり、気軽に立ち寄れる場所でありながら、より中高生の活動・交流・社会参加が促進される拠点となるよう中高生のニーズに特化した機能を整備していく考えである。今後、中高生年代向け拠点施設に関して、子どもと子育て家庭の実態調査の実施結果の分析や中高生年代への意見聴取などを行い必要な機能の検討を進めてまいりたい。
今年度、児童館改修等に使用する予定であった補助金が獲得できなかったわけですが、計画的に改修・改築を行うための財源を確保しなくてはなりません。先日の子ども文教委員会で若宮児童館の大規模改修と改築の金額の比較が示されました。あくまで参考値とのことですが大規模改修では2億~3億程度、大規模改修+増築では3億円~4億円、改築では4億~5億程度となります。2035年までに建替えが必要になる児童館が3館程度、2040年までに建替えが必要になるのが4館(2035年足すと7館)程度、2045年までに建替えが必要となるのが3館程度となり機能回復のための大規模改修をしても早期に改築が必要になる児童館があります。
今後、60年~70年後も児童館が18館必要になるのか、何館が妥当なのか現時点での判断は難しいです。例えば基幹型に関しては改築して、他の児童館は大規模改修で耐用年数を引き上げるのか、あるいは早期改築しても他の施設に転用しやすい造りとするのかなどの政策的・財政的観点から議論を成熟させる必要があります。こういった児童館の建替え計画について、区有施設整備計画に盛り込み、区全体の財政的な裏付けを示すべきと考えるが、区の見解を伺います。
【子ども家庭支援担当部長】児童館の施設整備の考え方については、財政的な観点をはじめ区民ニーズを捉えた政策展開やユニバーサルデザインの観点、個々の施設の老朽化の状況、立地特性など様々な観点から総合的に判断していく必要があると認識している。将来的な児童館の改築を含む施設整備については、区有施設整備計画の見直しにあたり、、計画の内容に反映し、区全体の施設活用の中で持続可能な区政運営が実現できるよう検討を進めて参りたい。
3.中野駅新北口駅前エリア再整備について
中野駅新北口駅前エリア再整備事業が工事費高騰により停止しております。区は建設コスト約900億円上がった理由として、基本設計による試算を行ったところ繁忙期により業者を確実に手配するために試算したらコストが大幅に増加したと野村不動産からの報告をそのまま委員会で報告しています。区は今後の施設計画変更に伴う建設コストの妥当性などを判断するためにも増加要因をもっと具体的に精査するべきです。また、この規模の基本設計には1年程度は時間を要するものであり、12月に野村不動産が施設計画を見直した案を提案してきても基本設計が完成していない中で建設コストの妥当性を判断することはできないのではないでしょうか。適切に判断する能力がなければ結局また、建設コストが想定よりあがって事業停止ということになりかねないわけですが、区としてはどの段階でどのように建設コストや資金計画の妥当性を判断するつもりなのか?見解を伺います。
【中野駅周辺まちづくり担当部長】今後、事業を再構築していくこととなるが、区としては引き続き事業進捗の節目節目で資金計画について確認するとともに、今回の認可申請から取り下げまでの経緯、状況を踏まえ他の確認手法についても検討し、施行予定者と協議していきたい。
施設の採算性という点でホールがネックになっています。中野駅新北口駅前エリアの拠点においてホールがどのような役割を果たすのか検証の必要があります。コンサートなどには区外からファンが来ており、終了後に中野の繁華街で飲食をするのではなく地元の駅に移動してからご飯を食べる印象があります。また、コンサートではアーティスとの関係性を求めており、中野の街との関係性が生まれにくいのだと思います。セントラルパークをはじめとした駅前のにぎわいをみるに、地域の方々の催しにより中野区の賑わいや繋がりが形成されているように感じます。サンプラザのホールがどの程度、中野区のにぎわいに貢献をしていたのか分析したことがあれば、その内容についてお答えください。
【文化・産業振興担当部長】中野周辺商店街や経済団体へのヒアリングなどによるとイベント内容により差異はあるが、総じて中野サンプラザホールのコンサートやイベントの開催だけでは、中野駅周辺の消費行動に直結していなかったことがわかっており、複数のイベントを実施するなどの工夫が、地域経済への効果を高めるものと推察している。
これは1例ですが中野区では明治大学と連携してKDDIのデータを活用した人流分析なども行っています、こういったデータを活用して分析の裏付けをとることも可能です。
分析内容を踏まえた上でホールの規模縮小、にぎわいを創出する別の機能についても再度検討が必要ではないか、区の見解を伺います。
【中野駅周辺まちづくり担当部長】新北口駅前エリア再整備事業計画では、拠点施設のコンセプトとして「中野サンプラザのDNAを継承した、新たなシンボル拠点をつくる。」を示しており、中核となる機能として多目的ホールを位置づけ、新たな文化・芸術発信拠点の形を図ることとしている。多目的ホールについては施行予定者からは民設民営ホールとしての事業の確実性やマーケット希少性から最大7,000人収容規模のホールが提案されており、区としてはこれまでのホールについての考え方を変更することは考えていない。
令和6年11月に国土交通省が発表した令和6年7月1日~10月1日の主要都市の高度利用地地価動向報告レポートによると該当期間の中野区の地価は0%超から3%未満の上昇をしています。中野区の最新の従前資産評価額は663億円で、400億円を転出補償金、263億円を権利床の取得にあてる考えでした。再整備事業が遅れることで今後、従前資産評価額は増える可能性もあれば、減る可能性もあります。従前試算評価額が減れば転出補償金として見込んでいた400億円も減額になる可能性もあります。
中野2丁目の権利床の活用などをみると区は権利床の活用をなかなかうまくできない印象があります。従前資産の権利変換において床の割合をこれ以上増やすべきではないと考えますが、区の見解を伺います。
【企画部長】中野4丁目新北口駅前地区第一種市街地再開発事業については、現在、施行予定者が施設計画の変更も含めて事業計画の見直しを行っているところである。見直しの結果を踏まえ、転出補償金および取得する権利証について改めて検討することになる。区の財政状況も踏まえ、転出補償の額及び権利証の面積について総合的に検討していく。
4.民泊の利用状況について
2018年6月に「住宅宿泊事業法」(民泊新法)が施行され、この法律に基づいて、届け出を行った住宅やマンションで年間180日以内の民泊サービスが可能となりました。
民泊は2020年の東京オリンピック・パラリンピックの際に既存のホテルや旅館だけでは賄えない観光客の受け皿として期待をされましたが、新型コロナウイルス感染症の影響により、下火になりました。最近では中野区でも民泊が増加傾向にあるようで、騒音・ゴミのポイ捨てなど地域住民からのクレームや無届出での営業、マンションの管理規約違反などが指摘されています。私も近隣の住民の方から民泊に対する不安の声をいただくことがありますので、民泊の状況について確認いたします。
令和3年度から令和6年度現在の民泊の総数と苦情の件数について伺います。
※時間切れにより未回答
中野区には独自のルールがあります。主に住居専用地域は制限区域として金曜日・土曜日・日曜日・祝日のみしか宿泊はできません。家主同居型(ホームステイ型)の要件を満たす事業者は、中野区長の許可を受けることにより、制限区域内でも平日に事業を実施することが、一定の条件を付した上で認められます。家主不在型の場合、住宅宿泊管理業者への管理委託をすることで制限区域外に関しては曜日制限がなく宿泊ができます。家主居住型の民泊に家主が本当に居住しているか、また制限区域内の民泊が営業できる曜日を守っているか確認することは現実的には難しく、性善説のもと運営されております。
これから届け出件数とともに苦情件数が増えていくことが想定されるので、制限区域内外か、家主居住型または非居住型なのかなど、苦情の類型ごとに件数をカウントしてはどうか?、
※時間切れにより未回答
見解を伺って私のすべての質問を終わります。
中野区議会議員(無所属)1987年1月29日生まれ 36歳 卯年 中野区・中野在住
法政大学大学院政策創造研究課程修了。大学在学中は極真空手に打ち込み関東大会準優勝。2010年には東京大学アントレプレナーシップ論講座で最優秀賞を受賞。2015年中野区議会議員選挙で1268票獲得するもあと170票およばず落選。その後、インターネット投票を推進するIT企業を経て2019年初当選。共著に「弱者にやさしい会社の話」(KINDAI E&S BOOKS)
所属委員会
総務委員会 副委員長/情報政策等調査特別委員会 委員
その他活動
NPO法人ストリートデザイン研究機構 専務理事/グリーンバード中野チーム リーダー/昭三自治会 防災部長/中野消防団第六分団 団員/東京青年会議所中野区委員会 広報幹事/第45回わんぱく相撲中野区大会 実行委員長/中野区赤十字奉仕団昭和分団 団員/昭和区民活動センター運営委員会 委員/中野区青少年育成昭和地区委員会 委員/中野区交通安全対策協議会 委員/中野駅前大盆踊り大会実行委員会 委員